≪WAVE−2F≫純正 福助版



交通事故・・・今日の日本、いや世界各国で突然 発生している アクシデント・・・・ここに そんな事故による 突然の手術で まだ全身麻酔による乳夢の中にいる者もいれば死線をさまよっている者もいる・・

独特な病院の匂い・・・・

入院という儀式を経験した者だけが知る、独特の臭い?匂い?つくづく痛感させられるのは、病院という場合は、事によったら、心の元気な人間の、その心までを「病気」にしてしまう可能性もあれば、心の奥底に封殺されていた自覚症状のない魂の叫びすら呼び起こしてしまう事があるって事。

シューコー、、フシューコー
ピッピッピッピッピッピッピッ

「救急隊員さん、事故発生から搬送までの時間は何時間かかりました?」

「は、、はあ、彼が事故を起こしたのが23時47分、我々が救急車で搬送してきたのが午前0時でしょうか。緊急処置だけは いたしましたがになぶんにも出血が多かったので、なんとか一命はとりとめましたが。」

「ごくろうさまでした。書類への記載事項は医務がいたします。血管への圧搾輸血の準備と並行して、CTとMRの準備を手配なさい。」

「な、、な、、何をしているんです。あなた達は!、、ここは病院ですよ!」

医務局の窓口で救急隊員の書類をチェックしていた医療事務スタッフがあげた金切り声に女性ドクター達は、いっせいに顔を そちらに向けた。

そこには この総合病院のけして 狭くはない コンコースにむかって血相を変えて駆け込んでくる集団が見えた・・・・TVクルー?病院の外、明滅している赤ランプに照らされて燃えるようにも見える 大型バスの車体に描かれたTV局のロゴが、彼らの身分証明になった。

「隊員さん、なんなの? あの騒ぎは?この患者の方にむかって走ってくるけど・・・」

「この救急車のあとを追跡されたかな。なんだか知りませんが この患者、有名な芸能人らしいですよ。まぁ私達には わからない世界の人達ですが。」

「そっか、、、じゃ、、、、やかましい!この野郎、ここは病院なんだ!!」

「やぁどうも、どうも 恐縮です。実はそちらの患者さんの・・・・」

女性ドクターの怒鳴り声に 一瞬はひるんだ 男性レポーターだったが、すぐに
カエルの面にションベンとばかりに 立ち直ると、あのTVでなじみの表情で切り替えしてくるのは流石だった。

だが女性Drも、それぐらいの事に負けてはいない。

「この患者がどうしたの? こんな夜中に何だと思っているんですか!」

「うわっ、婦長さん そんな堅いこと、言わないでぇ。同じ働く女性として、ね、
私達にも報道の自由ってものが・・・」

今度は別な、女性リポーターが そう割り込んでくると

「お前さん達ね、報道うんぬん 言うんなら明日、病院の広報室にきなさい。1分以内に退去なさい!さぁ、ガードマンにつまみ出されたくなかったら、さっさと ここから出て行け!医務局、さっさと警備員室を呼び出しなさい!」

「さあ あんなハイエナ連中、ほっといて、いそぐわよ。ストレッチャー移動!」

「ドクター、勝手なことをされては困ります。今夜の当直は、ドクターではなくって、山崎院長で、、あっ、い、、今 電話がつながり・・・・」

「もしもし!なにかね こんな真夜中にオペだなんて、どうせ金にならん患者なんだろう・・・」

「おやおや 当直医師が ずいぶんと良い御身分ですこと。わたしです。それとも 寝ぼけたか 飲み過ぎの頭には 改めて自己紹介が必要かしら?院長センセイ」

「え!・・・あや、、あっ、、いえその、、、」

「これから ちょっした脳外科のオペをしますから、MR室と必要器材、手配してちょうだい。それから お宅の専属ごますり Drは邪魔っけだから 守衛室でガードマンの代わりでも やらせておくわ。それじゃ よろしく!」

「さてと・・・ゴマスリ先生?お聞きの通りよ。院長に言いつけるなら好きなだけどうぞ。彼の容体よりも保身が大切なんでしょ?」

「そ、、そんな ただ 私は自分の責任でやれるだけの事を・・・・・」

「やかましい!このヤブ医者!お前さん、クビになりたくなかったら、さっさと警備員室に行ってガードマンの制服に着替えて、ここの院長を出迎えてやりなさい。血液の循環停止によって 神経細胞が消滅するまでの時間は3時間なのよ。ここで ヤブ医者の能書きを聴いている間があったら、神経を蘇生させるのが先なの!ひっこんでなさい!」

