笑 う 怪 人



さっきからもう何度、自分の腕時計と壁に掛かる大きな古時計を見た事だろう、
そうする事で、まるで時間が早送りでもしてくれるかのように、その行為をくり返している男性は誰あろう 警視庁 特別捜査第一課の敏腕警部、浪越良治その人だった。

いらつきを押さえきれずに浪越が椅子から 立ち上がったその時、ドアに、ノックの
音が響く。部屋に入ってきたのは、この館に採用されているメイドの女性だった。

「お嬢様、コーヒーが入りました。」

浪越と共にその室内にいた吉岡警部補の顔が、わずかだが輝いた。無理もない。彼が この現場に廻されてからと言う物、ここ数日 満足に寝る暇もなど有り様だったのだから。吉岡も、浪越もその顔は蓄積した疲労の色が濃い。しかし「できる」人間だけが配属される【特別捜査第一課】という部署に配属されて、今回の様なヤマ(事件)を手掛けているという興奮が、その疲労を忘れさせている。

メイドにコーヒーの手配を促した女性主人は、大切に抱えていた宝石箱をテーブルの上に置くとその中身を丁寧に手に取って眺めている。

大小さまざまな宝石は、それに見合ったリングに取り付けられた物もあれば原籍のままのものまで、一番小さい宝石でも、普通の女性がする指輪より一回り以上は大
きいであろうか、その直径は3センチ位はあるようだ。

浪越
「もう午前2時だぞ。まったくいいかげんな男だ」

そんな莫大な宝石も、この仕事一筋のデカには「猫に小判」だ。その浪越の怒りをモロに受けて、普段は温厚な警部補、吉岡慶太郎も 珍しく刺立てた声で答えた。

吉岡
「まったくですよ。あんな脅迫状を送り付けておきながら、我々をこんなに待たせ
て、電話を入れてくるでもなし。本当に頭にきますな。この警備体制に怖じ気づいたのか、、それとも、、」

舞台は帝都から私鉄で一時間足らずの場所のとある屋敷。この屋敷の主の、趣味の良さを伺わせるガーデニンクと屋敷の外観の印象は そのセンスの良さを そのまま室内に連続させいてる。

国内の住宅メーカーが束になっても出来ないだろう その屋敷の室内は、すべて西欧
風の重厚なイメージで統一されており、それに引けを取らない手掘り彫刻を施された大きく どっしりとしたダークブラウンマホガニーの一枚板のテーブル。壁に飾られた絵画や、片隅にさりげなく配列された調度品、、そのどれも手入れよく美しく磨かれて この屋敷の一部となっている。

2人の敏腕刑事は、目の前のコーヒーに手も付けようとせず、ただ待つしかなかっ
た。いや、その部屋、、その屋敷で、同じように じりじりとしていたのは、その2
人だけではない。


正門から玄関までのアプローチに、誘導灯に照らされて林立するのは、石膏像やブロンズ像などではない れっきとした人間、しかも完全武装した警察官であり、その姿は この屋敷の外を出て国道の周辺まで続いている。地上だけではない、その天空には 雷鳴のような爆音を轟かせながら、警察庁直轄のパトロール ヘリコプターが警備の眼を光らせているのだ。

このようにして屋敷の内外を十重二十重に取り囲む制服警官の他に、執事や家政婦に扮装した刑事達も、一様にして 同じ焦燥感に襲われていた。

だが そんな警察関係者とは別な、もう一人の人物は、まるで そんな光景を楽しんでいるかのように、応接間の本皮張りのソファー座ってコーヒーを飲んでいた。

マリア

{まあまあ、お二人とも少し落ち着いてコーヒーでもお飲みなさい。まだ時間は
たっぷりとあるんですし、来ないにこした事はございませんでしょう。}

そう言いながら、宝石を照明にかざしてスカートから 健康的な ふとももを覗かせて脚を組み替える女性。はて?、、帝都に有名をなす辣腕刑事2人の前で、こんな横柄な態度を取れる女性とは?

