今回は緊急に Vol.8 の発行を決めさせていただきました。締め切りまで 2 日程度しか時間をとりませんでした。Tatsuya 様忙しい中原稿を書いて頂きありがとうございました。WS 終了時には No.9 を発行しようと思います。(matsudy)
By Tatsuya劇的な勝利でした。感動でした。涙で前が見えませんでした。そしてこのドラマをハッピーエンディングで終わらせたREDSOXのゲーム運びには次にあげるようないくつかの確固とした方針・姿勢があったことを強く感じました。だからこそ、3連敗からの4連勝というMLBPS初の偉業が成し遂げられたのだと思います。思いつくがままに書いてみたいと思います・・・
@ 窮地に追い込まれても、わずかな可能性が残されている限り・・・ 「次」に向 けての万端の準備を怠らないこと
逆転優勝への伏線は、すでに「屈辱的」大敗を被った、第3戦の試合半ばにあったのです。フランコーナ監督の頭にはすでに第4戦をどう戦うか?という思いがありました。圧倒的な劣勢においては、無駄な投手起用は避けたい・・・ その状況を自ら感じ取り、マウンドへ赴いたのはWakeでした。5点を取られたものの、彼は3イニングの間、ひとり身体をはり、YANKSの攻撃の矢にさらされることを拒まなかったのです。「あいつはプロの中のプロだ」と試合後、フランコーナ監督は、彼の姿勢を賛えました。これにより、Timlin、Foulkeが温存でき、翌日からのブルペン奮起に繋がったのです。
A打てなくても守れなくても・・・レギュラーシーズンを通じて培った信頼、信念を 貫き通すこと
JohnnyとBellhornは喘いでいました。チャンスに回ると併殺打、そしてここ一番で の犠牲バントの失敗、さらに不調の彼らに追い討ちをかけるかのような、処理の難しい打球・・・多くのひとが、「なぜ使う?」「いつまで我慢する?」と問い掛けました。しかしチームの絆は全く崩れていなかったのです。「必ず貢献できるときがくる!」誰もがこう言ってふたりの失敗を責めませんでした。そして、「夜明け」はまずBellhornに訪れます。第6戦、Lieberから放った貴重な3ラン。前兆はその前の試合に既にありました。Mussinaからの二塁打・・・第1戦、MussinaのNoNoを破ったのはやはりこの男の二塁打(7回)でした。何かが吹っ切れたはずです。そして、圧巻はJohnny・・・かれの前兆は第6戦の1本のヒット。いつもの三遊間をきれいに抜けて行く早いグラウンダーがようやく戻った瞬間でした。第7戦の第一打席に、それはつながり、そしてあとはご覧の通り。まさに「タイミング」で打つ彼のポイントが完全に修正されたのです。シリーズの序盤・中盤を苦しみぬいたこの二人が、抑えどころで大活躍。まさにこれは「調子のよいものをどんどん使う」という短期決戦にありがちな方針とは全く逆を貫き通し、最後はチームの信頼・信念が呼び込んだ大きな「贈り物」であったわけです。
Bブルペンは精神力<気持ちで絶対相手に負けないこと
第3戦での屈辱を胸に秘めた各ピッチャーの表情・・・4戦以降それは「何か」を感じさせる力強いものでした。ブルペンに失敗はつきもの。しかし、ここでも強いチーム愛と信頼に支えられ、ふたたび不屈の闘志で立ち向かう彼らの姿を感銘をうけました。 Timlin、Arroyo、Embree、Myers・・・まさに「死闘」の延長が続いた第4戦と第5戦、ともに7回以降合計14イニングを無失点で抑えたことを語らずにはいられません。もちろん柱であるFoulkeの大車輪の活躍も含めて。
Cエースの自覚と行動、それにこたえるナイン
シリングの第6戦での熱投はまさに筆舌に尽くしがたいほどの感動を与えてくれました。「血染めのストッキング」はさらに大きな結束力をREDSOXにもたらした・・・ともいえるでしょう。みんながシリングをもう一度マウンドに立たせるためにもぎとった延長の 2試合、そして今度は見事に彼は応えたのです。絶好調からは程遠かったPedroの第7戦での登板。YANKEEスタジアムからは「Who's your Daddy?」の大合唱・・・2点は失ったものの、そこには「騒ぐだけ騒げ。もっともっと騒げ。」といわんばかりの表情で力投する彼の姿がありました。あのような登板が必要であること、そしてひとつの区切りをつけることができれば、近づいていた勝利をさらに確実なものにすることができる・・というフランコーナ監督の心憎い演出のひとつであったともいえます。
WSでもこの姿勢は変わらないはずです。相手は知将トニー・ラルーサ。あの手この手 を仕掛けてくることについては承知の上です。しかし、どこにも負けないチーム愛と信念を基盤に強い絆で結ばれているREDSOXに怖いものはないはずです。ドラマの第2章がきっと私たちを再び感動させてくれることを信じてやみません。
By matsudySox の Playoff の試合について今自分の記憶があることを書いてみることにする(1986年のSox は知らないのでかけなかった。その頃はBoston Red Sox があることなんて知らなかった。)。
1988 ALCS
AL EASTからはSox, AL WEST からはOaklandが出場。信じられないくらいにOakland が強かった印象があり、4連敗。Oakland がCanseco とMcGwire で一時代を築いていた時代だった(豪華先発陣にCloser のEckもいた)。あの頃 Internet などはなく全く情報はなかった、BSの生中継か録画中継だった記憶がある。Clemens が痩せていた印象はない(86年の映像を見るとかなりやせている印象があるのだが)。Clemens 以外では 3B のBoggsぐらいしか記憶にない。