「ドクター、MRの写真記録によると、血管からの出血は わずかで、むしろ内出血による毛細血管の圧迫の方が心配です。」

「わかったわ どっちにしても 急がないといけないわね。点滴セットの用意。それから圧搾注入の器材も忘れないでね。オペ行います。Dr!」

「出血の凝固が始まっています。毛細血管にからまっている可能性は充分すぎるほど、考えられるの。最初は通常輸血で、術中の経過を見ながら 血管拡張と圧搾導血
を行います。」

「麻酔開始、呼吸器は正常に作動!」
シューコー、、フシューコー
ピッピッピッピッピッピッピッ

「心拍確認 血圧は小さく上下、やや不整脈」
フシューコー、、クフューコー
ピッピッ、、ビッ、、ピッピッ、、ピッ、、ピッピッピッ

「患部周辺の剃毛・消毒の上、カッター・・・」
シューコー、、フシューコー
ピッピッ、、ピッ、、ピッピッピッ、、ピッ、、ピッピッ

「メス・・・患部露出・・・止血ガーゼ・・・・」
シューコー、、フシューコー
ピッピッピッ、、ピッピッピッ、、ピッ

手術中・・・

深夜の薄暗い廊下を いっそう陰うつに感じさせるグリーンのランプが消えた。
先程まで、病院内に乱入しようとしていた マスコミはすべてガードマンによって
病院からつまみだされ、それでも外の道路上に多数が残っていた。

翌朝、その総合病院では、ちょっとしたドラマがあった。そのドラマの幕開けを知ったのは 皮肉にも 本当に警備員室に 仮眠していた あの ゴマスリ医師だった。

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■ 全職員のみなさんに

この1日を持って 当 総合病院の経営母体が変更になります。
みなさんの処遇や待遇については 若干名を除いて現状と何も
変わりませんので、これまで通り、誠意を持って患者さんに
接してください。

新経営母体
≪WAVE−2F≫

人事発令

新院長 早瀬 玲子 前職 脳外科 医局主任

脳外科医局長 院長兼任
:外科:整形外科 含む

精神分析 ナナオ C カシワギ
カウンセラー

警備部保安係 山崎○○ 前職 院長
警備部保安係 野々山 ○○ 前職 脳外科医局長

以上

■新たに追加される福利厚生

全職員のみなさんには、正規職員、準看、パートの別なく
総合百貨店≪WAVE−2≫の社員割り引き伝票を発行します。

又≪WAVE−2≫の所有する施設(パンフレット参照)の使用も
可能となりますが、これの使用については補助金を支給します。

■病院内での変更事項
売店・食堂は≪WAVE−2≫の直営となり、新たに美容室・理髪店
銀行窓口等の施設が増築されます。

現在 各医局で個別に対応していた医薬品メーカーについては
≪WAVE−2≫の薬事流通部に一元化されますので、医局の
担当者は月末までに 取引先業者の名簿を提出願います。

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この突然の発表に頭を抱えたのは2人の医師だけではなかった。これまで医薬品メーカーからの「付け届け」で私腹を肥やしていた一部の医師は、愕然として臨時の労働組合を創り出そうとする始末だったが、すでに手後れだった。

彼らは≪WAVE−2≫の調査部が徹底的に調べ上げた 調査報告書を突きつけられワイロ疑惑を追及された途端、借りてきた猫よりも 大人しくなってしまったのだから。


あの看護婦から声を掛けられたのは、いつ頃だったんだろう?よく覚えてない。でも彼女、結構いい線いってるよ、ミージシャンの俺にベタ惚れってコトなんだろうな。まぁたまには こんな つまみ食いも あっても役得さ。でもマスコミには絶対にないしょ・ナ・イ・ショ!!

「ねぇ、こんなにキレイな肌しているんだし、お化粧したら似合うんじゃないの。」

真夜中の個室病棟に忍んできた看護婦、そんな とんでもない事を言い出した。ほんとにオンナって奴は、甘い顔すると、すぐにつけあがる。。。でも 俺も病院生活も そろそろ飽きていたし、退屈しのぎに賛成してやったら、ベッドの上は即席の化粧台になっちまった。

