今年のサンフランシスコのゲイ・プライド・パレードは、6月28日の、少し肌寒い日でした。と言っても、ゲイパレードを見たのも、参加したのも、私には初めての体験でした。このパレードには、ゲイでなくても、ゲイに関係した団体に関係している人、ゲイの自由と権利をサポートしている人なら、参加できるようです。せっかくサンフランシスコに越してきたのだからいろいろ新しいことを体験したいと思い、エイズのボランティア団体に所属した私は、そのご縁でいろいろな方々に出会い、このパレードにもさそわれるままに参加し、楽しい一日を過ごしました。参加してわかったのは、行進している時間より、待ち時間がはるかに長いことでした。延々と行進の順番を待った後、エンバーカデロから、シビック・センターまで、マーケット・ストリートを行進したけれど、あっという間に終わってしまいました。もうちょっと歩きたかったなあ、という気持ちでした。テレビで見たり、沿道で見たりした人は、全部のフロートを見れたでしょうが、私たちのフロートは、何と178番という順番だったので、周りのフロート以外、ほとんど見逃してしまいました。
私達のボランティア団体のフロートは低予算の、「インドのお寺のつもり」という、わけのわからないものだったのであんまり人目をひかなかったのも当然でしょう。しかし、この団体はたくさんのゲイのHIV陽性者の方々を助けているので、地味ながらも、沿道の拍手を受けました。圧巻は、私たちのすぐ後ろのフロートで、だれもが興奮してみてしまったのも不思議はありません。いったいどんなフロートかというと、大きなダンプトラックの上に、ぎっしりと、バッチリお化粧して肌もあらわなドレスを着込んだクイーンのグループが乗っているんです。そのセクシー度は、そのへんの女性がどんなにがんばっても太刀打ちできないほど...もちろん私もかないません。おまけにフロートの先頭には、おそろいのホットパンツのミリタリー・ルックに身を固めた、きれいなクイーンのお姉様たちが、軍隊のように足並みそろえて行進しているのです!
私たちは後ろのフロートを見たい気持ちを抑えつつ、笑顔で行進したわけです。行進が終わったら、シビック・センターの周辺で開かれているイベントや屋台のお店をチェック。一番感心したのは、特設会場に集まった、熱気あふれるテキサス・ラインダンスです。これって、当然テキサスから来ているダンスだろうけれども、なんでこんなにサンフランシスコで流行っているのでしょうか?ちなみにこれはどのようなダンスかと言うと、ダンス音痴の私にはフォークダンスに似ているとしか言いようがないのですが、でもぜんぜん違うのです。テンポの速いウェスタン(?)音楽に合わせて、複雑怪奇なステップを完全マスターした自信満々の男女が、あるときは特定のパートナーと、あるときはめまぐるしく変わるパートナーと、颯爽と、スマートに踊るもののようです。曲が変わるにつれ、ステップもどんどん変わり、一種類のステップを知っているくらいでは、このダンスに加われないようなのです。この描写では、ちっともわからないと思いますが、私の文才では、これ以上説明のしようがありません。
この会場の人々は、笑顔にあふれ、エクスタシーに酔い、汗だくの男女と、それを口をぽっかり開けて取り巻く男女の二つに分かれています。もちろんダンスの才能のない私は、ぽっかり口を開けている一人。
ゲイのカップルがアツアツで踊っているのは、最初見たときちょっとびっくりしたけれど、今では人の幸せをうらやむより、自分の幸せをつかもうと、思っています。踊っているカップルは、ありとあらゆる組み合わせ。普通の男と女。女と女。男と男。どのように分類したらいいのかわからない人達のカップル。これはサンフランシスコならではの情景ですね。
私たち一人一人の中に住む、男性と女性の資質も、これからはその人にほどよい分量でブレンドされていくのではないでしょうか? サンフランシスコでは、ジェンダーを変えることができます。同性との結婚式もできます。男か女かわからない人々がたくさんいます。この町に来てから、ジェンダーの枠が広がりつつあり、境目があいまいになりつつあることを実感した私です。私たちのジェンダーは、意識と共に進化しているのでしょうか?