Kenny`s ウェブ・マガジン August,2003 By ケン吉岡
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WEBマガジン目次 暑中お見舞い申し上げます。残暑お見舞いも申し上げておきます。
Kenny`s News 差し当たりめぼしいニュースもないけどまあ近況報告を少し、、。
*8月3日(日)にもみじコンサートというトロントの日系コミュニティによる日系のお年寄りのためのチャリティ・コンサートにギターの塚田稔樹と出演する予定。
*8月の終わりにはジェイ・クラーク&ザ・ジョーンズの3枚目のアルバムのレコーディングがトロントのスタジオ"Rogue"でブッキングされています。今度のは大ブレイクをめざしているのでたまにはマジで吹くつもりなので(?)ヨロシク。
*マイク・オグラディ・バンドでもほどほどにギグが入っていますので御心配なく。
*トロントの南にあるオンタリオ湖岸(通称ハーバー・フロント)の東の地区(もとウィスキー工場だったためディスティレリー・ディストリクトと呼ばれている)が開発され巨大なパティオつきのレストラン、バーに生まれ変わりにぎわっているらしい。まだいったことないんだけどジャズ、ブルース系のLIVEバンドが週末でているみたい。と思いきやフィンガー・ピッキング、ブルースおじさんのボー・ベイジアックとギグが8/9,8/16(ともに土、午後一時から)に入りました。暇だったら観に来て下さい。
*少し前に参加したいくつかのレコーディングに関してですが、デイヴ・ホワイトのCDとL`arteでのトリビュートCDはもうじき出ると思うんだけど、どうしたんだろ。
サマー・スペシャル 〜
ケン吉岡のThe Allman Brothers Band イン・トロント2003
最新コンサート・リヴュー!
暑いからコンピューターの前に座ってるのもなんだね。しかも熱いコーヒー飲んでロバート・ジョンソンのCDかけてるとますます暑くなってくる。まあ夏は暑くなきゃね。先週ハープのデイヴ・ロタンドとピアノのジュリアン・ファウスのギグの時話してたらデイヴは週末オタワのブルース・フェスティヴァルに出るって言ってて(メイン・ステージでエルヴィス・コステロのすぐ前に演るんだってさ、ますますライバルに差をつけられたケン吉岡でした)、そのフェスにオールマンも出るらしいって聞いた。そう言えばと思って新聞をひろげるとトロントの夏のコンサート・リスティングにも載ってるではないか。で今週、7月9日オールマン・ブラザーズ・バンドがトロントに来たので観に行ってきました。結構出不精になってて長いことそういう大きなコンサートに行ってなかった。チケットとるのも面倒だし(それほどでもないが)特に当日会場で並んだりするのがイヤ。だから今回も別に行くつもりじゃなかったんだけど、水曜日だったし自分のギグもなかったンで夕方になってふと思い立った。チケット持ってないけど、たぶん売り切れてることはないだろうし、遅れていけばダフ屋から安く買えるだろと思いとりあえず一人でオンタリオ湖畔にある野外コンサート場The Molson Anmphitheatreへ。
7時半。まだ早かったようで人がブース前でゴッタ返していた。しばらく岸辺に腰掛けているとオープニングのスーザン・テデスキーが聞こえる。たぶん彼女は一曲くらい飛び入りするんだろうと思い見逃すことにする。しかしな、オールマンのラインナップには既にディッキー・ベッツもいないって知っていたけど(もちろんデュエイン・オールマンも)、何でもウォーレン・ヘインズがかなりのモンだっていうから、それとあのツイン・ドラムは生で観るとどんなかなとなんとなくワクワクし出す。グレッグ・オールマンは前にMuddy Watersのトリビュート・アルバムに入っててたのを聞いたらあまり声が出なくなっていたのであまり期待せずにとりあえず彼の姿だけ拝もう、などと考えつつ時間をつぶす。8時ころダフ屋から$20でチケットを買い中へ入ると丁度演奏が始まる。
自分の指定席はやや後で端の方だったけど、それ程混んでいなかったので左右両方の音をバランスよく聞くため中央へ移動する。別に注意もされないし。前ここでThe Whoを観た時も確か同じような場所に座ったような気がする。
