第1話『北へ・・・』

 「また来てくださいね!」
そう言って少女はカウンター越しニコっと笑った。
「ドキュン!!」
その笑顔に少女の前にいた男は目撃ドキュン!!だ。
「ず、ずんどこまた来るよ!一日に256回来るよ!シャア専用!!」
男は幸せそうな顔で去っていった・・・。
ここは東京都のどこかに存在するというゲームショップドリームドリーム。
今しがた去っていった男はゲームソフトを買いにきた客。
そして笑顔で対応していたのはこのゲームショップの店員である神坂(かんざか)リナだ。
正しくは店員になったというべきか。
リナは一週間ほど前にこの店でバイトすることになった。
「せっかくだからあたしはこっちの赤のドリームドリームを選ぶわよ!?」
という具合にねっ?赤くないけど。
栗色の髪に赤くつぶらな瞳の明るいかんじの美少女さ!ついでに魔道士!
 そんなリナは男が去っていくのを見送ると。
「ふぅ・・・500人くらい並んでたけどようやく一段落ついたわ」
と言って肩や首を回したりほぐしたり。
「まったく・・・よくあんな得体の知れない者達に愛想を振り撒けますわね」
リナの横からそう言ってきたのは同じくこの店の店員であるモニカだ。
流れるように長く美しい金髪に碧眼で端正な顔立ち・・・
ちょっとキツそうなとこもプラスになっている・・・そんな美女さ!
「仕事だからしょうがないじゃん」
「しょうがないと割り切ることはできませんわ!この高貴なワタクシに
あんな怪しいオーラを放っている男達に愛想笑いするなんてできるわけないですわ!」
と豪語するようにモニカは銀河系に名だたる・・・
なんつーかすんごい金持ちのお嬢様だ!
「じゃあしなかったらいいじゃん」
リナがそっけなく返す。
「・・・ま、まぁそうなのですけれど・・・」
「そうじゃんそうじゃん」
「・・・さっきからじゃんじゃんと・・・集まれ!ジャン・ケン・ポン!ですわ!」
「その通り!!」
そのような感じでの賜っていると新たな来客が!
「いらっしゃいませ・・・って、なんだ、美由紀さんとアリスか」
さよう・・・その辺に買出しに行っていた美由紀とアリスが帰ってきたのだ。
美由紀こと相田美由紀(あいだみゆき)はこのゲームショップ、
ドリームドリームの店長で秋葉原に店長さんのおつかいとして
おつかいに行かせたりする凄腕だ。バスト93のFカップな点も見逃せないよ!
そしてアリス。アリスとはいえ
不思議の国や鏡の国に行ったりしているわけではない・・・。
だからといって化獣になるわけでもない・・・。
かといって大魔王なわけでもない・・・。
さよう・・・アリスはリナやモニカと同じくこのドリームドリームの店員さ!
美由紀は、
「ただいま〜。外はとっても寒かったわ〜」
と言いながら店の奥のちょっとした要塞・・・ではなくてちょっとした
休憩的空間に買い物袋を降ろす。
ここはその名の通りちょっとした亜空間だ(謎)
「確かに寒かったですね」
アリスも同意しながらコートを脱ぐ。
寒いのも無理はない・・・季節は12月・・・12月でもうすぐクリスマスなのです。
ちなみにアリスは美由紀と比べると・・・というか美由紀と比べるのは
酷ってもんだがまぁその、スレンダーボディさ!
しかしそれを補って余りある超絶美少女なので人気は上場だよ?
「あれ買ってきてくれましたー?」
リナも休憩的空間にやってきた。
店の方はモニカ一人に任せてね!モニカっきゃ!
「ええ、買ってきたわよリナちゃん。はい、ビックリマンチョコ16777216個!」
「ひゃっほぅ!!」
その通り!リナはビックリマンシールを集めているのだ!なぜか。
しかしあまりの多さに空間は埋まった。
「ちょっと買いすぎたわね〜」
美由紀があんまり困ってなさそうな口調で言う。
そこへ一人の少女が!
「・・・なにこれ」
「あらヴァリスちゃん」
「・・・どこでも掃除機」
美由紀にヴァリスと呼ばれた少女はどこからともなく掃除機を取り出した。
この掃除機はなんとどこででも使える!そしてものすんごいパワフルだモン!
「スイッチ・・・」
カチッ
ドキューーーーーン!!
ものすごい音を立てながらビックリマンチョコを全て吸い込んだよ!
「ギガゾンビ!!」
ついでにリナも吸い込まれた。
「すごい掃除機ですねー」
そのパワーにアリスが関心する。
「買ってきてくれた・・・?」
ヴァリスがソファーに座りながら袋を探りはじめた。
「あった」
そして何かを取り出した。
それはデジキャラット・ナチュラル・ミネラルウォーターです!
「そんじょそこらには売ってなかったからゲー○ーズまで行ってきたわ〜」
美由紀がウフフと語らう。
「ありがと・・・」
ゴキュゴキュ!
そしてさっそく飲み始めるヴァリス。
その飲みっぷりはゲマ並だ!(謎)
このヴァリスは先程店のカウンターの方で悪態をついていたモニカの妹だ。
姉とは違い非常に冷静沈着・・・そして残酷さも兼ね備えた最強の10歳だ。
ついでに鷲羽ちゃん並に頭がいいので学校も飛び級ファイナル!!
キテレツ顔負けの発明品までずんどこ繰り出すのでマイッタマイッタ。
どこでも掃除機もヴァリスの発明品だ。
 美由紀がヴァリスの横に腰掛ける。
「おいしい?ヴァリスちゃん」
「おいしいけど」
「そいつは良かったですご主人様ぁ!きゅい〜ん!」
「・・・」
(・・・アホ過ぎる・・・)
さっきも言ったがヴァリスは冷静ミラクルなので
まわりの大人達がアホとしか思えないのであった・・・。っていうか普通に考えてもアホか〜(滅
「紅茶がはいりましたよ」
いつの間にかアリスが紅茶を入れてきた。
「ありがとう、いただくわ」
美由紀が紅茶を口にする。
「うーん・・・スウィートアンジェ!!」
「・・・」
(もうなにも言うまい・・・)
10歳にして悟るヴァリスがいた。