利益計画とは,一定の計画期間中に達成すべき目標利益とその実現方法を計数化する総合的・組織的な設定過程である。利益計画は一定の計画期間を対象とする期間計画である。計画期間は1年を基準とし,1年以下を対象とする短期利益計画と1年以上を対象とする長期利益計画に区分されてきた。しかし,経営環境が激変する今日では,2〜3年程度を対象とする中期利益計画と5年以上を対象とする長期利益計画に区分する企業もある。利益計画設定の出発点は目標利益の設定である。企業全体の目標利益は,希望額や予測額でなく,達成可能額でなければならない。そのため,企業全体の収益計画と費用計画の相互調整,さらにこれらと資金計画との相互調整を経て利益計画が最終的に決定される。激変する経営環境に適応するように経営構造の改善計画と生産,販売,購買等の業務部門別の執行計画が設定される。それぞれの経営計画がどんなに優れていたとしても,企業全体の統一的枠内に収まらない限り,企業の存続を困難ならしめる。利益計画は各種の経営計画を財務的計数に総合的・組織的に調整したものであり,総合計画と呼称される。利益計画は,長年にわたり個別企業を対象としてきた。しかし,企業規模の拡大や経営の多角化などにより分権管理組織たる事業部や社内カンパニーを採用したため,業績管理の必要から,事業部等の利益計画が重視されるにいたった。また,分権組織の分社やM&Aなどによって子会社・関連会社が多数になり,連結決算が制度化されるにつれ連結利益計画が注目されるようになった。
不確実性の概念には広狭2つのものが存在している。生起する状態が一意に決定されない世界を広義の不確実性という。広義で不確実性という場合,リスクと狭義の不確実性に分けられる。リスクと狭義の不確実性を区別する規準は,いずれも将来生起する状態は一意に決定されないが,その確率分布が既知であるか未知であるかによる。とはいえ主観的確率論の台頭によって,現在ではリスクと狭義の不確実性の区別は明確ではなくなってきている。
→不確実性