おじゃったもんせ
進藤富美子
青い空、遠くに見える山々、これはカリフォルニアの事ではありません。そちらからは、遠い日本の南端、鹿児島の事なのです。“はじめまして”私は現在鹿児島に住む、ベテランの主婦?(能力の事ではなく只単に主婦を四十数年やっているだけなのです)皆様、鹿児島へいらした事は少ないのではないかと思い、少し書いてみたいと思います。
鹿児島県の人口は約`180万人、面積9100 kuの所です。最大の特徴は、桜島という活火山を有している所です。年間200回~400回位の爆発があり、爆発音はガラスをブルブル震わせます。風向きによっては、市内に主に夏場、火山灰が2~3cmも積もり、大きな道路は市がバキュームカーで吸い取りますが、個人の家は灰そうじが大変です。早く取らないと風で舞い上がって家の中へ入って来るからです。
そして、忘れてはならない、あの忌まわしい第二次世界大戦の頃、鹿児島の南端、知覧という所に、特攻隊の基地がありました。物量等とても連合軍には適う訳がない日本は、飛行機と共に人間が戦艦に突っ込むということしか出来なかったという事だろうと思います。今、現地の資料館に、最後の時を前に、遺書を書き残した物や遺品等を見ると、国の為とはいえ、16, 7から20歳位の若者の純粋さに涙をこらえる事はできません。また知覧には昔からの武家屋敷が十軒以上残されていて、観光客も大勢訪れています。県の物産品の一つに、女性は一枚は欲しいと思う大島紬があります。軽くて着易く、永もちするので人気がありますが、高いので一寸手に入れにくいかもしれません。
私も東京から鹿児島へ来て約十年余、最初は大変な所へ来たなあと思いましたが、住んで見れば、人情味豊かで、気候温暖、温泉が身近かにいっぱいあって、めじろが庭先へ来たり、春にはうぐいすが近くの森で鳴くのを聞いたり、自然に囲まれて、今ではすっかり土地になじんで暮らしています。明治維新に、西郷隆盛、大久保利通という偉人を出した鹿児島、進取の気性に富み乍ら、多少の閉鎖性もあるという面白い所です。情報化社会の現代ではだんだん日本が画一化されてきていますが、言葉の面ではまだ方言が残っています。
皆様、機会があれば、鹿児島へ“おじゃったもんせ!!”(いらっしゃいませ)よかとこごあんど!!(いい所ですよ。)
投稿・お便りは、tane@nttca.comまでお送りください。