5)「選手紹介 -SS- Nomar Garciaparra-」
By Ken
今回編集してくださっているMatsudyさんに「Nomar Garciaparraの紹介文を書いてくれ」と頼まれたのはいいものの、いったいどこから手をつけていいのか分からず毎日頭を抱えているとなんと締め切りの日ではないか.…
彼の魅力をどのようにみなさんに理解していただこうか考えた挙げ句、まずベーシックなプロフィールに続き「98年Nomar日記」(97年の分もやりたかったが長くなるのでやめた)なるものから始めることにしました。以下の記録は今年の彼の主立ったバッティングを追ったものです。とりあえずはこの記録に目を通してみてください。
Nomar Garciaparra (by matsudy) Profile
本名:Anthony Nomar Garciaparra (「Nomar」とは彼の父親の名前「Ramon」と逆に綴ったもの)
生年月日:1973年7月23日
右投右打
身長:182センチ
体重:80キロ
1994年にボストンレッドソックスによってドラフト1位指名
1997年アメリカン・リーグ Rookie of the Year
・4月5日 対シアトル (ランディ ジョンソン)
4打数2安打(本塁打1)4打点
・4月14日 対オークランド
4打数2安打:三塁打、決勝点となるスリーランホームラン、5打点
・4月2日〜4月19日
16試合連続安打 (72打数26安打)
・4月21日 対デトロイト
5打点、ホームラン2本
・5月8日
肩の故障のため途中交代
・5月13日〜5月27日
故障者リスト、13試合欠場
・6月1日 対トロント
同点の均衡を破るツーランホームラン(9回表)
翌日には11試合連続安打となるスリーランホームラン
・6月16日〜17日 対シカゴ
3打席連続安打
・6月19日 対タンパベイ
二本のソロホームラン
・6月22日
アメリカン・リーグ週間優秀選手(この期間打率4割、ホームラン3本、6打点、10得点)
・6月26日 対フロリダ
5打数4安打 2塁打2本
・7月3日 対シカゴ
5打数3安打、3打点、ホームラン1本、この日24試合連続安打達成
・7月16日 対クリーブランド
4打数4安打、2塁打2本、ホームラン1本 この試合から3試合連続ホームラン
・7月25日 対トロント
8回裏決勝点となるツーランホームラン
・7月26日 対クリーブランド
スリーラン場内ホームラン
・7月28日〜30日 対オークランド
このシリーズ中13打数8安打、ホームラン2本、5打点
アメリカン・リーグ週間優秀選手
・8月11日 対カンサスシティー
10回裏のサヨナラスリーランホームランを含む2本塁打
・8月13日 対ミネソタ
ホームラン、犠打、盗塁、均衡を破る2塁打を含む4打数3安打
・8月22日 対ミネソタ
1日休養の翌日、ホームランを含む5打数3安打4打点
・9月2日 対シアトル
9回裏3対3からの満塁サヨナラホームラン
これによりメジャー昇格から2年連続30本塁打以上達成(マグアイアを含む史上5人目)
・9月23日 対タンパベイ
2塁打1本、ホームラン1本 4打数2安打3打点
・9月24日 対ボルチモア
アメリカン・リーグ プレイオフ進出をかけた試合でホームラン2本
・9月29日 対クリーブランド
プレイオフ第1戦でスリーランホームラン
この後のプレイオフ3試合と合わせた4試合で3割3部3厘、ホームラン3本11打点
シーズン通算
143試合、604打数195安打 打率3割2分3厘、35本塁打、122打点
どうでしょう?彼の魅力が分かっていただけたでしょうか?野球ファンの方であれば、もうここまで読んだ時点で「誰だこいつは?こんなやつがいるのか?」とお思いでしょう。
実は今、彼の記録をこのような形で羅列して皆さんに紹介することにものすごく抵抗を感じています。なぜならこれは彼のバッティングの記録を表わすだけであって、バッティングは彼の魅力のほんの一部でしかないからです。彼はファーストでもDHでも外野でもないのです。そうです彼は遊撃手なのです。ここ数年NYYのJeterやSeattleのRodoriguezの台頭で「打てるショート」が珍しくなくなっているのは確かですが、本来ショートは「守備の人」であって、打撃は二の次なのです(そしてそれで通用するのです。クリーブランドのVizquelのように)。しかしNomarは違います。
彼はRed Soxの4番打者なのです。今年ショートを守りながら4番を打ったメージャー選手は数人いますが(上記のRodriguezも含めて)、4番が定位置となっているのはNomarだけです。確かに彼は今年25個のエラーを記録しています。しかしこれは他の選手ならば送球しないであろう場面においてもNormarが送球するからなのです。3塁後方のフェアライン間近で捕球した球を誰がゲッツー狙いでセカンドに送球するでしょうか?ライト、センター、セカンドの中間に落ちそうなフライを捕りに行くショートがいるでしょうか?Nomarだから追いつくのであって、Nomarだから送球するのです。彼のファインプレーを表わす数字がないのがどうも納得いきません。例えば、ホームラン70本という記録が紙面に書いてあれば、そのバッターがとんでもないバッターであることは一目瞭然です。ゴールデングラブ**回受賞と書いてあれば、彼の守備が「堅実」であることは分かります(あくまでエラーをしないという意味で「堅実」なのです)。しかしフィールディングの上手さ、肩の強さは数字に表れません。逆に肩が強いから、フィールディングが上手いから、エラーの数が増えてしまうのです。Jeterだったら捕れない打球をNomarは捕ってしまう、Jeterだったら投げない打球(結果ヒット)をNomarは投げてしまう(結果エラーが記録されることもある)。そしてオールスターに出場するのはJeterなのです(97年にはNomar出場)。あー納得いかない。
確かに僕の見方はNomarひいきかもしれません。だからどうしたって言うんだ(突然偉そう)。Red Soxファンなんだから当たり前だ。こっちはNomarのサヨナラホームランを2本フェンウェイで見てるんだ。しかもそのうち一回はずぶ濡れになって1時間20分の試合中断の間ねばった後だ。ボルチモアに勝ってプレイオフ決めた時フェンウェイにいたんだ。Gordonの三者三振を見てるんだ。3万3千人で一緒にため息ついたんだ。結局実現しなかったNYY対Red Soxの試合を夢見て4時間半も電話掛け続けたんだ。確かにクリーブランドに負けたよ。でもJusticeよりRamirezよりThomeよりNomarのほうがカッコいいじゃないか。Moのアッパースイングを真似してみろ。誰があんなに頭斜めにして打てるんだ。Pedroのチェンジアップを打ってみろ(打たれたけど)。Wakeの小学生より遅い球だってまともに打てないだろ(打たれたけど)。確かにBenjaminは禿げてるよ。確かに変化球空振りするときは情けないよ。だけどやつのもみあげには勝てないだろ。Veritekはスイッチヒッターだ。Piazzaが左で打てるか?Braggより小さいライトがいるか?Stanleyは出戻りだ。悪いか?だいたい大の大人が変なインディアンのマンガが書いてある帽子被って恥ずかしくないのか。何回も何回もWorld Series勝ったチームに本当のWorld Seriesの価値が分かるか?一球ごとに打席はずして手袋直して、リストバンド直して、スパイクのつまさき20回トントンしてみろ。Nomar Garciaparraよりすごいショートがいるなら連れてこい。そしていつか一回でいいからWorld Championになってやる。Once in a Lifetime.