日本動物行動学会, 第15回大会 (1996), 東京大学

モンシロチョウ:オスの探雌行動の"個性"

廣田 忠雄・浜野 菊江・佐藤 俊幸・小原 嘉明

東京農工大・獣医学科・動物行動学

概要:モンシロチョウ(Pieris rapae crucivora)のオスにとって、繁殖における最大の課題はメスの発見である。メス探し行動に関しては、集団レベルの観察例はあるが、個体ごとの行動に注目したものはほとんどない。我々は、飼育した成虫オスをマークして放し、メス探し・吸密行動を個体ごとに観察した。この際、分散と交尾によるメス探しの中断を避けるため、観察は10 x 20 m2のケージ内のキャベツ畑で行った。
 結果、メス探しの開始時刻は平均して7:45(±1:10 s.d.)、1日あたりのメス探し時間は平均2.3(±0.9 s.d.)時間だったが、個体間の変異も大きかった。メス探し開始時刻の個体変異は、数日に渡って維持されていた。この変異の一部は、日齢との相関によって説明できる。メス探し開始時刻は、日齢の2次回帰で有意に説明できた。9日齢まではメス探し開始時刻は次第に遅れ、10日齢以降は次第に早くなった。また日齢の高いオスほど、より長くメス探しを続けていた。分散が許されずメスがいない実験条件のため、メス探し時間を延長することでメスの密度に反応したのかもしれない。
 これらのデータを元に、個体を基盤にした観察の重要性や、オスの行動の変異の意義について論じたい。

キーワード:昆虫, 鱗翅目, 蝶, シロチョウ科, 交尾行動, 繁殖行動, 採餌行動, 進化, 生態

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