シカミと紗耶香が表六甲でバトルをしている事などこれっぽっちも思ってもいない対向車が西六甲で始まっている交流戦をギャラリーしようと慌てて表六甲を上り、正に今、シカミ達と遭遇しそうになっていた。


「ん、かすかに向こうからライトが・・・これは「六甲17」辺りで出くわすか?」

ブァアアアアアン
シカミは対向車との遭遇地点を「六甲17」コーナーと読むと、それまでよりもやや抑えめでコーナーをクリアしていく。

「スピードが落ちた!?」

紗耶香はシカミの動きにやや疑問を持ちながらもそのままペースを上げて行き、彼が予測したポイントの「六甲17」コーナーに差し掛かろうとした時に予想通り朴とRAMPのレガシーと出会ってしまった!

「あ、あほかい!何で有料道路で下りのバトルなんや!!ら、らんちゃんよ、避け、避けてな〜!!!!」
「えっ、う、うわ〜! な、なんで表で下りのバトルが!!」

ドキャキャキキキキキッ
駆け上がってくる対向車を全く気にも留めていない感じで、シカミはセンターラインを割らない状態のままドリフトを仕掛け、そのままの体勢でコーナーを曲がっていった!

「ほっ・・・」
「ら、らんちゃん!気を抜くんじゃないで!もう一台来る!!」
「ええっ!マジですか・・・!?うわっ!本当に来た!!」

バァアアアアアアアア

「!?」

グヴォア
紗耶香は対向車のライトに気がつくと、思わずセンターラインの内側にステアリングを切ってしまった。別に彼女のライン取るラインの上では対向車と当たる事は無かったが、無意識に対向車を避ける行動を取ってしまい、シカミとの距離が開いてしまう。結果としてシカミも紗耶香も対向車を無事にクリアでき、一大事に至ることは無かった。

「ふ〜、まあ、これで回避は出来たけど思わず身がすくんでしまった・・・でも、このままだと表六甲で前に出られるチャンスポイントを見逃してしまう!何とかしなきゃ・・・」

ブァアアアアアアアアアア

「はぁ〜、ま、マジで死ぬかと思いました・・・」
「ホンマや・・・ぶつけるのはぴーさんだけにしてほしいわぁ・・・」

まさに危機迫る状況を何とか逃れることが出来た朴とRAMPは寿命が数十年縮まった様な思いで取りあえず難を避けれたことにホッとしていた。

「普通に考えれば、もうゾロ目に勝ち目はないな。」

レンズは表六甲の山肌から双眼鏡で、先行するシカミとそれを追う紗耶香を見ながら呟いた。

「サザンクロスきってのFR使いのシカミは走り屋にしては珍しく、先行逃げ切りが得意で、その走りは「逃げのシカミ」と呼ばれている程だからな。先行させたら最後。もう捉えることはほぼ出来ない・・・けど、対するゾロ目のレビンがこのまま黙って先行させるとは考えにくいな。そろそろ何かが起こる!?」

レンズの予感が当たったと言うわけでも無いのだが、紗耶香は彼が言った「何か」を起こすべく突破口を探しながらシカミのアルテッツァに食らい付いていく!

「何とかって言っても・・・もう、ゴールはそう遠くないわ。マジでヤバイよ・・・」

バァアアアア
シカミとの車間がだいぶ開いたことに少し危機感を持ちながら紗耶香は遠くのコーナリングラインを見ていた。そして、西六甲には無い物で表六甲には有る「ある」物に気がついた。

「ん?これは・・・ひょっとして使えるかもしれない!? ちょっとフロントに負担が掛かるけど、上手くいけば完全に相手の裏をかけるね・・・」

紗耶香は西六甲では見られなかったその「使えるかもしれない」物を見ながらもシカミとの距離をつめるために急勾配の180度カーブ「六甲19」へと加速していった・・・・
バァアアアアアアアン、ブァアアアアアアアアアッ!

「乗るか反るかの勝負!?もう迷っている暇も選択の余地も無いね!」

ガタッ、グワッ

ブゥアァアアアアアン
エンジンブレーキの音が周囲に響き渡る中で、紗耶香は「賭け」に出た・・・