新しい流れの中で思う事
高橋潤子
昨年の終わりからインターネット上でも 『話の種』 をお読み頂ける様になりました。これはなるべく沢山の方に読んでいただくという私達の願いにかなったことですが、同時に社会に対する今まで以上の影響や責任の重さを認識しなければならないという場面に立ち向かっています。 『話の種』 のユニークさは、作っている人も書く人もその自主性を尊重されながら、今までそれほどの問題もなく7年間出版されて来たという事でしょう。はっきりと決められた会則や業務システムがないのに、自分のやりたい仕事を出来る分だけするうちに、皆の力がうまく合わさって本が出来ていくのは不思議なことです。ただインターネットによりいままでの何倍もの方々に読んで頂く可能性を前にして、少なくとも『話の種』としての責任を誰がどの様にとって行くかを確認しなければならないという気持ちが一致し、ミーティングが開かれました。この結果、毎号の「あとがき」の下に名前を連ねるメンバーが直接に運営に携わるという事と、メンバー間の事前のコミュニケーションの必要性が再確認されました。一言で言えば、話し合って決めて行きましょう、という事なのですが、インターネットを利用するということで、その簡単なことがさらに重要になってきたのです。
最初に 『話の種』 を読んだ時の懐かしいような気持ち、初めて自分の短エッセーが本に載った時の感激、そして今度は他の人に文章を発表するチャンスを与える事の出来る喜び。それが 『話の種』 の基本です。インターネットは 『話の種』 を遠くまで運んで行ってくれる便利な道具でしか有りません。しかし、この脇役者、なかなかのやり手なのでよく注意して使っていかないと、主役をおいて一人舞台になる危険性があるのです。私達にとってあくまでも主役は紙上での 『話の種』 発行です。本を作る際のいろいろな行程でのコミュニケーションと、最新号を手にした時の充実感が、こうして7年もの間 『話の種』 に携わってきた多くの方々の全てをボランティアで動かしてきた、機動力なのです。
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