まずはバンドの編成に注目してみると、フロントに3人、ギターにウォーレン・ヘインズらしき人物がまん中に、左隣に若いギタリスト、あれがブッチ・トラックスの甥とかいうヤツか?そしてベースは誰だ?それ程詳しくないもんでよくわからない。それから後ろにドラマーが何と3人。うちひとりはコンガとシンバルのキットなのだが、あれがジェイモーか?それでだ。席が後ろだったし俺の目もあまりよくないのもあるが、グレッグ・オールマンを見つけるのに多少の時間がかかる。ステージの右端、若いギタリスト(最後までメンバー紹介しなかったのだが、後日名前がデレク・トラックスと判明、弱冠23歳でスーザン・テデスキーの旦那らしい。)の後ろにやや隠れるように控えめに陣取っているではないか。とにかく計7人。
第一印象は?ギターがけっこう派手。ミックスの中心になってた。ヘインズはレス・ポールで前半音が歪み過ぎてたような気がする(俺の好みでは)が、途中から抜けのよい音になった。ツボに入るってのはこのことか、状況に合ったプレイをするギタリストだ。ダイナミクスの付け方が非常にうまいいミュージシャンだと思った。で、ブッチの甥っ子の方はストラト。設置されている画面を見るとフィンガー・ピッキングで細かいフレーズを弾きまくっていた。つわもの達との共演で鍛えられてるのか、若いのにヘインズと比べても遜色のない見事なソロをとる。スライドもいい感じ。グレッグ・オールマンは予想に反して(?)いい声してるじゃない!緩急を使い分けた繊細な節回しは健在だ。しかし中盤からばててしまうのでした。他のパートはと言うと、低音がモコモコで、リズムがゴチャゴチャしていたように思う。3人のドラムとベースの音の分離がよくない。そんなに悪いというほどではないがどれが誰の音かはわかりづらい。まあでかい会場だしね。聞こえる感じでは多少(いい具合に)突っ込み気味で曲を引っ張っていたように感じる。
さっそく"Trouble No More"とか"Black Hearted Woman"とか昔の曲をやる。どの曲でもおいしい部分はギター・ソロがもっていくつくりになっていて、とくに2人の掛け合いなんかはとてもよかったね。普段はいわゆるキメのフレーズが多かったり、パートがオーガナイズされ過ぎてるとイヤになってくるのだが、まあ今日はオールマンだからいいか。グレッグ・オールマンはオルガン・ソロもあまりやらないし、途中いつの間にか抜けて休んでるし、あまり目立たなかった。ギターの2人にバンドを乗っ取られたような感じ。まあ彼は何もしなくてもオールマンだからね(?)。他の人たちに働いてもらいましょう。はじめから終わりまであまり観客に話し掛けたりしないで、黙々と演奏していた。ウォーレン・ヘインズが2こと3こと「今夜の気分はどうだい」「新しいアルバムから一曲やります」「ありがとう」とか言うくらい。でもって、"Stormy Monday"ではスーザン・テデスキーが呼ばれて歌いギター・ソロも一回とる。しかしこういう曲とかその後にやった"Statesboro Blues"とかはやはりフィルモア・イーストのライブ盤を意識してかレコードと同じ感じでプレイしていた。まあ、たいていの客はそれで盛り上がっているのでいいのかもしれないけど。"Statesboro"のイントロのスライドはウォーレン・ヘインズ。これももちろんデュエインのフレーズの通り。オリジナルのメンバーじゃない人が中心になってオリジナルの通りにやっているとほとんどトリビュート・バンドを観ている気になるのだが、しかしそれでも演奏自体が素晴らしいので何の文句もない。とくに先にも言ったけど曲のダイナミクスのつけ具合が完璧なので恐れ入ってしまう。あれだよ、あれ。あの迫ってくるような一連のビルド・アップは尋常じゃねえ。グレッグ・オールマンの指示なのかウォーレン・ヘインズが引っ張っているのかよく見えなかったが、やっぱり一流は違うね。彼等は今現在のロック・バンドのなかでは最高の演奏をしていたと断言することにしよう。
しかし、ハウリン・ウルフで有名な"Who`s been talkin`"では妙なリズムの切り替わりを試してたけどけっこうダサい結果に終わる。やはりブルース・チューンはいくらオールマンとはいえオリジナルにはかなわない。ところで、中盤からステージ後方にあるスクリーンに2つの目玉をモチーフにした何故かサイケデリックなイメージ映像が流れる。変だなあ、グレイトフル・デッドならまだしも、オールマンなのにと思っていると"Statesboro Blues"が始まった時映像の中にロバート・ジョンソン、ブラインド・レモン・ジェファーソン、マディ・ウォーターズの写真が出現してきたので思わず喜ぶ。"Statesboro"のブラインド・ウイリー・マクテルはどんな顔してるのか見たことないけどけどたぶん出てこなかったな。
観客の年齢層はというとオールマンをリアル・タイムで聴いてきたというオヤジ連中ばかりというわけではなく、踊り狂ってる若いお姉さん方も多く、ワタシの視線もステージ上からいつの間にかそれていたりして。若いギター小僧らしきグループもたくさんいたね。やっぱりトロントはロック・シティだからね。歌謡曲聴いてカラオケ行ってっていうのが大部分の日本とはちがうね。
