真の友を得たいと願っているなら・・・

「主は、わたしたちのためにいのちを捨ててくださった。
それによって、
わたしたちは愛ということを知った。
それゆえに、
わたしたちもまた、
兄弟のためにいのちを捨てるべきである」

(新約聖書「ヨハネの第一の手紙」3章16節)


「わたしがあなたがたを愛したように、
あなたがたも互いに愛し合いなさい。
人がその友のために自分の命を捨てること、
これよりも大きな愛はない」

(新約聖書「ヨハネによる福音書」15章12・13節)


悲しんでいるあなたを見ていると、胸が張り裂けそうになる。

でも、代わってあげることなんてできない。
その苦しみ、悲しみを癒やしてあげることもできない。
なんにもしてあげられない。

まったく同じ気持ちになって、分かってあげることもできない。
なんにも、なんにもしてあげられない。

大切な大切な友だちなのに。
ごめんね、こんな無力な友だちで。ほんとうにごめんね。ごめん・・・。


こんな話を聞いたことがあります。

あるところに、ひとりの男がいました。
その男には、幼い頃からの親友がいました。ある時、男は賭けごとに熱中し、たくさんの借金を負ってしまいました。そこで友だちに借金を申し込みに行きました。友だちは男のために、ありったけの貯金をはたいて借金を精算してやりました。

ところがしばらくすると、また男は賭けごとをして、多額の負債を負ってしまいました。今度もまた、友だちにお金を借りに行きました。前のお金もまだ返していないのに、今度は友だちは家や土地、すべての財産を売り払ってお金をつくり、借金を返してやりました。

もう二度と賭けごとはしないと約束したのに、しばらくすると男はまた同じことをして、たくさんの借金を作ってしまいました。今度はもう、友だちにもお金はありません。男はついに強盗を働き、捕まってしまいました。

「こんなどうしようもない男は生かしておくべきでない」ということになり、町の広場で男の処刑が行われようとしているときでした。

あの友だちが、裁判官の前に進み出て、こう言いました。
「わたしはこの男の友だちです。このどうかこの男を赦してやってください」

裁判官は友だちの顔をしげしげと眺めて言いました。
「おまえはこの男の借金の返済のために、財産も家も何もかもすっかり失って、今では路上で寝起きしている始末ではないか。それなのに、どうしてまだこの男を助けて欲しいと言うのか」

友だちは答えました。
「わたしはこの男の友だちなのです。この男がどんなに悪い状態にあっても、死ぬまでずっと真実な友だちでいようとわたしは決心したのです。ですから、今、どうぞわたしをこの男の代わりに処刑してください。そしてこの男を赦してやってください」

そして自ら処刑台の上に立って、自分の首にロープをかけて飛び降りてしまいました。

それを見て、裁判官も、町の人たちもみんな驚き、あわてて友だちをロープから取り下ろしたので、友だちは間もなく息を吹き返しました。死刑囚の男は友だちに駈けより、彼を抱いておいおいと泣き崩れました。

この友だちのいのちがけの友情にみなが心打たれたので、男は処刑を免れ、ふたりいっしょに王様の畑で働くことになりました。友だちにいのちを贖ってもらった男は、その後はもう二度と賭けごとをすることもなく、心の底から悔い改めて、友だちのように真実な生き方をする人に生まれ変わったということです。

こんな真実な友だちが、果たして現実にいるものでしょうか。
もしもあなたがこの男なら、やはり友だちのいのちがけの友情に打たれ、心の底から悔い改めて、彼のような人になるべく変わっていくのではないかと思うのです。

私たちは日々、同じ過ちを繰り返して生きています。どんなに改めたいと思っても、できないのです。私たちのうちにある罪深い性質が、私たちを縛りつけて逃がさないのです。

でも、自分のために命を捨ててくれる、真の愛と友情に出会うとき、聖書に書いてあるように「それによって、わたしたちは愛ということを知」り、「わたしたちも兄弟のためにいのちを捨てるべきである」と思えるようになるのではないでしょうか。

この話の中の男も、他の仲間が同じような目にあったとき、きっと友だちがしてくれたのと同じことをするようになったに違いありません。自分のいのちを捨てられるようになったのではないでしょうか。

はっぴは、イエスさまが私のために死んでくださったことを知ったとき、涙が止まりませんでした。こんな私のために、命を投げ出してくださったなんて。そうして罪を赦されたはっぴは、今度はイエスさまがしてくださったように、真実に人を愛していきたいと願うようになったのです。

はっぴはイエスさまじゃないから、イエスさまみたいに完全に人を愛することなんてできません。でも、愛したいと思う。心から、あなたの真実の友となりたいと思う。そしてあなたが悩み苦しむとき、ともに心から苦しみ、あなたのつらさを分かち合いたいと思う。そしてあなたのために、この命を差し出したいと思う。あなたのために死ねたらいいと心から思う。

しょせん他人だから、ひとごとだから・・・みんな自分のことで精一杯で、人のことなんて構っちゃいられないのよね・・・そんなつぶやきを聞くたびに、ぶんぶん首を振って違う、違うって叫びたくなります。

すべての人のためには、そんなことできないけど、あなたのために、せめてあなたただひとりのために、自分の持っているものを投げ出せる友となりたい。死に至るまで変わらない、真実な友になりたい。あなたがどんな状態になっても。

涙とともに、あなたのことを今も考えています。それだけじゃ、だめかなぁ。・・・やっぱ、ごめんね。




Photo:Happy Islands
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