シュウがGSに現れた後、梨華は彼の事を伝えるべくHSWの紗耶香を訪ねる。紗耶香はガレージにおかれているみちゅうのZ32を磨きながら梨華の話を聞く。
「それで、そいつにぴーさんはやられちゃった訳?」
「そうなんですよ。多分、牧場に迷惑を掛けているのはそのシュウって人じゃないかと思うんです!」
「やれやれ、本当に厄介な問題をアンタは解決しようとしてるのねぇ〜。」
紗耶香は苦笑すると、ワックスの乾拭きを終えて、ガレージから事務所に向かう。梨華は彼女を追うようにして、急ぎ足でついていき紗耶香と共に事務所に入る。
ガチャッ
事務所内では軽いむち打ち状態になったぴーが黒に今回の修理箇所の説明を聞かされ、亜依はその補修部品のチェックをBDに指示し、彼はPCで全国のパーツ会社の在庫リストをネットで検索し、亜依の言ったパーツをオンラインで注文していく。
「取りあえず、フェンダーが軽く凹んで、ボンネットが曲がっただけなんで、今回の補習箇所は3つだな。」
カタカタッ
「こんなもんだろう?」
「ふぅ〜っ、約30000円ですか・・・助かったぁ。(でも、また出費かよ)」
黒は電卓を手にすると、その場で金額をはじき出してぴーに見せる。ぴーは思っていたよりも金額が少なかったのでその事でホッと肩を撫で下ろすと、亜依が用意してくれたお茶を飲む。今回の件について、亜依、BD、黒らHSWの面々はぴーに話し出す。
「しかし・・・なんだそいつは?バンパープッシュなんて技は正直いって禁じ手だぜ??」
「ホントですよぉ!ひど〜い事する人いるんですねぇ!!」
「そうやなぁ、ぴー君もこの間なおしたばかりなのに・・・。」
「う〜ん、取りあえず思ったよりも被害が少なくてホッとしましたわ。しかし・・・くぅ〜っ、思い出しただけでもムカつくわぁ!!」
ぴーが悔しがっていると、そこに事務所に入ってきた紗耶香がぴーと対面のソファーに座り、梨華の言った「摩耶のシュウ」について話を聞く。
「ぴーさん、摩耶のシュウってのにやられたんですか?」
「げっ、あのヤローが後ろから?確かに奴ならやりそうだ・・・けど、話はだいたい聞いたけど、市井ちゃんはアイツと勝負しようなんておもっちゃアカンで!あんな格下ヤローに西六甲のエースを当てるのはもったいないし、第一、アイツは勝つためには手段を選ばない奴だから。」
「(ひどい走り屋ってのもいるんだね・・・これじゃあ確かに石川が言うように牧場近くの摩耶山で悪さをしているってのも分かる話だわ)」
紗耶香はぴーの話を聞きながら酷い人間もいるものだと遺憾に思いながらも、こちらはどう撃って出るべきなのかを考えていた。そうしていると一台の車がHSWの来客用駐車場に止まる。
ガチャッ
「あ、黒さん。久々に仕事してるねぇ!」
「みちゅうさん、何をいってるんですか?仕事してますよって。(苦笑)
例の奴なら準備完了ですよ!」
「おっ、とうとう来たか!!」
黒はみちゅうに頼まれていたZ32の完成を伝えると、みちゅうはまるで子供の様に目を輝かせながらガレージと向かう。
「お、BDくん、後の検索はオレがやっておくから君はみちゅうさんのZの最終調整にいってくれ。」
「え〜っ、もう少しPCやらせてくださいよぉ〜。せっかく亜依ぼんと一緒の時をすごしているんだから・・・。」
BDはささやかな欲望をむき出しにして黒の頼みを回避しようとしたが、黒の動きが一瞬止まったのを見て、何やらヤバそうな空気を感じ取ったのでしぶしぶガレージへと向かう。彼はそのまま助手席を空けるとECU配線を繋ぎ、みちゅうにエンジン始動を薦める。
キキキッ、ボォアアアアアアアアン
「ほぉ〜ぅ、良い感じじゃねーの!」
みちゅうはそう言うと、一旦車から降りて事務所の中に舞い戻る。そこで黒に「今から六甲へ行く」と告げ、考え込んでいる紗耶香に声を掛ける。
「どう?ちょっと西に行くけど、来てみないか??」
「西六甲ですか?良いですけど・・・(何か参考になるものが有りそうだから同乗するのも悪くは無いかな?)」
「ちょ、ちょっと、何で僕まで引っ張っていくんですか?(汗)」
「良いから来い!お前にもたまにはセッティングの参考になる事を教えてやるから。」
「え、いや、あの・・・別に教えてもらわなくても・・・何か凄くヤバイ予感がする(汗)」
バタンッ!
紗耶香はぴーの方を見るとどうもシュウの動きが気になったが、みちゅうが走る今夜はベイウインズで西を走る人間はいないし、仮にシュウが来ても百戦錬磨の強者だったみちゅうにはシュウも敵わないだろうと思うと、みちゅうに誘われるままZの後部座席に乗り込む。そして、同乗を言い渡されたBDは黒の言葉に嫌がりつつも、みちゅうに強引に引っ張られて助手席に乗り込まされ、3人はHSWを後にして、テスト走行で西六甲を目指すのだった。
ボォアアアアアアアアアア、プュワァッ!!
「あ〜あ、行っちゃったぁ・・・。」
「良いんですか?市井さん大丈夫かなぁ?」
亜依は嵐の様に去っていったみちゅうのZ32を見ながら梨華に呟く。梨華はそれを聞くと、呑気にタバコを吸ってガレージ前に突っ立っている黒に紗耶香を心配しつつ話しかけた。
「ん?大丈夫じゃないの??彼女にとってはみちゅうさんのドライブなんて大して気にする程の問題じゃねーよ。(ま、問題はBDだろうけど)」
「そんなものなんですか?何か店長さんの運転って凄く攻撃的な感じなんですけど・・・。」
「そう考えることは無いと思うよ。」
黒はそう梨華に言うと、そのままガレージに入って何やらレビンをイジリ始めた。何となくこれから後に起こるかも知れないバトルに備えてのセッティング取りだったのかも知れない・・・。