第7章 スペイン人の週末

FIN DE SEMANA

金曜日。「今日は聖ローラの日。私を祝う日なの。いつものバーで会おうよ。夜迎えに行く。OK?」

スペイン人の「夜」なんて、きっと9時か10時ぐらいだろう、とスペインを少し分かりかけてきた私はゆっくりと支度をして9時までにはいつでも出られる準備を整えた。そして、ローラは当たり前のように11:30に迎えに来た。

いつものバーに着くと、ローラの姉妹、アントとホセがハイネケン片手にベソ(キス)をしてきた。そして始まるエンドレスのおしゃべり、そして、おしゃべり。ふと、時計に目をやるとすでに2:30。と同時に3姉妹が立ちあがった。

「VAMOS」(さ、いくよ)

てっきり送っていってくれるのだと思ったら、歩いて5分ほどのバーに移動した。そこには、3姉妹の弟ディエゴとその友達がビリヤードをしていた。ベソを交わした後、またバーカウンターで息をつく間もなくおしゃべりが始まった。

「眠くない?」ディエゴが聞いた。「ん?ぜんぜん」といいつつも時計に目を落とすと、すでに5:30を回っていた。

「明日は、ショッピングだからね。電話する。夜はダウンタウンに出るよ!用意してきて」ディエゴのバイクにまたがった私にベソをしながらローラが念を押した。

午後2:30、ショッピングが始まり、それは夜の9:00まで続いた。しかしその間、食事は1度もない。お茶をしたのみだ。空腹が度を越し、感覚がなくなってきた10:00ごろに聞いてきた。「おなか空いた?」

3姉妹の家の近くのカフェでタパスを食べながら、「今日って、ダウンタウンに出るんだよね?」。10:00になってやっと夕食を始めた3姉妹に聞いた。「もちろん。でもその前にローラのお気に入りのバーによって、マイク(バーテンダー)に挨拶してからね。」

今一つ、今後のスケジュールをつかめないまま、3姉妹の家へ夜の準備をするために戻った。

「VAMOS!」と念入りに化粧されてすっかり夜の装いになったホセとローラがやっと立ちあがった。1:30。マイクのバーでディエゴ達と落合い、さらに隣のバーで1盃飲んだあと、やっとダウンタウンへ向かった。すでに3:30。

ダウンタウンでは3回場所を変えながらバーとパブのハシゴをした。最後のパブではもう踊ることが出来ないほど疲れていた。

帰り支度を始めた私を見つけ、ローラとホセが近づいてきた。「さすがに疲れたから、明日はコーヒーだけね。電話する」。時すでに朝の8時。

そして、日曜日、コーヒーだけだったはずがなぜか帰宅が夜の1時を回っていた。ベットに入り目覚し時計をセットしようと時計に目をやった。2時。「こんな早い時間に眠れるかな、、、」ふとそう思った自分に苦笑した。

 

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