Kenny`s ウェ・マガジン July,2003  By ケン吉岡

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おーい、今月もがんばってるぞい。

Kenny`s News  *とりあえず近況報告だ!

6/3、トロントの北部、ノース・ヨークの市役所前広場(Mel Lastman Square)特設ステージでマイケル・オグラディ・バンドと演奏する。朝の10時からとはいえ観客は約3、000人とのこと。州の教育委員会からロックアウト(学校閉鎖)されているカトリック系小学校教師のデモ集会で非常に政治的なイヴェントだったのだが、何故か我々の音楽が決起ムードをもりあげるために使われたのであった。

6/5、その後カトリック・スクールは再開したのだが、トロントのダウンタウンにあるセント・マイケルズ・スクールに我々は呼ばれウエルカムバック・コンサート/ワークショップを行うことになったのだ。マイク・オグラディは朝早かったから(?)参加できず、ジョニー・キャンベルとフィドルのジェイムスといくつかの学年ごと順番に体育館に集まった生徒達のため3回のセットを演奏。それから楽器などに関する質問に答えたりして微笑ましいひとときを過ごす。

6/23、続いてスカボロにあるセント・マリア・ゴレティ・スクールに出向き演奏する。ハーモニカに関して英語で1コマ200人くらいずつの子供に説明しなきゃいけないのでけっこう気を使うが、前回よりもスムーズに行く。とっさにギャグをかますほどではないが、、。ついでにカナダの歌を1曲アコギを手にして歌う。ニール・ヤングの"Helpless"なのですが。

6/13、13日の金曜日しかも満月のこの夜、ジェイ・クラーク&ザ・ジョーンズとの3セットのショーが、ローリング・ストーンズ・テーマ・バーStones Placeにて行われた。この店はストーンズ・フリークのオーナーの趣味で店内至る所ストーンズ・コレクターズ・アイテムで飾られているんだけどポスター、新聞記事からゴールド・ディスク、サイン入りギターまで何でもあり、おもわず原宿にあるコレクターズ・ショップGimme Shelterを思い出してしまう。もちろんBGMはブートレッグCDからの選曲も含むストーンズ・チューンばかり。72年ブリュッセルのMidnight Ramblerがかかり結構俺もいい気分になる。おーいイタルマン、改井、政井、パーキー、来てみろ。でもって、ショーでは"Sway","Waiting On A Friend"のストーンズ・ナンバーもプレイしたよ。

14日の土曜日に予定されていたRoyal York Hotelでのスペシャル・オリンピックのためのパーティでのギグはキャンセルされる。夏にダブリンで開かれるイベントなのだが、アイルランド政府がカナダの選手はSarsを国内に持ち込む危険があるから入国させないという方針を打ち出したため。

6/27(金)マイク・オグラディのCDリリースLIVEがHealey`sで行われた。3月にもやったけどあれは間に合わせの初回プレス限定100枚だけの分で、今回はカバーもしっかり作ってあるので、まあ正式発表なんでしょうか。で、6/26付けT.O.nite誌のカバー・ストーリーにとりあげられた。

ところで、マイクとのギグで、ここのところ俺も1曲か2曲歌うんだけど、どんな曲を歌うかと言うと、

You Can`t Always Get What You Want
Wild Horses
Beast of Burden/The Rolling Stones
Helpless/Neil Young
Ooh,La,La/Faces
The Night They Drove Old Dixie Down/The Band
Long Black Veil/Traditional
Baba O`Riley/The Who
Baby What You Want Me To Do/Jimmy Reid

なんかをね。一応お知らせしときます





TORONTOのミュージック・シーンを紹介するコーナー4
トロントのハモニカ軍団4
ダウンチャイルド・ブルース・バンド
(ドニー・ウォルシュ、チャック・ジャクソン)