浪越
「マ、、マリア、、カーリーさん!、、何をそんな呑気なコト、、、わ、、我々は、
この屋敷に遊びに来ている訳ではないんですぞ、、、」

吉岡
「まぁまぁ浪越警部、、たしかにマリアさんの言われるように、たかだかコーヒーを飲むぐらいの余裕がなくては あの20面相の相手など出来ないかも知れないです
よ。では、、、御馳走になります。」

まるで応接間の入り口に デンと置かれたライオンの剥製が命を受けて咆哮したよう
な浪越警部の怒鳴り声にも、おっとりとした性格の吉岡警部補には応えない。
吉岡は、この屋敷の主、マリア・カーリーの勧めに素直にうなずくと、テーブルの上に用意されていたコーヒーカップを手に取って、カリカリしている浪越にも一客 手渡した。

浪越警部、吉岡警部補、そしていわずとしれた警視庁の精鋭を無礼にも待たせている人物・・・その人物とは・・・?

世界が認める国際的歌姫、マリア・カーリーの、そして大胆にも警察庁のパソコン
に、その人物から初めてメールが入ったのは、今からちょうど2週間前。

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○月□日、○時ちょうど
日本での公演を目的に来日するマリア・カーリーの
大切にしている物を、頂戴に参上する。

怪人20面相

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はたして読者諸君は覚えている事だろうか?。かつて、帝都はおろか日本中を震撼させたあの大盗賊、怪人20面相のことを。

長きに渡って繰り広げら続けた、怪人20面相と名探偵&警視庁との争いは、あまりにも突然終幕を迎え、いつしか人々の記憶の中から忘れ去られつつあった。


あれから数十年・・・あの怪人が現代に蘇りつつある・・・。

それは ある日突然、自分から姿を消した怪人20面相なる人物からのメールだっ
た。だが、その素顔は、、否、仮に生きていたとしても、かなり高齢の筈の怪人が
・・・・・浪越と吉岡両刑事は内心、現代によみがえった二十面相と自称する人物への興味津々で本日この警備に立ち会っていたのだった。、約束の時間は午前1時。こうして彼らは冷えたコーヒーを前に すでに1時間以上も 待ちぼうけをさせられていたのだ。

浪越
「もう頭に来た。おい吉岡くん、本庁に連絡してくれ。機動隊に撤収命令を出す。
帰るぞ。あんなメール、悪質なイタズラだったんだ。くそっ!」

吉岡
「うぅむ。ここまでくると そうかも知れませんな。そもそも 怪人20面相だったとたら、もはや現役の筈がない。人の迷惑も何にも考えないような奴らの仕業だったんでしょう。」

浪越と吉岡がそう言って席を立ちかけた。それを止めたのはマリア・カーリーだっ
た。

マリア
「Oh,No!ちょっとまって下さい。あいては怪人20面相なのですよ。」

浪越
「仮にホンモノだとしたらですがね。だが、奴はどこにもいないじゃありません
か。」

マリア
「だ、、だけど、、ホラ、もしかしたら、ほら、さっきのチャーミングな家政婦。あの娘、ひょっとしたら20面相の変装だったのかも・・・・・」

マリアのその言葉に、2人の刑事は、さっき部屋にコーヒーセットを運んで来たエプロンドレスに黒タイツ姿の若いウエイトレスを思い出しながらも、こんな突拍子もない事を言い出すマリアに、一瞬互いの顔を見合わせてしまった。

苦笑しながら浪越警部がマリアに言った。

浪越
「あのですな、マリアさん。あんな完全無欠な変装なんて物は あくまでも小説の中
のフィクションでしょ。生身の怪人は記録によりますと、ごく普通の男性でしてね、変装とかなんとか、そんな事ができる筈がないんですよ。」

吉岡
「そうそう、アメリカンコミックスの主人公みたいに、他人への変装なんてなぁ、現実には出来るわけないですよ。[ふくすけ偽]だか、[たわけのぞみ]だか知らないがまさか、、。」

(ほおおぉぉぉ、、よしおかさん、よくぞ言った、、原稿3倍、、原稿!)

ピピピピッ、、
チチチチチ
ミュンミュンミュン

二人の刑事から、そう反論されてマリアが少し しょげてしまった その時だった、
3人の携帯電話が同時に鳴った!