1990 ALCS
1988 ALCSと同様 AL EASTからはSox、AL WEST からはOakland が出場。見事に 4 連敗。記憶にあるのはClemens が先発し、途中でBallの判定に抗議して退場をくらった(調べてみたらGame 4で起こったことだった)。あれだけ強かったOakland が WS で負けるのを見て WS に勝つのは大変だということを知った。やはり Clemens 以外では Boggs、LF Greenwell、CF Burks ぐらいしか覚えていない。
1995 ALDS
この年からAL EAST-WEST の2地区制から EAST-CENTRAL-WEST 3地区制になりWild Card が生まれた。ALCSの前にALDSを行うようになりPostseason はALDS-ALCS-WSの3段階となった。この年、AL ESAT を制した Boston (NYY がWild Card)はAL CENTRAL のCleveland と対戦。見事に3連敗。Soxは 86 年の Game 6から数えると 2-4-4-3 の計 Playoff 13 連敗となった。Sox は Playoff では勝てないのでは?これは Curse of Bambino のためだろうといわれていた。その年は Bostonから離れたところに住んでいたのでTV観戦したものの3戦全てを見たわけではない。Foxで中継だったと思うが、Clemens が投げたGame1は見たがGame2 以降は見られなかった記憶がある。ESPNでのハイライトで見たのが中心だった。Clemensに加えて、SP Wakefield, RF Canseco, 1B Mo (この年 Mo は MVP を獲得)の4人が印象に残っている。Playoff に関してものすごくいやな感じを感じていた。
1998 ALDS
Wild Cardで出場。またもやAL CENTRAL のClevelandと対戦した。Game1はPedroが先発。RHP Jaret Wright を打ち込んで快勝。しかし、その後3連敗した。RHP Gordon がSeason からの連続Save 記録を継続してALDSに突入していたがついにGame4で打たれてしまった。この年、Cleveland に勝てると思って(僕の中ではALCS はSox-NYYとなる予定だった、しかし WS にいけるとは確信できていなかった。)、Playoff電話予約(繋がった!)のときにALCSのチケットを選択していた。格安航空券もとっており、結局何もないBostonに行き、JUNさん宅に泊めてもらいJUNさんとKenさんとで残念会をした。
1999 ALDS
1998年と同じ Wild Card で出場。またもやAL CENTRAL の Cleveland と対戦した。Game1にPedro が先発したものの肩を痛めて途中降板、Game2も負けて連敗。Game3, Game4をJUN さんと Fenway で観戦した。Game3の前にWarming UpにLou が出ていて、なぜだ?と思っていたら Season 終盤にNomar が手首にぶつけられていた箇所が悪化しこの試合は出場しないということが分かった。Nomar が選手紹介のために一塁側に整列した時に悲しそうに下を向いていたことが印象的だった。目の前で見た試合で試合前に落ち込んだのはあれが初めてだった。Game3は逆転勝ちした。昨年打ち込んだRHP Jaret Wright が途中から登板したのだが、彼がBullpen からでてMound に向かうときに、何かいけるのではないかという気がした。明らかに流れが変わった瞬間だった。Game4 は 23点を入れる大勝。”One, Two, Three-“ と始まって ”Twenty two, Twenty three! ” と球場全体で数を数えていたのが印象的だった。Game5は総力戦になるも肩を痛めていたはずのPedroが途中から登板し6回を無得点に抑えた。その間に逆転し、2連敗で後がなかった状態から3連勝しALCSに進出した。このときに短期決戦時の勢い・流れがいかに大事かということと、後がない状態に陥っても勝つことはできるのだと感じた。
1999 ALCS
Sox-NYYの対決となった。1995年のWild Card 制の導入のおかげで同地区のTeamがAL Pennant をかけて戦うことが可能となった。Playoff でNYYと対決するということでマスコミは大いに煽っていた。またGame3にPedro とClemens の先発が決まることで、Game3 は ”Game of the Century” と呼ばれていた。Game1, Game2 をNYで連敗し、Game3をFenwayで迎えた。Game 3はJUNさん、takeshi さんと観戦した。試合開始から異様な雰囲気と歓声につつまれたFenway だった。Clemens を打ち崩し1勝2敗とする。Game4 はJUNさんと観戦、誤審等がありGame3とは違った意味で異様な雰囲気になった。没収試合になるのかとも心配したが、最後まで試合は行われた。結局Game4, 5 と連敗しNYYに負けてしまった。確かに力の差はあったと思う。しかし、NYYの選手のあたりがぎりぎりでHRとなるのにSoxの選手のあたりがあと30センチのところで届かなかったりしたことが印象的であった。やはりNYYには勝てないのか?(Curse?)とい気分となったことは否めない。この年もNYYはWSでも勝っている。