"メリッサ"ではグレッグ・オールマンがアコースティック・ギターを持ちステージ中央で歌う。このあたりからのどが疲れ出したのか、声に張りがなくなってきて、大部分のリード・ヴォーカルをヘインズが取るようになる。
ドラム・ソロも見せ場のひとつ。3人が交互にソロを取るわけなのだがこの時スクリーンのイメージ映像に3人のアップがそれぞれ組み込まれ、なかでもジェイモーのドラムを叩く姿とサイケデリックな模様とが妙な組み合わせで笑えた。そのまま"Whipping Post"風の激しいリズムの新曲(たぶん)に続き、ほぼ2時間半のショーは幕を閉じた。最後にアンコールだ。誰もがまだやっていなかった"Whipping Post"か何かだろうと思っていたのだが(ちなみにディッキー・ベッツの曲、例えば"Blue Sky""Ramblin` Man"などは全くやらなかった。)何故か"レイラ"をやる。デュエインへのトリブュートなのだろう。ギタリスト両者ともいいところを出し尽くしたのか、俺が既にうまみを残らず耳で吸い取ったのか、ギター・ソロはそれ程炸裂せずに終わる。グレッグ・オールマンは例の静かな部分でピアノをとちる。そもそも彼がレイラを弾くところには違和感があったし、何となくやる気なく弾いていたような気もするし、、。俺あの曲自体個人的に大ファンではないもんで。土壇場で興奮が冷めあっけなく終了。今回のコンサートはひとりで行ったこともあり比較的冷静に味わいながら観たのだが、これもなかなかいい楽しみ方であった。途中で抜けるのも何だったのでビールも買いに行かなかったのだけど。俺の場合、仕事が休みの時はなるべく飲まないようにしてるから(?)まあいいか。
ともかく久しぶりにいいコンサートを観たのでいい気分になる。家に帰り再びひとりで盛り上がってきて、フィルモアを聴こうと思ったけどやっぱりやめて、かわりにマジック・サムを聴いてから寝る。そういえば"You don`t love me"もやらなかったな。
追記 "Midnight Rider"も"One Way Out"も"In Memory Of Elizabeth Reed"もやらなかった。まあ曲で聴くタイプのバンドではないからいいんだけど。ルーツ・ロックに造詣が深い友人の改井によるとデレク・トラックスは今注目度ナンバー1の(?)ロック・ギタリストで自分のバンドもやってるらしい。俺はここ十何年新しいモノには無頓着だったのだがちょっくらアンテナを張ってた方がいいみたい。
TORONTOのミュージック・シーンを紹介するコーナー5
夏休みということで、、、。
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編集後期:日本ではあまり話題になってないようだけど7月30日(水)にトロントで「Sarsをぶっとばせ(?)ローリング・ストーンズ・コンサート」が開催、観に行ってきたぞ。たった一日でなんと45万人がつめかけたのだからさあ大変。しかも出演バンドはストーンズをメインにAC/DC、ラッシュ(トロントは地元なんだな)、ゲス・フー(これもカナダのバンドだったのです)他十数組。昼から11時間だからねえ、話せば長いんだよね。ストーンズはRuby TuesdayとYou Can`t Always get What You Wantもやった。キーフはソウルっぽいスローな曲(新しい曲かな?かなりよかった)とHappyをやった。しかもアンガス・ヤングとその兄貴が飛び入りしてRock Me Babyもやった。ミックは先週ついに60歳の誕生日を迎えたようだが、どうみても信じられない。Steel Wheelsのツアーの頃よりよっぽどカッコいいんじゃねえか。来月までに詳しくリヴューを書こうと思うが忙しかったらわからん。今回はオールマンので勘弁してくれ。
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*不定期講読(一応月刊としてしまったがビシっと続く自信はないので)ご希望の方はメールでそのようにKen0122yo@hotmail.comまでお知らせ下さい。更新次第送信させて頂きます。*このページでは御意見、感想、ハーモニカなどに関する質問などをお待ちしています。アイディアに欠けるケン吉岡を救うのはキミしかいない!
*それからトロント、カナダのミュージック・シーンに関する質問などもあればお答えします。(ただしコマーシャルな音楽に関してはよくわからんのでそういうのはネットで検索して下さい。)