Capital Austism Conference '98、(9/98にSacramento市にて開催)の 基調講演でTemple Grandin女史が "Growing Up With Austism"という題目で 講演した。その後このカセットテープを入手した。 カセットテープを合計3-4回聞き、メモがきを作成。それを元に まとめて見た。彼女の話題が断片的に飛び、かつOHPの資料について説明している 点もあり、手元にOHPの資料もなく不明な点も多々あったが、私なりに 努力し、理解不能の所は残念ながら割愛した。
彼女は2才半のときには自閉症のすべての症状を持ち合わせていた。言葉もなかったが 相手がゆっくり話をすれば理解できたと言う。そのころ彼女は良い環境に恵まれて、 一日3-4時間のnanny セラピー、一日3回の食事のしつけ各30分、一日45分のspeech セラピーと多くのプログロラムが組まれていたようだ。(nanny というのは辞書では 看護婦とあるので看護婦さんのような人とのセラピーと思われる)合計すると 一週間で40時間以上もプログラムが組まれていたと言う。自閉症の子供たちは 自分の世界を作ってしまうので周囲の環境に接する機会を持たせる事が大切であると言う。 当たり前のことだが、彼女は英語でこれを "Keep the kids tune into the world" と呼んでおり、私たち夫婦はこの言葉が気に 入った。
彼女は自分の体験を振り返り、良い先生が必要である事を一番強調していた。 これは幼い時だけではなく、おとなになっても必要だと言っていた。 彼女が大学生の時によき指導者に巡り合え、彼女に大きな影響を与えたらしい。
彼女自身の紹介が終わると自閉症の特徴を断片的にとりあげる内容が続いた。 そのなかから私が理解できたのを一部紹介したい。
多くの自閉症の子供たちは知覚の問題を持っている。 たとえば2つ以上の知覚、視覚と聴覚を同時には処理できない場合や、 特定の刺激に対して過敏に反応してしまう場合である。 例えばある子供には学校のクラスの環境が苦痛になる場合がある。 蛍光燈がフラッシュのようにぴかぴか光るように見える場合や、学校のチャイムの 音が受け入れられないなど学校が彼らに苦痛を与える場所になってしまう。まず彼らの 苦痛を取り除くことが大切であると彼女は言う。特に蛍光燈の問題は他人には理解しずらく、 コンピュータの画面でも同じような問題がおきるらしい。ゆえにノート型のコンピュータのほうが 目に優しいくて良いと付け加えていた。
視覚に問題がある場合、これが原因で言葉がないことも考えられる。 このとき彼女は歪んだ文字のOHPを出して文字がこのように見えると言っている ようだった。 彼女自身は聴覚に問題があったと告白している。
おうむ返しについては複雑な文章が理解できずに繰り返し、確認しようとオウム返しになる 場合がある。また耳から入る音が途中で途切れたり、2-3語欠落する事もあるので確認しようと 繰り返す例もあると言う。 このような子供は聴覚検査の一定の音波(音色)を聞き取る事は問題がなく、異常は 発見できないが、言葉になると欠落することもあるらしい。 おうむ返しは言葉が出ているという点では良く、5才で歌える子供は15才でしゃべれる ようになり得るが,8才で3つしか単語が理解できない子がしゃべるのは困難だと言う。
しゃべるより早く、読むことを覚える場合もある。 写真と関連した文字を利用したり、字幕放送を利用したり、彼らは 視覚から学習するvisual learnerと言える。
彼女ははvisual thinkerである。すべての考えは絵になっていると言う。 例えば犬という単語を理解するまで彼女は見た犬をそれぞれべつべつに 記憶する。そしてそのなかの共通項を見出し、犬というものを理解する。 多種の犬という記憶の積み重ねで馬でもなく、猫でもないことも理解するのだ。 では抽象的な概念はどうするのか? "美しい"、"正義"、"悪い"などは特定の例を探しそれと関連つけると言う。 正義はクリントン大統領(公演会場の笑い声が)、美しいは虹、悪いは牢屋のまずい食事。
子供たちの将来を考え職を身につけるようにさせなさい。 電車が好きなら電車を使って数、色を教え、駅から駅の距離の計算も させなさい。とにかく技能を身につけ、働けるようにする。 コンピュータの分野は変人でも受け入れられるので自閉症には 良い分野である(笑い)。才能があれば学校でコンピュータを使った 製図などを習得させなさい。でも大切なのは良い指導者が必要である 事と言う。
彼女は皮膚感覚の問題がある。服の生地の肌さわりがどうしてもなじまないものが 今でもある。これはまるで紙やすりの服を着ているようらしい感覚らしい。
自閉症の子供たちが興奮状態あるような時は圧力をかけてやると落ち着く場合がある。 Bean Bag Chairなどで体を押さえてあげると落ち着く場合がある。 彼女の畜舎の設計で家畜をはさみ圧力をかけるしくみを考案している。 (これって本当に家畜にもいいのかな。。。) かんしゃくを持つ子供たちは良く運動をさせると良い。一日45分の激しい運動を2回実行する事を 勧める。これは大変良いとの事。
次は薬の話になった。彼女自身もAnti depression の薬を服用しており、これがなければ 現在の彼女はありえないと言う。薬の使い方に関しては以下のように提言している。 問題行動がある場合は、まず体調を調べなさい、歯痛、便秘などしていないか? 次には感覚に関する問題があれば取り除きなさい、蛍光燈、電話の音など。 それでもだめなら薬を考えなさい。 科学的な調査で自閉症と薬に関するデータを得ることが大変困難であり、 その効果に関して評価できるのは親自身であることを十分理解しなさい。
小さい子供にはなるべく使わない。13才以上ぐらいが良い。 また一回の量は医者の処方よりも少なくしなさい。副作用がある場合医者は 量を増やそうとするが実際は減らしなさい。また薬の飲みあわせも注意しなさい。 ここからは薬の名前のパレードでした。彼女はボストンのPaul Hardy医師からいろいろ アドバイスをもらっているような事を言っていた。
以下に私が聞き取れた薬と思われる名前を列挙する。 (どれもつづりはまったく自信なし、列挙する意味もないぐらいですが私の記憶のために 書いて見た) prosac, paxel, lubars, cerzone, melerol, cyprexa, olanzapine, cladateen, これらの薬の分類をanti-depression系、ドーパミン系、ベータブロック?、シーザー系? して新しいとか古典的とか値段が高いなどの説明をしていた。 公演の1/3-1/4が薬の話であった事が驚きであった。 また彼女の肉声を聞いたが普通の人と何もかわらない印象も持った。 この人が本当に自閉症なのかという感想だった。
彼女の著書には Thinking in Pictures TEMPLE GRANDIN 1995 ISBN 0-679-7789-8 US $12.00 があり、上記公演の内容もこららの書物で紹介されている点も多いと思う。
まとまりのない話で申し訳ないが私のわがままでホームページに掲載させてもらう。