海外生活者と介護法………………………………………………………桧木 陽子
 
 

  今年、2000年の正月早々に母の見舞いと看護の為に、三ヶ月間日本へ帰ったとき、テレビでは、4月から始まる介護保険のことをさかんに説明していた。誰でも抱える深刻な問題だけに、政府もふみきったであろうとこの日本の介護保険制度は、スタートしたばかりでこれからも検討を重ねながら、改良されていくことと思う。海外に永住権をもつ我々が老後を日本で暮らそうとした場合この制度の適用が受けられるのかにについて、私の所属しているジャパンクラブで厚生省老人保険福祉局介護保険課に問い合わせたところ、以下のような説明と案内書が送付されてきたので、ジャパンクラブの了解を得て、掲載させていただきます。

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1. 老後日本に帰国して生活を始め、もし介護が必要となった場合、この保険制度の恩恵を受けることができるのでしょうか?
* 介護保険の被保険者は
a. 65才以上の方で、日本に住所を有している(つまり市町村に住民登録をしている)方。
b. 40才以上、65才未満のうち、日本の公的な医療保険制度に加入している方で、日本に住所を有している方、となっています。
従って、現在海外に居住されている方でも、帰国後に上記条件のいずれかに該当すれば被保険者となります。
尚、介護保険には、国籍による区別はありませんので、外国人の方であっても、上記a,b いずれかに該当すれば被保険者となります。(外国人の場合は、住民登録ではなくて、外国人登録となります)また、旅行などで短期に滞在するような方は、対象外となります。
 

2. 恩恵を受けようとするとどのような手順・手続きが必要なのか?
* 介護保険のサービスを利用するためには、まず、市区町村の窓口に「要介護認定の申請」をすることが必要です。
要介護認定は、この保険からサービスが受けられるかどうかを保険を運営する市町村の議員または、市町村から依頼された介護支援専門員という専門家が、からだの状態等に関する調査に伺います。また、自分のかかっている医師に意見書を書いてもらい、これをもとに、サービス を受け得る状態であるかどうかまた、どのくらいの介護サービスが必要かその程度(「要介護度」)を判定します。申請をする原則として、30日以内に認定の結果の通知が来ます。
要介護認定を受けたら、次に「介護サービス計画」(ケアプラン)をつくってもらうことになります。「介護サービス計画」は、住宅サービス事業所や施設にいる介護支援専門員という専門家に相談にのってもらい自分の希望や体の状態等にあったサービスの利用計画をたててもらうものです。介護サービスは、この計画に沿って提供されることになります。
 

3. 保険制度との事だけに帰国後、被保険者になるために、どの程度のお金を支払わねばならないのか?65才を過ぎて帰国した場合と、65才以前の帰国者で負担はどう違うのか? etc.
* 介護保険に加入するために、特別費用がかかるということはありませんが、加入後は、継続的に保険料を支払っていただくことになります。保険料の計算の仕方は、65 才以上の方と、40才から65才までの方とで異なります。
65才以上の方の保険料は、所得の低い方々にとって重い負担とならないように、所得に応じて原則として5段階の保険料が住んでいる市町村ごとに定められます。具体的な額は、全国で平均すると一ヶ月で2900円くらいになると見込まれていますが、住んでいる市町村における介護サービスの量によって異なり、一般的にその水準が高ければ高いほど、保険料も高くなります。
40才以上65才未満の方の保険料は、医療保険料に上乗せされ、一つの保険料としてまとめて納めることになります。この場合は住んでいる市町村の介護サービスの水準と関係なく、サラリーマン等が加入する健康保険では毎月の給料に応じて、自営業者や退職者等が加入する国民健康保険では
所得や資産に応じて異なります。