「アナタみたいな アブナイ男性には こうしてお化粧して、どこかに監禁しちゃうんだからぁ ねえ?止めるんなら今のうちよ。」

僕は その看護婦のつまらない冗談に 笑って応えながらも、実はメイクをしてもらうのに夢中になっていた。

「ふーん、すると俺は犠牲者って訳かな。良いよ、どこに誘惑してくるのさ、君が一緒なら、コワーイところに連れて行かれて、戻ってこれなくてもかまわないぜ。」

俺の口説き文句に、その看護婦はクスッと笑いました。でも俺は、メイクしてもらうのに夢中で、その看護婦の眼が、実は全然笑っていないことに、ちっとも気が付かなかったんだ。

「あぁあ、、そんな事言って笑わせるから、ほら失敗しちゃったじゃないの。ちょっと目をとじていてちょうだいね。すぐだからね。」

ドジな奴だなぁ・・・俺は内心では そう思ったけれど 口には出さないでやった。こんな事でモンクを言ってせっかくの ディナーを食べ損なうのはバカだからだ。そんな事を考えながら眼をとじた俺の鼻に、何か甘ったるいような刺激臭がしてきた。

化粧を落とすのかよ・・・そう思っていた俺の口と鼻に、いきなりその刺激臭のする布が押付けられて、俺は意識を失った・・・・

 なんだってんだ?。。。俺は俺の病室で意識を取り戻していた。まだ薄暗い・・・眼の前に白い影みたいなものが ユラユラと揺れている・・・ん?、、あの看護婦じゃないか、、、真っ白の制服にオレンジ色のストライプの走るエプロンをして・・・・後手に縛られている!

その看護婦をほどいてやろうして、おれの手首にも何か細くて堅い物で縛られていることに気がついた。体をうごかす度に、それが食い込んで、まるで皮膚が破けそうだ。

ナースホワイトのストッキングをまとった看護婦の脚が、ワイヤーみたいな物で拘束されるのが見えた。あれじゃ身動きなんて できない。かなり痛いんだろう 彼女の顔が苦痛で歪む。もちろん、この俺もだけど・・・・

それにしても 最悪なのは、この呻き声すら立てられないほどのきびしい猿轡だ。よほど口いっぱに 何か詰め物をしやがったんだろう。おれの顔は、ほほが大きくふくらみ、吐き出したりしないように、その上を何枚ものテープの下で 唇の上に張ってあるようだった。

「むんっっっっ・・・・うむんん・・・・」

 緊縛された看護婦が苦しそうに呻いた・・・・?良く見ると、首にまでまきつけられたワイヤーは背後のベッドの手摺にくくりつけられ、彼女が少しでも 体をもがかせると、その細い首にワイヤーが食い込む仕組になっている。

ん?ベッドだって?そんな・・・だってここの特別室にはベッドなんか1台しか・・・・え!

「どう?鏡に写った自分の女装姿のご感想は?ミュージシャンの姿もなかなかだったけど、看護婦姿での緊縛もなかなかいけるわよ。」

 さっきまで俺に寄添っていたあの看護婦が冷たい笑顔でおれに言った。

「そこで見てて おもしろかったわよ。まさか私に襲われるとは夢にも思わなかった
みたいだけどね。」

「でも、そうやって縛られるのも快感でしょう。病みつきになったりしてね。」

「ふううむんっっ・・・・・う、うんん・・・・」

「あらあら可愛そうに、この看護婦さんったら喋れないのよね。そりゃそうよね、お口の中には あたしのパンティとパンティストッキングと更衣室のゴミ箱に捨ててあったのもサービスに 丸めて ぎっちりと詰め込んであるんですもの。本当はこんな事 されたかったんじゃないかなって、思ったから。」

「むむんんっっっ・・・・」

「それって、けっこうでしょう。ああ、わたしは女の人に変身させられて、こうして縛られてるんだって、そう思ったら。あはははは、、、今ごろ 必死でもがいてるのかなってナースセンターで想像してしても楽しかったわ」

「うぐぐぐんん・・・・・」

「悪く思わないでね。その手首のワイヤー、あんまり もがくと手首が切れちゃうかもわたしも 支度があるんで 後で又ね。それじゃ 楽しい夜を!」

 看護婦はそれだけ言うと、、ヒールをこつこつと鳴らしながらおれを残して病室を出て行った。後にはワイヤーで 縛られて猿轡を嵌められた看護婦姿のおれが なす術もなくとりのこされた。


「こうして女の子に変装させられた姿で縛られるのもくせになりそう・・・・でも この手が痛いよなぁ・・・・」


こんな恰好にさせられながらも まだ俺は呑気にそんな事を考えていた あの看護婦そっくりの顔に変装させられて、脂汗を浮かべながらも 薄暗い病室のペッドの上に縛られて投げ出したパンティストッキングにつつまれた 自分のふくらはぎに一本の伝線が走っているのが 妙にエロティックに見える余裕すら あったんだから。