電子メールが着信したらしい。小さいディスプレイを覗いた彼らは思わず叫んだ。


ー・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・
『親愛なる警視庁の諸君、そして世界の歌姫よ。
我は 約束は破らない。すでに我はこのホテルに来ている。
出来る物ならば探し出して逮捕するがよい。ところで我の
心を込めたスペシャルブレンド コーヒーの味は いかが
だったかな?

それにしても、これ程、たやすく侵入を許してくれるとはな。
これが当時、鉄壁を誇った天下の警察庁の慣れの果てとは
、、』

怪人20面相
ー・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・
吉岡
「な、、なんてこったい、こいつは奴からのメールか?!」

浪越
「本当に現れると言うのか!だが、、スペシャルブレンドって言うのは?、ま、
まさか、このコーヒ、、し、しまっ、、た。!"!"!"$J!"$_!"!"$3!"!"$7!"!"!"
さ、、、」

マリア
{ Huh !?}

カシャン、カラカラン、、どうっざっ

マリア
{Oh!what is that? Mr YOSHIOKA?}
(よしおかさん?どうしたんですか?)

突然の出来事に とっさに母国語が出たのだろう。昏倒する吉岡警部に マリア・カーリーが そう英語で問い掛けていた。

浪越
「お、、おい?どうした吉岡、、?ん、、何だ?この 眠む気、は、まさか、、、
?、、おぅあっ、、つつつ、、」

カチャン ばさっ

手から滑り落ちるカップを受け止めるどころではない、目の前で崩れるように昏倒する浪越警部と吉岡警部補を見下すマリアの目には、放心してしまっているのか、もはや 何の動揺も見られない。

マリア
{ Why? What did you,,,?}
(どうしました?)

沈み込む程 毛足の長い絨毯の上に横たわる、浪越と吉岡2人の刑事を見下ろしなが
らもマリアは駆け寄りもしない。いやそれどころか

{That’s stupid !Sorry.、、、JPN s’ Police i
s disqualified.Better luck next time,,Thank goodness JPN s’Policeis a OHITOYOSI.}( 日本の警察がお人好しで助かるわ。それにしても まるで子供みたい、、残念だけど それじゃ何の役にも立たないわよ。)


んむ?、、、聞き違いか?マリアは心配するどころか、テーブルの上の宝石をケースに放り込んでしっかり抱えながら、軽蔑したような冷笑を子供っぽい顔に貼り付けて、そんな意味の事を2人の刑事に投げかけているではないか?

だが次の驚愕の声をあげたのは そんなマリアの方だった。


「What are You suppose to be? Royalty?Actressa product inexpensive in price and cheap in quality. you! 」
(そう言う お前なんなんだい?安かろう悪かろうのダイコン役者が!)

マリア
{ No! no way! I don’t beilve it.Not efficaciousor not drink coffee YOSHIOKA? }(嘘?よしおかさん、、 信じられない。コーヒーを飲まなかったの、、それとも睡眠薬が効かなかったの?)


よほど自信があったのであろう、マリアは自分から聞いてもいない睡眠薬の事まで
口にしながら、絨毯から むっくりと起き上がった吉岡警部補を睨み付けている。
だが当の吉岡は、先程とはまるで別人のような冷酷な口調でマリアに答えた。

「If you drink, don't drive. If you drive, don't drink. ,,,, Really! more than a match(for a person」(嘘じゃない 飲んだら乗るな,乗るなら飲むなってね。まぁ俺の方が役者が一枚上だっただけさ。 」

{・・・・・・・・・・・・}

「 I have a wild party; have a spree. & Wine, gambling and woman−he's areal all-rounder of a man. to Me,,But」(確かに俺は 酒も女性も財産も好きだし飲めや歌えの大騒ぎもする。だが!) 

{ But?}
(だが?)