2003 ALDS
6年連続AL EAST 2位。もちろんNYYがこの6年間常にDivision Title をとり続けた。AL WEST のOakland と対決。Game1, Game2 に2連敗。Game 3に延長11回Nixon のWalkoff HRでサヨナラ勝ち。Game4 も8回裏に逆転し連勝。1999年に2連敗から3連勝したことがあるのでうまく行けば勝てるのではないかと思っていたら本当にGame 5も勝ってしまった。
2003 ALCS
Sox-NYY。またもやこの対決。1999年の再戦となった。Game1 はWakeで勝ち。Game2はLoweで負け。Game3 はまたもやPedro-Clemens の1999年の再戦となった。Clemens のMannyへの投球をめぐって乱闘になり、Don Zimmer がPedroに突進した。Game3 を落としたものの Game 4 はWake で勝つことができた。Playoff でWake が2連勝するなど予想もしなかったことでかなり驚いた。Game5 はWells に抑えられ2勝3敗でNYに戻ることとなった。Game6 に逆転勝ちし、Game7 が俄然注目された。Game 7 は Pedro-Clemens の対決。8回の表まで5対2と3点差で勝っていたもののPedroを引っ張りすぎた(?)ために追いつかれ、延長11回Wake がBoone にWalkoff HRを打たれて負けてしまった。Game 6 に勝ってその勢いをそのままGame 7に持ち込んでいて、8回の表で3点差をつけた時点で勝ったと思った。真剣に勝ったと思った。しかし、それが問題だったのあろう。試合が決まるまで気を緩めてはいけないのだ。それを忘れてしまっていた。高い高い授業料となった。やっぱりNYYには勝てないのか?という気持ちだけが増大した。しかし、勢いで勝てる可能性もあると思ったのも確かである。
この年のOff にLittle 監督が更迭。RHP Curt Schilling をTradeで獲得。SS A-Rod 獲得の交渉が殆ど合意に達していたにもかかわらず決裂し、結局NYYに持っていかれる。2004年のSeason が始まるまでBos-NYY の話題には事欠かなかった。
2004 ALDS
7年連続AL EAST 2位(98勝!)。Wild Card でALDS 出場し、Anaheim 相手に1975年以来のPlayoff で初めてのSWEEP!何かが変わったという気がしていた。Rotation を崩すことなくALCS に突入できる。
2004 ALCS
Bos-NYYのALCS。6年間で3回目の対決。やはりNYYを撃破し、その先にWS が待っているという構図は物凄く分かりやすい。確かに101勝したNYY と98勝のSoxだったがそれほどは差がないと感じていた。Playoff は投手陣で決まる。Clemens-Pettitte-Wells が抜けたRotation はそれほど脅威ではないと感じていた。これまで彼らには幾度となく煮え湯を飲まされてきた。それに対してBrownやVazquezは比較的組やすしという印象があった。Sox はSchilling, Pedro, Arroyo, Wake, Lowe がおりNYYと比べても遜色ない、そして昨年と大きく異なるのはCloser にFoulke がいたことであった。Nomar は抜けたものの重量打線は大きなレベルダウンはなくALCS に望むことになった。しかし、まさかの3連敗(Game3 は8-19の歴史的大敗)。さすがにへこんだ。Game4も1点差でRivera 登場、もうだめかと思ったが同点にし延長、Ortiz のWalkoff HRで勝ちをもぎ取った。Game 5 もRivera 登場。またもや同点にして延長突入。14回にOrtiz のHit で連夜のサヨナラ勝ち。Game6 はSchilling の壮絶なPitching、Game7 はLowe が中2日で投げて勝ち、4連勝でNYYを撃破した。これまでPlayoffで3連敗して4連勝をしたTeam はなく歴史的なALCSとなった。それもNYY相手にである。これまで1920 年以降 NYY が黄金時代を築き、1978 年の Sox-NYY One-Game Play off で Sox が負け、1999年, 2003年(特に Game 7 の延長で負け)とALCSで負けてきた Sox がタイトルのかかった試合で初めて NYY に勝ったのである。なにか今まで垂れ込めていた暗雲が消え去ったような気がした。特に Bellhorn の HR をみてそう思った。NYYに対しては今までならFoul Pole に当たるようなことはなかったと思う。そういうことは全てNYY側に起こっていたのである。
さてWSに出場する Sox は 1946 年、1967 年に Game7 で負けたSt. Louisと対戦する。どんな勝ち方でもいいから勝って欲しいと思う。WS に勝てばもう誰も“The curse of the Bambino “について言わないはずである。2004 年が "The curse of the Bambino" の最後の年になることを期待したい。