第12話『伝説の樹の下で』
一人の女が歩いていた。
年の頃は24、5。黒のロングヘアーに整った顔立ち。
均整のとれたプロポーション。特に胸がでかし!!
全体的におっとりとした美人、そんな女が歩いていた。ただひたすら。
「あ・・・あぁ、あつ・・・暑い・・・暑いわ・・・」
女が言った。暑い、と。
無理もないことである。
なぜならここは・・・砂漠なのだから。
「暑い・・・暑い・・・暑い・・・」
なにかにとりつかれたかのように暑いを繰り返している・・・
ちょっとヤバい傾向だネ!
その女―――相田美由紀が砂漠へ訪れたのは、偶然以外のなにものでもなかった。
美由紀はついこの間、光を超えた。なぜか超えた。
そして気が付いたら砂漠に立っていた。どうしようもなかった。
それから一週間、美由紀はひたすら歩いていた。砂漠の出口を求めて。
「あ・・・昭兎君・・・」
美由紀がある人物の名前を口にした。
その人物は徳永昭兎。すごいぜ!?
「死・・・」
美由紀はもう死を覚悟していた。だってどうしようもないんだものー。
と、美由紀がなにかに気づいて立ち止まった。
遠くをみたまま微動だにしない。
「あ・・・あ・・・」
声が震えている。
「た・・・建物だわ!!助かっただわさ!!」
すでに頭がとろけちゃったのかなぜか語尾がだわさになってるし。
さよう・・・美由紀の視線の先には一つの建物があった。
塔。
その建物をみたものほとんどがそう形容するであろう。
その塔は囲まれていた。砂の嵐に(爆)
「砂の嵐に囲まれた塔・・・いける!!」
なにがいけるのかはよくわからないが、とにかく美由紀は最後の力を使ってすんごいスピードで走りだした!!
ギュン!!
そしてそのまま砂嵐につっこむ!
「く・・・さすがにキツイ・・・けど!」
美由紀はなんとか砂嵐を通り抜けた。はやいな!
近くでみるとその塔の高さがよくわかる。かなり高い。
天まで伸びているのでは?と思えるほどだ。先がみえない。
しばらく上をみつめていた美由紀だったがゆっくりと歩き出した。
塔の入口らしき扉の前までくる。
コンコン
美由紀は扉をノックしてみた。
ぎぃぃぃぃぃ・・・
すると扉が開いた・・・ひとりでに・・・。
美由紀はそのことはたいして気にせず遠慮なく中へとふみいった。
「な・・・」
中に入った美由紀の第一声がそれだ。
驚いたのだ。単純に。
中は外見からは想像できないほど優雅なつくりをしていた。
まるでどこかの宮殿のようである。
真ん中は吹き抜けになっているらしく上がみえない。
「・・・・・・」
美由紀はかなりの間呆然としていたが高らかにきりだした。
「たのもーーーーー!!」
なんか違うような気がするが。
だが誰かが来たということはわかったのかどこからともなく声がした。
塔全体に響いているような感じだ。
「・・・どなたですか?」
女の声だ。いや、女というよりは女の子といったかんが強い。
「ええっと・・・その・・・砂漠で迷ってしまいまして・・・そしたら建物がみえたので・・・」
美由紀が答える。
「なるほど・・・それはお困りでしょうね。とりあえずこちらへいらしてくださいな」
女の子がそういうと美由紀の正面にあった扉が音もなく開いた。
扉の向こう側には螺旋階段があった。
どうやらこれを上れということらしい。
「高い・・・」
美由紀が小さく呟いた。今の美由紀はバテバテぱいやーなのできししし!!
って感じだろう。
ヴゥゥゥ・・・
すると螺旋階段の階段が動き出したではないか!!くわ!!
「エスカレータになってるのね」
美由紀はその螺旋エスカレータにのって上にいくぜ!!
どれくらい上がったのだろう。
美由紀がふとそんなことをかんがえ始めたときエスカレータの終端がみえた。
美由紀がエスカレータから降りると目の前に大きな扉があった。
美しい彫刻が施されたきらびやかなとびら。
うぃぃぃ・・・
その扉が左右に開かれる。美由紀は思わず息をのんだ。
ロープレでいうならボス直前って感じ?
中はかなり広い空間だった。入口から真っ直ぐ、赤い絨毯がのびている。
その左右には水晶でできた柱が均等にたっている。
絨毯の先には階段状の台座があり絨毯はその上まで伸びていた。
そして台座の上には玉座があり、その玉座には人が座っていた・・・。
「なんて美しい女の子なの・・・」
美由紀はおもわず玉座に座っていた女の子にみとれていた。
年の頃なら15、6。
こしまでのびた青い髪。澄んだ赤い瞳。美しい顔立ち。
その子をみた誰もがこういうであろう、美少女・・・と。
「あ・・・え・・・」
美由紀は言葉を探していた。どう切り出したらよいものか。
そんな美由紀をみてとってか、女の子が話をきりだした。
「初めまして・・・わたしはアリス=エンフィールド。この塔の主です」
「こ、こちらこそ初めまして!相田・・・相田美由紀です!中に入れていただきありがとうございますぅ・・・」
美由紀は思わず敬語になっていた。
思わずじゃなくても敬語をつかったとおもうけど。
どうみても自分より年下なのだろうが、その落ち着きはらった雰囲気はそのこ・・・アリスに大人びた印象をまとわせていた。
「いえ・・・砂漠で迷った人を誰が放っておけましょう・・・気になさらないでください」
「はぁ・・・」
美由紀ぱいやー!!
「あの・・・よろしければいろいろお話を聞かせてきただけませんか?」
「え?おは・・・なし?」
美由紀は意味が分からず聞き返していた。
「はい。わたし・・・この塔からでたことがないので、外のことをあまり知らないんです・・・」
「ああ!」
美由紀はなんとなく納得した。
「そういうことならずんどこ話しますわ、アリスさん」
「本当ですか!うれしい・・・。それではこちらへ・・・」