シカゴの現在時刻と気温 | ||
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![]() エッセイ… 『風の街へU』 |
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何故か心惹かれる風の街… 「シカゴは寒い…」というのはよく耳にする。冬は実際に厳しい。1月という冬季にシカゴを好んで訪ねるというのは、余り普通ではないようである。しかし、それでもアメリカの諸都市を訪ねようという運びになった中、シカゴを選んだのは何故なのだろう… 私にとっては映画『Untouchable』の存在が大きい。確か、私が高校を卒業して、大学に入るまでの1年間を遊んで暮らしていた頃の作品である。「こういう作品が話題だ!」と耳にしていて、たまたま通り掛かった洋書売場で、映画を小説化した英語のペーパーバックを見つけた。何気なく手に取って、購入した。英語の成績が振るわない受験生だった私にとって、必ずしも簡単なものではなかったのだが、約1ヶ月で一応読了した。読了後、丁度公開が始まった映画も観た。 ストーリーを振り返ってみる…禁酒法の取締官としてワシントンの財務省からエリオット・ネスがシカゴに赴任して来る。シカゴは、あらゆる公的機関の関係者を買収して、好き放題を働くカポネ一家の根拠地であった。カポネ一家の最大の収入源は、密造酒を売り捌くことだった。禁酒法取締官は、カポネ一家と対決せざるを得ないが、彼に協力する筈の地元警察は、カポネ一家に買収されており、仕事が捗らない。カポネ一家のトラブルによる爆破の巻き添えで、無垢な少女が爆死するなどの事態に、取締官としての無力さを呪ったエリオット・ネスは、老警官と出会う。退職間際の高齢に至っても、買収などを無視し続けた故か、一介の巡査だった、一警察官としての矜持を大切に生きる彼と意気投合し、カポネ一家の脱税調査をして活動を押さえようと提案した税理士と、警察学校から呼んだ青年との4人で仕事をすることにした。買収を撥ね付け、酒類の密輸を摘発するなどし、カポネ一家のボスだったアル・カポネ脱税の証人を押さえたが、カポネ一家は証人もろとも税理士を殺害し、老警官をも殺してしまう。証人を失い、脱税容疑でのアル・カポネの公判が維持出来ない窮地に陥ったが、カポネ一家の会計士がユニオンステーションから列車でマイアミに逃げるところを取り押さえ、彼を証人にしてアル・カポネを有罪に追い込む。 私がこの作品と出会って、何となく感じ、今日に至っても大切にしたいと考えているテーマがある。信じる正義を大切にし、それを護ることに矜持を持つということである。 こういう好きな作品の舞台となった土地というのは、何時も訪ねてみたい場所として頭の隅には残るものだ。小説にしても、映画にしても、最後に証人の会計士を取り押さえるユニオンステーションは、作品の盛り上がる場面となっている。殊に映画では、カポネ一家と対峙するエリオット・ネスが駅の階段で銃撃戦を演じる中、通行人の女性が上げようとしていた乳母車が階段を滑り落ちるシーンが有名だ。「シカゴであの場所を!!」というのが初めての訪問での大きなテーマとなった。 |
2002年3月2日 管理人 タシケント |