なおちゃんは1才半のころ,呼んでも返事しない、言葉がない、コミュニケーションが 弱い点が分かり、保健所、児童相談所を通じて神奈川県の母子通園施設に 通っていました。 養育手帳(B1)も交付されました。日本では発達遅滞という診断です。 米国転勤にあたってはなおちゃんの障害もあって、こちらでの生活が大変心配でした。 当初はあきらめていましたが、自分の希望も捨てがたく、前向きに考え情報収集に 全力をあげました。 幸いインターネットが活用でき、転勤前に数回出張でサンノゼに来るチャンスも あり情報収集しながら何とかなりそうな事が分かりました。 でも本当にインターネットってすごいです。また米国の情報の充実には目を みはるものがあります。
サンタクララカウンティの教育委員会はSanta Clara County Office of Education (SCCOE)と呼ばれます。充実したホームページがあります。特殊教育に関しても 述べてあります。 http://www.sccoe.k12.ca.us。 その下部に約30位の細かい学区があります。 学区によって教育方針、システムが異なりますので住居を決めるときは いろいろ悩みました。事前にCupertino学区で特殊教育を受けていらっしゃる 日系の家族がいましたのでその方の情報からこの学区に潜り込むべく 住居を決めました。これらの家族の方もPHPを通じて紹介されました。 私の住所はSan Jose市ですが、学区はCupertino(Cupertino School District) になります。なぜかここでは学区の境界線が各市の境界線と一致しないのです。
Santa Clara Countyでの義務教育は幼稚園年長(Kindergarten)から8年生(中2) までです。なおちゃんは誕生日の関係からさ来年の9月から義務教育になります。 しかし、義務教育前でもなおちゃんのような特殊な教育が必要な場合はSCCOEの 相談窓口を通じてその学区にある特殊教育のプログラムに申し込みをすることが できます。これらはすべて無料のプログラムです。 なおちゃんの場合は97年3月の出張の時に相談窓口の方(Program Specialist) とお話をして 6月頃渡米するからなるべく早くそのクラスに編入したい旨を 伝えました。 ここで受けた説明は.....
1.窓口に申込をする。
2.その後心理、言語、看護婦のチーム(Early Intervention Team)から 2週間以内(15日だったかも)に連絡がある。
3. Early Intervention Evaluation を行う。(IEP前の打ち合わせ)
4.その後50日以内にIEP(Individual Educational Program)を決定する。
5.そのIEPに応じて適切なSpecial Educationクラスに編入。
6.もし、この学区内のプログラムが妥当でないと判断されれば学区外の プログラムへの編入手続きを担当者と検討する。
(1から4の手順、期間は法律で決めらているようです)
このシステムでは申し込みをしてから実際のクラスの編入まで2-3ヶ月は かかってしまうのが難点です。
なおちゃんは渡米前(97年4月)に日本からFAXで窓口に申し込みを行いました。 しかし、申し込みをしても実際にこちらの先生と面談をしないと先には 進めません。結局6月に渡米しましたが、こちらはすでに夏休みでした。 本来なら9月まで先生はお休みですがブランクの期間をなるべく短縮し, 9月からの新学期から登校したい希望を事前に申し入れておきました。 その成果なのかどうかはわかりませんが Early Intervention Evaluation, IEPなどはチームメンバーが夏休みにもかかわらず自宅で1回、学校で2回行って 頂きました。なおちゃんを観察したのは合計2.5時間程度と思います。
こちらは夏休みをしっかりとる国だと思っていましたが、 チームメンバーの方々は非常に協力的でした。大変感謝しています。
・英語で口、目、鼻、足、髪、舌、手、耳を言われたら90%の確率で 正しく示すことができる。 (--> 現状 0%,日本語でも0%)
・なおちゃんはことばでの挨拶に対して60%の確率でことばで挨拶をする。 (--> 現状 5%)
・なおちゃんはケンケン(片足飛び)で5回のうち4回は1.5m進める。 (--> 現状 0%)
このような項目が26あり、それぞれ担当者が記入されていました。 おそらくあらかじめ決められた項目にそって数値が記入されていったと 推測しますが、この数字で基準を決めるのには驚きました。
また、Special Educationを受ける親の権利に関して同意するといった 書類に多くサインしました。これらには
・あなたの子どものためにふさわしい教育を無償で受ける権利がある。
・あなたは学校の記録を請求後5日以内に閲覧する権利がある。
であるとか、決定に不満があった場合にあなたが行使できる権利などが 書いてあります。
さて、なおちゃんは6/20に渡米しましたが、(こちらでは夏休み) 上記手続きを経てクラスに編入したのが8/27(こちらの新学期)でした。
先生の授業はすべてアイコンを使って進められます。アイコンとは トランプぐらいの絵カードで、お菓子、パズル、トイレ、クレヨン、 手を洗う、など、物や作業の内容が描かれています。 そして一日の授業(活動)の内容を絵カードで壁に順番に張ります。 これは生徒別になっており、生徒は絵カードの順番にその内容をこなして 終わるとその絵カードをALL DONEの入れ物に入れて次の絵カード の内容に進むというやり方です。この絵カードを使うことにより、スケジュール といった概念を習得させたいようです。 たとえば、何が終わったら次は何をするといった事を知る、示す事ができます。 会話は無理ななおちゃんですが、絵カードでは可能になるかも知れません。 また絵カードを使って自分の要求を大人に示すといった事も行う練習もしています。
先生が家庭訪問したときにぜひ家庭でも絵カードを使って欲しいとのことで 絵の得意ななおちゃんままがさっそく造りました。
右の縦の列がなおちゃんです。上から自転車、パズル、パソコン、トイレ、 風呂、最後が歯磨きと続きます。左の列はその他の絵カードです。 カードはマジックテープで固定されています。はがして順番を入れ替えたりします。 中央の列はなおちゃんにいちゃんが「俺も欲しい!」との事で 特別になおちゃんままが造りました。これは絵は少なく、英語で書いてあります。
また、先生から英語を使うのか、日本語を使うのかの選択を迫られました。 どちらかに統一したいとの事でした。 今は英語中心に教えてもらっています。なおちゃんぱぱとしては 日本語もわからないまま英語を教えられ日本語を忘れてしまうのかな などとさびしい感じを覚える時もありますが。