トロントというかカナダのブルースの歴史に名を残すダウンチャイルド・ブルース・バンド。70年代のはじめから活動している大ベテランだ。結成は現リーダーのドニー・ウォルシュ(ギター、ハーモニカ)とその兄弟で今は亡きカナダの伝説的なブルース・シンガーのホック・ウォルシュが中心となった。彼等はなんとあのブルース・ブラザーズのモデルで、同じくカナダ出身のダン・アイクロイドがそのアイディアをいかしたというわけだ。メンバーは現在にいたるまで多数入れ代わっている。ベースのゲイリー・ケンダル氏によると結成から80人くらいがメンバーとして参加したらしい。

ジャム・セッションでゲイリーとは94年から知り合いになったね。バンドをはじめて観たのはその次ぎの年くらいかな。トロントでのフェスティバルでラッキー・ピーターソンの前に出演してた。コンサートではドニーとボーカリストのチャック・ジャクソンがダブル・ハープをキメるところがハイライトになる。それから各メンバーがソロをまわすところだね。サニーボーイ2のスタイルに近いチャック・ジャクソンのシンプルなハープ・プレイが、エモーショナルでよい。ちなみに俺はピアノ/オルガン奏者のマイケル・フォンフェアの大ファンだ。とてもリズミックで音の揺れ具合が素晴らしい。1音1音がとてもはっきりしてて耳に飛び込んでくる感じ。マイケル・セオドア、ロビー・ロックス(映画「シカゴ」観た?看守役で出てるぞ)と俺が前にやっていたレギュラー・ギグに何回かゲストとして参加して頂いたことがある。まだダウンチャイルドに入る前70年代にルー・リードのバンドと来日したこともあるとおっしゃってました。たぶんカナダのブルース・シーンの精鋭がダウンチャイルドに引き抜かれているんだろうね。
あまりハーピストにこだわった紹介ではなくなってしまったけど、このダウンチャイルド・ブルース・バンド、夏場にはアメリカ各地のブルース・フェスに出ているだろうからチャンスがある人はぜひチェック・アウってくれ。ウェブサイトは自分で検索して下さい(とあいかわらず不親切なケン吉岡であった。)。



3分間ハーモニカ・レッスン 
その3 タン・ブロッキングをマスターしよう。

悪いけど再び休みだ。詳しくは俺の本買ってください。

と思っていたのですが、北海道の関さんからタン・ブロッキングのいい練習方法を教えて下さいとメールがあったので、早速ここに掲載させて頂きます。

タン・ブロッキングとはその名の通りハーモニカの穴を舌でふさぎ、そして再び離すことによってリズミックな効果音を出すテクニックで、ジェイムス・コットンの"Creeper Creeps Again" などを聴くとてっとりばやくああこれねってことになると思います。

まず2、3、4をそのまま吹いてみましょう。吹きながら2、3を舌の先でブロックすると4だけが残ります。正確に単音だけ出すようにしましょう。今度はその状態で4だけ吹いてみて下さい。4だけ吹き続けながら2、3につけていた舌を一瞬だけはずしまたすぐくっつけてみましょう。この動作をリズミカルに繰り返して行うと4の音は常に鳴りつつ、2、3の音がコードバッキングの役割をはたし、洒落た(?)フレーズができあがります。

よい練習方法といってもありきたりなのですが、コツをつかむまでテンポを落としてゆっくり音を正確に出すといいと思います。とくに舌の動かし方を把握するまでは慌てずに同じフレーズを何回も繰り返してみましょう。注意することをいくつかあげておきます。舌をハープに強く押し付けないで、先だけ軽くあてること。ちなみに普通に単音を出す場合でも舌左側に付けっぱなしにしておいても結構です。俺はそうしてます。舌をはずした時に出す複音は小さく控えめに。空気の量を減らすとよいでしょう。

宣伝するわけではないけど新しく(外側だけ)出た「ブルースハープの達人になれる本(ドレミ出版)」にフレーズ例がたくさん出ているのでそちらも参考にしてみて下さい。

Sonny Terryなんかはタンブロックを使わないプレイヤーだっていわれるけどタンギング(舌をドゥグドゥグさせながらリズムを吹くあれです)をよく使うので結構関連してると思うけど。ではこんなところで。