「い、、、痛い。。。」

 看護婦姿で縛られた おれの余裕もそろそろ限界だった。ついには激痛に耐えかねて ムダとは思ったけれど手首のワイヤーを外そうとし始めた。そのワイヤーはまるで 細刃のナイフのように 俺の体を苛んできた。

たれられない激痛、、、もうこれはプレイなんかじゃない・・その苦痛のために、べったりとにじんできた脂汗で、カツラの前髪が額にはりついてくる・・。

 あの看護婦に助けを求めようにも、呼ぼうにも、口いっぱに布を詰め込まれたパンティとパンティストッキングの為に、舌すら自由に動かせず、ナースコールを押したくても、喉と手首に食い込むワイヤーのせいで わずかな 身動きをしても息が苦しい。おれはただ あの看護婦が来るのを待つしかなかったのだ。

 ふと鏡に映る自分の姿を眺めてみた。

「 酷い・・・最低・・・・」

 かつらの髪の毛は汗で べったりと額に張り付いてるし、もがいたおかげで ストッキングもショーツも丸見えになってるのに 自分ではどうすることもできない。両手首は背中に回されてワイヤーで一つに縛られてビクともしないんだから。

道路に面した窓ガラス一枚隔てた 向こうに わずかに街路樹の先端が見えた。まだ外にいるらしい報道陣のざわめきが聞こえるのに、俺は助けを呼ぶことすらできなかった。試しに大きな声で叫んでみて・・・・むせた・・・この猿轡は最悪・・

 まるで 喉まで張り裂けさせようとしてるように、パンティとパンティストッキングで詰め物をされていては、無理して大きな声を出そうとすると気道を刺激して、吐き気さえ覚えた。それだけじゃない、その口の中の詰め物は、声だけじゃなく 息の通りも邪魔して、かすかな呻き声のみが おれに許された たった一つの自由だった。

「むぐっっ・・・・・うぐっ・・・・・うむんんっっっ・・・」

 もがくたびに、だすまいと思っても 微かな息が漏れる。体全身にあぶら汗が吹き出て ナースの制服を濡らして下着のシルエットを克明にしていった。

「だぁめ、大人しくしなくちゃダメでしょ。ほら、鏡の中の看護婦さんも笑ってるよ。」

その言葉に、改めて 鏡の方を向いて 俺はゾッとした。だって、そこには鮮やかなステージ衣装を着て、俺の顔をした奴が 笑ってたっているんだ。

「大人しくしてって言ったでしょ。キミが自分で 言ったんだぞ!その看護婦のお姉さんと一緒なら、どこにでも行くって。」

彼女・・・俺の姿と恰好で、、、でも、あの看護婦の声が、さっきまでと全然変わらない口調でそう言った。奴は 俺の衣装、、ズボンとかシャツだけでなく、靴下や装飾品までキッチリ全部、身に着けているんだ・・・・

「こんな衣装も もうアナタには必要ないでしょ。それじゃリネンさん、後はお願いっ。」

彼女が 戸口にそう呼ぶと、病院内のシーツや医療着を回収するリネンスタッフの女性が、大きなカンバス製の台車を押して部屋に入ってきました。その女性は、部屋の中を見回しても、何もせず 俺の姿を眺めています。

「ふーん、こりゃ本物だわ。私、久しぶりにワクワクしちゃう。」

「でしょう。ワタシ最初にTVで見た時からピン来てたのよ。じゃお願いね」

「いいよ。あ、悪いけど、この回収車に乗せるのだけ手伝ってよ。りっぱな「オモチャ」に仕上げて どっかの物好きに売り飛ばしてやるか。さっ、白衣の天使サマ、後は このわたしに任せていただくわね。」

「あらっ、私とした事がうっかりしてたわ。まぁ、ごめんなさい。こんな素敵なオジョウチャマに乗っていただくんですもの。」


おれには やっとすべてが理解できました。これは人間の交換なんだ・・・・涙に濡れた おれの顔を 面白そうにに見つめていた2人を睨みつけたのが おれの最後の抵抗でした。目隠しをされ リネンカーに投げ込まれて 通路に出た時でしょう、慌ただしい足音とリポーターの話声が おれ・・・わたしの横を駆け抜けていくのを感じたのは。。。

○○さん、恐縮です、
こんど事務所を ≪WAVE−2≫に
移籍されるそうですが
何か 複雑な理由でも・・・・

≪WAVE−2F≫
ここまで

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