..................................小河原 英二
「今考えても二十代のころはやんちゃしてましたね。」日本経済新聞のインタビューに彼女は答える。このインタビューは「私の貯金箱」という日経の日曜特集のコラムに掲載されたものである。お金についての話はその人となりが結構ストレートに伝わってくるので、いつも興味深く読んでいる。
国生さんは、若いころから有名だったからお金に不自由していなかった。年齢に不似合いな高価なものをいろいろ買っていたらしい。「三十歳になってからは変りましたね。お金を使う対象がモノじゃなくなりました。」彼女は自分のライフプランを思い、四十、五十になってどんな女優になるのか、自分の目指す女優になるためには、なにをつぎ込んでいったらよいのだろう、と考え始めたという。「いろんな人にも会いたいし、気になるお芝居も見に行かなくちゃならない。結構お金かかるんですよ。ブランドものを買うことで満足していた二十代のころの方が逆に楽だったかも。」
彼女は1966年生まれだからことし33歳。おにゃんこ当時からの人気の質の変化をしっかり見据えて自分づくりに励みはじめていることが感じられる。「将来は海のそばの家に住むのが夢です。あえて孤独になって役と向き合う、といった自分を追いつめることもしなくちゃいけないですから、自分がいやされる場所を確保しておきたいんです。」
多くの人を引き付ける魅力と幸運に恵まれた彼女。役と向き合い、自分と向き合う時、いま大女優、名役者といわれている人たちが持っている、その努力を支える強い精神(哲学)を身につけたらまちがいなく素晴らしい大女優になるにちがいない。そして、その為にお金はかならずしも大事な要素ではないことに気がつくことだろう。あと10年後の国生さんの姿に期待している。
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