そのころ残された美由紀とアリスは・・・。
「ああ!いったいどうすればいいのでしょう!!」
アリスが悲劇のヒロインよろしくな感じでおおげさによろめく。
「いとしい昭兎は遥かかなたの宇宙・・・運命とはなんと残酷なものなのかしら・・・」
「・・・・・・」
美由紀は悲劇のヒロインを演じているアリスを横目でみながらなにやら考え事をしていた。
(うーん・・・確かにまずいことになったわね・・・。
このまま昭兎君をその幼女連盟とやらに居させたら帰ってくるころには
それこそわたしになんてこれっぽちもなびかない
天下無敵の幼女好きになってしまうっちゅうねん!!)
ここは関東だが実は美由紀は関西生まれさ!
「仕方がないわね・・・できれば実家には帰りたくなかったけど・・・」
「実家って?」
ずっと美由紀の肩に乗かっていたしゃべる白ネコのシロがおうむ返しに聞いた。
「そっか、シロちゃんは知らないわよね・・・。
わたしの実家は大阪にあるの。そしてなにやらどすこい!!」
「ど、どすこいですか?」
「そう!どすこいなのよ!!いくわよ!!」
言うがはやいか美由紀は3秒で身支度を済ませるとアリスの首根っこをつかんで外にかけだした。
「ちょ、ちょっと!どこへ行くというんです!?」
いきなり連れ出されたアリスがもっともな疑問を口にする。
「だから!実家よ!わたしの実家!!」
「実家って・・・美由紀さんの実家にいって昭兎が連れ戻せるんですか!?」
「ええ・・・」
「えっ・・・?」
美由紀が真面目な顔してうなずいたもんだから思わず立ち止まるアリス。
「本当なんですか・・・?」
「うまくいけば・・・」
「ニャース!!」
なぜかシロだけおかしかったが美由紀のその態度に
アリスはちょっと希望をみいだしていた。
「そうですか・・・ではいきましょう!美由紀さんの実家へ!」
「わかってるって!カモン潜地球!!」
美由紀が高らかにそう言うといきなり地面からいつぞやの潜地球がっ!
「さあ!いくわよ!みよちゃん!ころすけ!」
「わかったわキテレツ君!」
「コロッケ!!」
三人はキテレツ化!

 「かめかめ波!!」
「どーーーん!!」
「今だわ!!めくり強キックキャンセルデジキャラットネコアッパー昇竜拳!!」
ずどどどん!!
「あなたの勝ちアルよー」
「やったわ!」
一人の女がゲームをしていた。
かなりの腕前だ。
「うーん、この『ミラクル対戦リベンジ〜永遠なるドンドコドン〜』おもしろいけど
CPUが弱すぎるわねぇ・・・。もっと歯ごたえのあるゲームじゃないとー」
言いながら女は山積みになっているCD−ROMの中からあれでもないこれでもない
と他のゲームをあさる。
「ダメだわ・・・どれもやりつくしたからヤル気がおきないぃ・・・。
もう!新しいソフト買いに行くったら行くっちゃ!!」
なぜか語尾がラムちゃん風だった。
そして簡単に身支度すると女は玄関に向かうゼ?
「昨日発売の『あつおファンタジー』なんてよさそうねー。でも『もけもけアタック25』も
捨てがたいわ・・・。両方買っちゃおうかしら・・・それとも・・・」
女がそんなことをつぶやきながら歩いているとふいに女を呼び止める声がした。
「お嬢様、芹香お嬢様」
玄関に向かおうとしていた女―――芹香が声のしたほう、後ろを振り返ると
そこにはこの家の執事である杉山さんが立っていた。
「なんだ、セバスチャンか。なんか用なの?」
「用ですとも。芹香お嬢様、どこかへでかける前には必ずこのわたくしめに
行き先をつげるよう昨日言ったばかりですぞ。それとわたくしはセバスチャンではなく杉山です」
「あー・・・、行き先?。そういえばそうだったわね。忘れてたわ」
「以後気をつけてください」
「わかったわ。それじゃあね杉山」
そういって芹香はさっさと行ってしまった。
「芹香お嬢様・・・行き先をつげてませんぞい!」
残された杉山はただそうつぶやいた。

 「やっと着いたみたいね、大阪に」
ここは新大阪。たった今、一人の少女が新幹線のぞみから降りてきた。
年の頃は16、7。なんつーか栗色の髪の美少女やねん。
そう・・・天才美少女ゲーマー、神坂リナ!!
「んっふっふ・・・優勝はあたしがいただきよっ!」
リナはそう叫ぶとすんごい速さで改札を通り抜け、
大阪一のゲームセンター『ミラクルセクシャル』へ走っていった。
 ミラクルセクシャルでは長蛇の列ができていた。
「げっ・・・こんなに参加者がいるの!?まぁあたしが優勝する時が遅れるだけだけどね」
新大阪からこのミラクルセクシャルまでバスで25分かかるところを
わずか3分で辿り着いたリナはさっそく列の後ろに並んだ。
そして30分がすぎたがまだ半分も列は進まぬ!!
「もう!うっといわね!!火炎球(ファイヤー・ボール)!」
リナがそう叫ぶとなぜか手のひらからサッカーボールくらいの炎の球が!
そしてそれはいきおいよく前方で並んでいた他の参加者の列に飛んでいった。
ドゴォォォン!!
参加者の列は半分になった。
「つ、次のかたどうぞ」
何が起こったかわからない大会の係員だったが
とりあえず今までどおりエントリーを受付るさ!!
「これで早く終わるってもんよ!」
リナは上機嫌でエントリーを済ませると参加者控え室で
カルビーポテト的チップスとロッテパイな実を
食べながら三ツ矢のダ・サイダーを飲むのであった。