シェラ山中の渓流釣り ................................山下昭男
夏になると、毎年のようにシェラ渓谷の谷川へ渓流釣りにでかけます。父親ゆずりの釣り好きは、私だけでなく、兄弟3人にも言えます。日本で若い頃は、やまめやいわな釣りをしていましたが、カリフォルニアに住むようになってシェラのレインボートラウトやジャーマンブラウントラウト釣りに変わりました。
この渓流釣りは私個人の夏の最大イベントで、失敗談も含め、たくさんのエピソードがあります。私の住んでいたSan Joseからシェラ渓谷に行くには、高速道路80や50を走り、SacramentoやStocktonを通り、山岳地帯に入ります。カリフォルニア州のフォレストサービスステーションで手に入れた山岳地帯の地図を頼りに舗装されていない山道を通り、谷川へとたどりつきます。この地図は、等高線もあり、明細に山奥の道が書かれてあるので,とても便利です。
川は比較的巾も狭く、川岸は大きな岩にかこまれ,川沿いは松林が繁っています。川は浅く,階段のように岩間を流れ、くねっており、釣りをしながら川上へと登って行きます。アメリカ式の釣り道具も持参しますが、たいていの場合は、日本式の毛針竿と冬の間にこつこつと作った手製の毛針とテ―パーラインで楽しみます。
魚が逃げないように川のふち尻に腰をかがめ、静かに竿を前後に振り、水面に打ち込みます。毛針が水の流れに従って、川下へと流れながらゆっくり沈んでいくと、急に魚が姿を現わし、針を食わえて、深い方へと戻るのが見えます。その時、すかさず竿をあわせると、トラウト(ます)がかかります。
渓流釣りは一日中、川下から川上へと3km以上も釣り歩くのですが、あたりには人影もなく、自分一人で釣るのが普通です。一人なので孤独感を味わいますが、海抜7〜 8000フィート、夏でも水は冷たく澄んでいて、森林の木のにおいががいっぱいで、手製の毛針で大自然の魚釣りを味わうのは、それはもう、私にとって最高の楽しみです。家族連れの時はテントを張ってキャンプを楽しむので、本職の魚釣りどころではありませんが....。
他の釣り人が同じ川で釣ってしまった後は、魚は川底の岩に隠れてしまうので、その日はもう釣れません。朝、釣り始める時に、誰かが先に釣っていないか、確かめながら川上に登って行くのが釣り人の常識です。
20年以上渓流釣りを続けていると、思わぬ山中でのハプニングにぶつかります。パークしたミニバイクが見つからなかったり、野宿をしたり、かみなりにあったり、狩猟禁止中にもかかわらずガンが飛んできたり(?)とおもしろかったり、恐ろしかったり、いろいろな体験談があります。少しづつ書いてみようと思っています。