「 I have won the VA.you well-matched a counterfeit; a forgery」( 勝つのは俺だ。お前には その贋物の宝石で充分さ。)

マリア
{ So you guess it was by Luck is it .}
(まぐれで喜んでていいの)

「Luck?I think if you offer more prizes the Fight,will become competitive.」( まぐれだって?なんなら賭けてみるかい。その方が燃えるかもな。)

マリア
{ Ah..but..And then of course ,we’ll needa same docter and anurse!}(となると、医者も看護婦も 大勢 必要になるって事よ。)

{ Get Out ! Sorry you are disqualified. Better luck next time.It is a waste of time to think a matter over when one has no good ideas. }(下手な考え休むに似たりってな。 残念だがゲームはオワリだ。この計画から降りてもらおう。失せろっ!)

{ Oh,well! What !?That was a teat, wasn’tit!?}(これはテストだったて そう言いたいの?、、そんな)

「ずいぶんと流暢な「キングズオブ イングリッシュ」だが、本物のマリアなら、とっさの時に、そんな流暢な英語などは使わない。なぜなら彼女は白系ロシアと日本のハーフなものでね、、勉強不足か あるいは お前の考え過ぎだったようだな。それに・・・・」

{それに?今度は何だって言うの?ご親切な刑事さん、、}

「それに あんたのようなマヌケは 本物の20面相じゃないからさ!」

パシュッン
チュイッーーーーキン、ガシャン

{あらあら お話は上手だけど、射撃の腕前は二流ね。せっかくの[漢の壷]、割れ
てしまったわよ。あんな高価な物 壊してしまって警察の安月給で弁償できるのかしらね、こんなガラス玉、あんたにあげるわ。それじゃ さよなら!あははははははは}

パシュッン パシュッパシュッ
チュイッーチュイッーーチュイッーー、ぼしゅぼしゅ、キン、

マリア、、は抱えていたイミテーションの宝石の入ったバッグを 吉岡に投げつけるなり自分のスカートを捲り上げると、ガーターベルトの間に差し込んでいた小型拳銃を吉岡に向って引き金を引いた。

ガッシャアアンン

「やれやれ、、、、、、、、もう少し利口かと思っていたら、なんともにぎやかな女だ。あれでは外にいる警察官どもに 教えてやっているような物ではないか。仕方ない、少し予定を変更して、こっちもお付合いするしかないな。」

このサイトでは珍しい銃撃戦。マリアは数発の威嚇射撃をしながら、欧米独特のアップダウンサッシに体当たりして 窓を叩き壊して、外へと逃出していった。

[なんだ!今の物音は?]
[屋敷の方から聞こえたぞ!]

「おーーーい!吉岡だ!賊が逃げた。警戒を怠るな。怪しい者は猫の子一匹、見逃すんじゃないぞ。賊はマリア・カーリーに変装しているぅ!]

[了解しました!おーい、ヘリコプターにも無線で知らせるんだ!]


不思議な事に、吉岡警部補は外の警官にそれだけ伝えると、自分はマリアを追跡する訳でも、仲間の未だに床に昏倒している浪越警部を介抱するでもなく、ただ突っ立っているだけなのだ。恐怖に足が竦んだとでもいうのか?

いや そうではなかった。吉岡は、浪越警部には目もくれずに 部屋の片隅にあるライオンの剥製に近寄るではないか?!


「さてと・・・お嬢さん、思わぬ銃撃戦になってしまったが、お怪我はなかったかね?予定を変更して、少し出番が早くなってしまったが、そろそろ出番と行くか?」

ズイッ、、ジッジジジジイィィィィィィィィ

「あふうう!!ふおぐうっふ!!」

読者の皆さんはその光景に驚きの声を上げるだろう。吉岡がそのライオンの剥製の脇腹にあったファスナーを開けると、なんとその中には、金髪の女性が縄で縛り付けられて 入れられていたのだから。

顔?残念だが、彼女の顔は その下半分をすっぽりと被せるように嵌められた
猿轡の為に表情はよくわからない。

又、それを取り払おうにも、女性を戒めている拘束は、並大抵の尋常な拘束ではな
かった、その両手は後ろに回され手首を一つに縛られ、やや大き目の乳房の上下に胸縄をかまされており、腕は彼女の胴体に固定されている。膝の上下にも縄が幾重にも巻き付けられた太股と、格好の良いふくらはぎの下、きゅっとしまった足首も、彼女の動きを封じるために一つに縛られている。

