シエラ山中の渓流釣り(4)
セコイヤナショナルパークのキャンピング
山下昭夫
かれこれ5、6年前のことです。当時集まっていた教会のメンバー10人でセコイヤナショナルパークへ2泊3日のキャンプにでかけました。10人の中には、8ヶ月の赤ちゃんもいたので、シエラ山中の国立公園の中では、ロサンゼルスから一番近いセコイヤを目的地に選んだのです。
ハイウェイ99号を北上し、フレスノの手前、バイサリアという町から198号を山に向かって東に進むとセコイヤナショナルパークに入れます。その日はパーク内のキャンピング場が満員だったのでセコイヤを通り越して、ビッグメドウというキャンピング場にたどりつき、テントを急いで組み立てました。もうすでにうす暗くなっていたのです。寝場所が確保できたので、一同安心し、即席ディナーを作って、落着きました。食事の時は、すでに真暗で、ランプを囲んでの一時でした。
このキャンプサイトには、木々がなかったので、翌朝、日の出とともにテントをたたんで、国立公園内のドーストキャンピング場に空きがあるのを見つけて移り、又、テントを建て直しました。このキャンピングスポットは、鳥がさえずり、森林のにおいがするキャンプに最適の場所でした。
さっそく、皆でジャイアントフォレストを見学しました。そこには、地球上の生物の中で一番大きなセコイヤの木(レッドウッド)があります。ジェネラルシャーマンと名付けられた巨大なセコイヤの木(レッドウッド)は3000年以上も生き続けた古いものでそれはみごとなものでした。
午後からクリスタルケーブにでかけました。100年以上も前に川に魚釣に来た人が発見した鍾乳洞だそうです。光で照らされた鍾乳洞は、オレンジやブルー色に見えてとても美しく、それぞれの岩は、特有な型を持って見る人を楽しませてくれました。洞穴の中はひんやりとして、ポタポタと落ちる水滴は無気味な感じもしましたが、子供たちは喜んでどんどん奥へ進んで行きました。奥が深い大きな洞穴でした。こんな時、地震がきたら生き埋めだな!と思いながらもどうして鍾乳洞ができるのかというサエンティフィックなガイドに耳を傾けながら洞穴の見学を満喫しました。
シエラ山中に数多く造られているキャンプサイトには各スポットごとにピクニック用のテーブルがセットされ、キャンプファイヤーや料理のためのバーベキュー火鉢が据えつけられています。ワンスポットの許容人数は6人位で当時ひと晩6ドルぐらいだったでしょうか。トイレや水道は共同で、電気やシャワーはなく、川で身体を洗い、洗濯物は、木と木の間にロープを吊って干すというのがキャンプの生活です。こんな環境なので、はじめてのファミリーキャンプの時は、都会育ちの家内は、早く帰ろう!早く帰ろう、の連発で釣りどころではありませんでした。ところが2年もすると今年はどこのキャンプに行くの?と大自然の中でのキャンプ生活が楽しくなってきたようでした。
夜は真暗で就寝する時間は8時か9時頃という健康的な生活リズムを保てます。夕食後キャンプファイヤーを囲み、星がふるような夜空を見あげながら歌を歌うのも格別です。
さてセコイヤナショナルパークの渓流釣ですが、パーク内にはカウイー(Kaweah)リバーが流れており、この川は国立公園に入る直前にノースフォーク、ミドルフォーク、イーストフォーク、サウスフォークと4つの支流にわかれています。198号が横切るクローバークリークで釣り始めました。皆で、海水浴をしようとクリークまできたのですが、道から川へ降りるのが急斜面で子供や女性たちには危険であったのであきらめました。結局私一人が釣り具をバックパックに入れて川まで降りました。下流に向かって2kmほど行くと川が急に右に曲がっており曲がり角には大きな淵が岩にかこまれるよう、いくつもつらなっていて渓流釣にはぴったりのところでした。すばやく釣り具を用意して、ここから釣り始めました。日本の標準の毛針竿3.3m位のものに手製のテーパーラインをつけて、針す、4ポンドを1mほどつけ自作の毛針をつけました。ふち尻からねらいをさだめて毛針を打ち込むと、急に魚が毛針を食わえて、深味へとひいていくのを感じました。釣りあげてみると、13インチ位のジャーマンブラウントラウトでした。40分位、釣って、たちまち6匹ほど釣りあげました。急にカミナリの音が聞こえ始めたのと同時に雨が降り出しました。夏の後半から秋にかけて、シエラ山中ではよくあることですが、釣りをやめて、川岸の林の中に入り、身をかくす岩陰をさがしましたが急に見つかるわけもなく、カミナリのこわさと雨にぬれて、身をふるわせながら川岸の踏みあとを歩きました。わずか10分位で、雨とカミナリは遠のきましたが、本当に長く感じました。もう一度、釣りをする気にもならず、夕食の準備をする時間もせまっていたのでキャンプ場にもどりました。
キャンプ場に着いた時には皆で手わけして作った夕食がほとんどできあがっていました。皆の話によると、夕食の準備を始める前に雨が降り出しカミナリが鳴りひびいたとか、こわさにふるえながらテントの中で祈っているうちに雨がやんだとのことでした。
私の持ち帰った魚も焼いて、夕食にそえました。ほんのひと口しかたべられませんでしたけれど、新鮮な魚は本当に美味でした。
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