話の種 42号  

「夢」

..................................石川 洋子

最近、2人の人から違った場所で同じ質問を受けた。「あなたの夢は何ですか?」

「私の夢」、なんて小学校のとき作文に書いて以来考えたこともなかった。あのころ、小学校2年か3年のころ書いた作文では、たしか夢が2つあって、ひとつめがピアニストになること、ふたつめはバナナをおなかいっぱい食べることだった。(当時は貴重品だったバナナ。年がバレる!) 2つの夢のあまりの落差に家族中で笑われた記憶がある。

日々の暮らしの中で小さな願いや希望は無数にあるけど、「夢」となると、「えーと、なんだっけ」と考えこんでしまう。今更バレリーナになりたいとか、スーパーモデルになろうかというのは無理にしても、いくつになっても夢を見るのは自由だからいろいろ考えていると楽しくなってくる。

去年の今ごろは、「夢」と聞かれたら間違いなく「健康になること」と答えていただろう。今、病院と縁が切れないまでも普通に生活できて、「夢って何だっけ」と思い悩めることは幸せだと思う。

実現できるかどうかは別として、これから先の楽しい夢を思い描いて、それを家族や友達に話してみるのもいいかもしれない。考えたり話したりしているうちに実現するかもしれないし。子供達には、「ママの夢ってチョー現実的」とか「夢のない夢」とかいわれそうだけど、それもいいではないか、誰に迷惑かけるわけでもなし。

ところで、これを読まれた皆さん、「あなたの夢は何ですか?」

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