..................................宮川 浩
「彼」は全くもって短気だ。口より先に手が飛んでくる。 -- バチン!
靴は揃えて脱げ。
箸は端の方を持て。
食事のときに足を組むな。-- 肘をつくな。-- 頬杖つくな。
残さず食べろ。
TVは7:30まで。-- バチン!!!!! 口答えするな。
てな調子である。そのくせ口を閉じて物を噛まないから食事どきはクチャクチャうるさくてかなわない。
いつだったかの夕食時、彼が足を組んでいたことがある。そのことを注意したら、
いきなり胸ぐらを捕まれ「親に向かっていつからそんな口が聞けるようになったんだ。」
バチン!! ときたもんだ。その時からだ、ピーターパン・シンドロームの意味がわかったのは。
大人って勝手なもんさ。フン!
彼は長男だ。二人の弟がいる。この二人の伯父は彼の言うことをよくきく。
祖父母が逝った今や彼が家長というものらしい。一族会議をやるから家へ何月何日に来いと言えば、
文句一つ言わず集まる。先祖代々伝わる家宝だの家訓なんて物も無いのに何が会議だか。
結局麻雀大会になってしまう。ん?一人足りない。となると・・・・。
そう、メンツあわせの為に入らなくてはならない。「頑張って稼げよ。」なんて言ってくる。
冗談じゃない。百戦錬磨のあんたらぁからどうやって稼ぐってぇのよ!結局、
麻雀を覚えてからお年玉という貴重な収入源は断たれたままだ。今夜も彼は、
すっかり磯野波平と化した頭をなぜながらクチャクチャ音を立てている。
みてろ。いつかあんたを超えてやる。-- ヘン!
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