シカゴの現在時刻と気温
Click for Chicago, Illinois Forecast

エッセイ…
カクテルのこ
戻る…戻る
名前が売れている都市ということになれば、その街の名を冠したカクテルの一つや二つはあるものかもしれない。
カクテルというものは、どこかのバーで誰かが思いついて、何時の間にか広まっているものである。誰かの思い出が込められたようなものもあれば、酒造業者が自社製品の普及を図るべく売り出したものもある。
何処のバーに行っても“マンハッタン”とか“ニューヨーク”はある。カクテルの名前に地名が冠せられる場合は、酒の原産地であるとか、カクテルを流行らせた土地であるとか、カクテルを考えた人がその土地に思いを寄せてというようなケースがあるだろう。“マンハッタン”や“ニューヨーク”というのは、流行らせたとか思いを寄せてというような型でカクテルの名になることが幾らでもあるような感じがする。
これに対し、“シカゴ”は些か分が悪い…何処のバーに行っても、とりあえずメニューに“マンハッタン”とか“ニューヨーク”というような名前は見かけるのだが、“シカゴ”は見たことがない…シカゴもまた、流行らせたとか思いを寄せてというような型でカクテルの名になることが幾らでもあるような感じがする。にも拘わらず見かけない…
些か寂しい思いを禁じ得ないでいたのだが、ある日一冊の少し旧い本を見つけた。学生時代に購入したもので、その時点で出版から何年かを経ていたので、15年かそれ以上以前の品物である。
バイトの関連知識を得たかったのと、英語の勉強を兼ねてという主旨で仕入れた本だった。“Mr Boston Official Bartender's Guide”というもので、カクテルのレシピがギッシリ書かれた洋書である。
「そう言えば、こんなものを時々眺めていた…」と想い出しながら、何気なく寝転がって眺めていたが、突如スクッと立ち上がった。
“Chicago Cocktail”…“シカゴ”というカクテルがあったのだ!!レシピを解読した…

○ロックグラスの縁をライムで湿らし、環状に砂糖を塗す。
(“スノースタイル”と称するものである…)
○そのロックグラスに氷を数個入れる。
○ブランデー45ml、ホワイトキュラソー15mlをグラスに注ぎ、アロマチックビターを一振り…かき混ぜる…
○スライスレモンを入れて出来上がり…

早速試してみた。ブランデーに仄かな甘みが加わった感じの味わいが口の中に広がる。
基本的には強めの酒で寒い日には身体が暖まりそうだが、ブランデーの濃い色合いは風をものともせずに立ち竦む摩天楼を思わせるし、スノースタイルのグラスは時々降る雪を想起させる…
この“シカゴ”…お気に入りの飲み物になりそうな感である…
2002年4月10日 管理人 タシケント