「うーうーっっふむううううっっっ!!」

すっぽりと鼻と口を覆って被せられた猿轡は必死の抗議の叫びなど、無意味な呻き声にしてしまい 屋敷の外はおろか廊下にすら漏れない。

言葉すらそんな状態なのに、さらに縄で厳重に拘束されて剥製の中に詰め込まれた女性が自由を手にする術はない。

「おやおや 何をそんなにお怒りなのかね?そんなに立派な毛皮を纏っているという
のに。くっふふふふふふ、」

ううん!、むおっふう!!んごふっふうううぅ」

「やれやれ、、そんなに元気が良いのは何よりなんだが、それでは計画が台無しなのでね、少し寝ていていただくよ。」

「う!ううむうう!!ふくううぅぅ!!はうん!うぅぅぅぅぅ、、、」

猿轡を嵌められた女性の顔が上下に長く見えるのは、おそらく猿轡の下に隠された口の中に、大きな詰物を無理矢理噛まされているのだろう、口を閉じる事ができないようだ。その為に、彼女は意味のある言葉を喋る事ができないらしい。

吉岡は剥製の中に 押し込められた その女性に近づき、彼女の顔にハンカチを押付けた。

「そんなに怒らないでくれたまえよ。大丈夫だ、命まではとらない。ただ、しばらくの間、ぐっすりとオヤスミ頂くだけさ。」

「むふふふん!!うむぐんんんっっっ、、、、、」
(な、なにをぅっっ!!・・・あ、あっ、助けてぇぇっっ!!!)

女性の必死の叫びは、虚しく猿轡に吸込まれる。剥製の中で緊縛された女性は、猿轡の奥から怒りと抵抗の呻き声を上げたが、その呻き声も長くは続かなかった。強力な睡眠薬は、剥製の中の女性に強制的な深い睡眠を与えていた。

バタバタバタバタバタ
、、ドカドカドカドカドカドカドカ

吉岡がそんな彼女を剥製の中から引きずりだして、そのまま床の上に転がすと
入れ替わりに宝石ケースをそこに隠して剥製のファスナーを閉めた直後、警官隊が応接間に駆け込んで来た。

「おい!、、本物のミス,マリアがいた。浪越さんも まだ気を失っている、救急車を頼む!」

[はっ!救急車、大至急手配します。]

「宝石は盗まれたらしい。この部屋の捜索は鑑識に任せて、外だ外!まだ遠くには行っていないかもしれん。」

[急げ!]
[まだいるかも知れん!]

、、ドカドカドカドカドカドカドカ
バタバタバタバタバタ

(さてと、後は本職の警察官達にお任せして、俺は ここで一休みでもするか、こんな事は俺に言わせたら まだまだ序の口なんだ。これから先 本当に大きなドラマが始まる。それも今夜の何倍もスケールの大きなドラマがな。それにしても このコンピューター時代に、警察って役所は あまりにも雑用の整理システムが立ち後れ過ぎてるな。)

入って来た時と同じように、あわただしく賊を追って出ていく警官達を見送りながらそうつぶやく吉岡警部補。

たしかに この3日間、彼らは殆ど寝る暇もない程忙しかった。 怪人20面相のこれまでの犯歴調査と警備配置の手配などに忙殺されていたのだ。だが、そうだからと言って、窓から逃げだした 女性への態度と良い、剥製の中の女性のあつかいとい
い、この吉岡警部補の言動には、不可思議な点が多すぎるではないか。


逃げたマリアの正体は?
吉岡刑事の本当の目的は?
そして拘束された女性の運命は?
・・・・・はたして怪人20面相は まだ健在なのか?

謎は ますます深まるばかりだ。


初代 復活記念作品
≪ 笑 う 怪 人 ≫
第壱話<完>
ー・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・
原作骨子:初 代
創作責任:二 世
創作支援:二代目
原作解凍:福 娘

主演女優:読者
主演男優:読者

擬音効果:いわきのぞみ
掲載管理:綾乃
初稿掲載(壱番館):「言の葉との語らい」
常設掲載(常設館):「二代目福助の隠れ家」
配給総元:Akimix:あきみ
(敬称略)

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