編集後期というかひとりごと:今月はけっこう書いた。わりと暇だったからね。ところでストーンズがSars の後遺症に病んでるトロントをサポートしようとこの夏(7/30)にコンサートをやることになった。トロントとストーンズは実は結びつきが強いんだな。キーフが昔ここで捕まった時暖かい目で見たのはトロント市民だったしね。ここ10数年ツア−前のリハーサルと、ウォームアップのためのシ−クレット・ギグ(200人くらい入るクラブで突然敢行される)はきまってトロント。今回はメガ・フェスティバルでストーンズをメインにRush、AC/DC、ゲス・フーなど(他多数)が出るみたい。こういうイヴェントにストーンズのメンバーが出るのはライブ・エイド以来じゃない?しかもバンド全員だからね。政府は40万人集めるっていってるけど。俺?そうだな、たまには観に行こうかどしよかな。チケットがチャリティのため特別に安いけど。自分のギグがなかったらね。会場がデカくてよく聴こえないだろうし、前記の4バンドの他の最近のバンドはよく知らないし、べつにお祭り騒ぎしにいくのもなんだし(けっこう冷めてるワタシ)、家で"Exile On Main Street"聴いてたほうがいいかな(そうこうしてるうちに友人のルイスがチケットをとってくれたから行くことにしました)。

ところで話は変わるけど(あまり変わらないけど、ストーンズ・ファンじゃない人この手の話題ばかりでゴメンよ。)ミック・テイラーもトロントのThe 360っていうクラブ(住所が360 Queenだから、こういう安易なネーミングはよくある)に出るみたい。ここ数年何故かミック・テイラー離れしている自分に気付く。家で普段聴いてるのがブルースばかりだからテイラーのギターでは何か物足りないんだよね。昔雑誌に、彼はブルース・ブレイカーズ出身でストーンズよりもう少しブルースよりのミュージシャンだって書かれていたのを読んだけど、今思えばそれはうそっぱちだ。別に誰でも彼でも黒人ブルースに近付けばいいってわけじゃないけど、要はキーフや、フェイセズ時代のロン・ウッドと比べてもDeep度がないというか、エグさがないというか。ましてやオーティス・ラッシュとかエルモア・ジェイムスとか手本にしていたブルース・ギタリストと比較するとね、つっこみの鋭さもタメの深さも欠けるでしょ。同じ理由でクラプトンのブルース・アルバムもあまり楽しめないなあ。もちろんテイラーにはテイラーのいいとこはいっぱいあります。流暢な節まわしは当時のロック・リード・ギタリストとしてはピカ1だし、時に信じられないような印象的なフレーズ弾くし、一発で彼だってわかるあのリッチな音色の滑らかなスライド・ギターは今でも好きだけど。ただ、69年だったっけ?あり得ないとは思うけど、代わりにいっそのこと誰かブルース・ギタリストでも入ってたらどうだろ?マット・マッフィなんかどうかね。バディ・ガイは?そりゃ滅茶苦茶か?商業的には何だけど、音楽的にはいいと思いませんか?そしたら歴史も変わって今みたいにマイケル・ジャクソンだのマドンナだのとショー的に張り合ってバカでかいスタジアム・コンサートなんかやってないだろうね。その代わり地道にクラブ廻りしてたりして、でも演奏はバリバリ。個人的にはその方がよっぽど観たいと思うだろうね。

この頃野球をよく観ている。ブルー・ジェイズが強いしね。非常に大味なチームで面白い。打撃は今リーグ1。バカみたいに打つけど点もよくとられる。8月にオークランド戦を観にいくぞ。
さて近くまた参加したCDが2枚ほど出ると思う。少しだけしかハーモニカは入ってないけどまあよろしく。

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*不定期講読(一応月刊としてしまったがビシっと続く自信はないので)ご希望の方はメールでそのようにKen0122yo@hotmail.comまでお知らせ下さい。更新次第送信させて頂きます。

*このページでは御意見、感想、ハーモニカなどに関する質問などをお待ちしています。アイディアに欠けるケン吉岡を救うのはキミしかいない!

*それからトロント、カナダのミュージック・シーンに関する質問などもあればお答えします。(ただしコマーシャルな音楽に関してはよくわからんのでそういうのはネットで検索して下さい。)