January 2002

Last Update : 1/28/2002



冬の過ごし方
1/28/2002
風がある日は露出している皮膚が痛いほどの New York の冬。

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食事の後、軽い運動にと安いプールバーに友達と行った。

年が明けてから、少しずつ仕事が忙しくなり ( 少なくともこの忙しさは2月いっぱいまで続く。おそらくその後も・・・)、最近自分のホームページの更新が滞りがちだ。少なくともいまのところは週末出勤は免れているので、時間を作ろうと思えばあるのだけれど・・・。
いいわけを考えてみると、外に出るのが寒くて億劫 → 出かけないので New York Watch で紹介するようなネタもなし、ということになるだろうか。冬の New York は体感温度が零下になると本当に寒い。出歩く人も完全防寒着になり、みんなモコモコしている ( ダウンジャケットやセーターにレザージャケットなど )。その上帽子にマフラー、手袋を装着しないと、肌を露出しているところがあると痛いくらいなのだ。

それだけ寒いと待ち合わせも結構大変だったりする。
外で待ち合わせなんかしていて相手が遅れたりしたもんならもうそれは凍えてしまう。だから Starbucks なんかの Cafe でコーヒーを飲みながら待ったりするのだ。それはそれでいいのだが、メンバーがそろって「さあ行こう」となると、やはり外は寒いので道草を食ったりなんかせずにレストランに直行し、レストランで食事をした後はカフェやバーにこれまた直行となるので、ずっと飲み続け、食べ続けになってしまい、その後行くところも無くなってしまう。特に歩く距離だが、春から秋はもちろん、少しぐらい涼しい季節でもそれこそ10ブロックぐらいだったら歩けるものが、寒いとそんなに長時間外を歩きたくなくなり、すべてを近場ですませるか、タクシーや地下鉄の交通機関を頼ることが多くなる。

クリスマスのパーティを始め、「 ○○ gathering 」と言って人がお互いの家を訪問しあうのもそんな冬ならではなのだろう。

ところで外出のときに困るのが実は分厚いコートやマフラー、手袋なのだ。外はそれだけ寒いのに、室内は真夏のごとく暖かくひとたび室内に入るとその防寒着のせいで汗がふきだすほど。日本のように家族が集まる場所だけに暖房を入れたり、外出している間は暖房を止めたりする習慣はこちらになく、24時間、すべての部屋が一定の温度に保たれているのだ。
ちなみに New York 州の法律ではある日時から次の年の春のある日時まで、アパートには暖房を提供しなくてはならないと定められている。しかも最低温度は65F度と決まっており、これを下回ったときはアパートの住人は警察に緊急電話をかけてよいことになっている。大家または管理人は住民の生命をおびやかし、危険にさらしたとして ( なんと大げさな ) 厳重に注意・処罰されるのだそうだ。

まあそんなわけでアパートに限らずレストランでも屋内はとても「暑く」、席に着けばすぐにコート、マフラー、帽子をどこかに片づけないと座る場所が極端に狭くなってしまう。レストランによってはコートチェックができるところもあるし、もちろん club にはどこでもコートチェックができるようになっている。

脱いだり着たり、コートチェックに預けたり、返して貰ったり・・・冬の外出は衣類がじゃまになるので、こうして億劫になってしまうのだ。
写真は食事の後、普段だったら適当に Village をぶらぶらするところだが、あまりに寒いので近くのプールバーに飛び込んだところ。結局、この日はそれ以外に行くところもなく深夜までキューを握ってた・・・。ふとこのとき日本のことを思い出したんだが、僕が大学に通っている頃、ビリヤードブームというのがやってきた。けれども数年後にはほとんど見かけなくなってしまった。
アメリカにもそんなブームがかつてあったのかどうか・・・それでも Manhattan ではあちこちでプールを見かけることができる。寒い冬にはもってこいの気軽なレジャーなのかもしれない。( 日本はカラオケ? )



ところでこの New York Watch を置いている oocities.com からそろそろ引っ越ししようと引っ越し先を物色中。もともと1年分のデータが10MB を越えるので、oocities.com が割り当ててくれる 15MB 程度では足りず、1年ごとに過去のデータを移し替えてきたのだ。がそのバックアップサーバもいっぱいになりつつある上に、リンクの張り替えなどが面倒なのでこの際ひとまとめにしたい。さらに追い打ちをかけるのは、oocities.com はデータ転送量の上限が決まっていて、一定時間に多くの人が同時にアクセスすると時間あたりのデータ転送量の上限を超えたとか言って、アクセスを規制をする措置をとりはじめたのだ。そのせいで、New York Watch にアクセスしたら見慣れぬエラーが表示された人もいるかもしれない。
nomeri.com ドメインが置かれているすべてを持ってくるのが理想なのだが、現在のサーバ容量では掲示板への写真投稿の数を減らさなくてはならなくなりそうなので、この際 nomeri.com が置かれているサーバも、New York Watch もどこかに引っ越ししてそこで新生 nomeri.com をスタートしようと画策中なのだ。

どこか、お得でネットワークスループットとサーバが高速な ( もちろん安定稼働しているのが第一条件 ) web hosting の会社を知っている人いたら、是非教えてください!



1/20/2002
昨シーズンに比べると降雪の回数が少なかった今シーズンだが、今日は昼過ぎから雪が降り始めた。

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最寄りの地下鉄駅からの風景。G2にて撮影

早くから寒くなったかと思うと、急に暖冬になったりと不順な天候が続いている New York の今冬だ。
例年・・・というほどまだ New York 暮らしは長くないが、それでも今年は降雪の回数が極端に少なかった。一度だけ降った雪もその日の内に溶けてしまうくらい少量のもので、さては今年は雪が積もらない平和な冬が迎えられる、と思っていた。
天気予報で「明日は雪」と伝えていたものがただの雨でしかも普段より暖かい気温になるなど、滅多にはずれることのない天気予報でさえ雪にはならなかったくらいなのだ。

今週月曜日は、黒人公民権運動に尽力した Martin Luther King Jr. の誕生をたたえる National Holiday になっているため、学校はもちろんのこと、多くの会社がこの日を休日にしている。Matin Luther King Jr. については、以下のリンクででもう少し詳しく Martin Luther King Jr.の人と成りについて読むことができる。

Martin Luther King Jr. について

この休日は、毎年1月第3週の月曜日と決まっているので必ず三連休になるのだが、天気予報ではその初日から雪との予報を出していた。
土曜日朝起きて遅い朝食を食べるまではただの曇り空だったのだが・・・・

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Lower Manhattan エリアにて。G2にて撮影
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Lower Manhattan エリアにて。このランプの中は本当の炎が灯されている。昔ながらのガス燈か。G2にて撮影


用事があって出かけようとしたころから雪が降り始めた。
ちょうど近所の駅から地下鉄を待っているときに撮ったのが上の写真だが、まだ降り始めなので、それほど積もっていない。
街を歩いていても塩化ナトリウムなどの除雪材を歩道に蒔いている様子を何度も目にした。自分の家の前の歩道はその人の責任のもと除雪しておかないといけない、というようなことを以前聞いたことがあったがそれでだろうか。それでもまだ除雪材の効果が出ているところはわずかで、ほとんどのところはすでに雪が踏みしめられて、靴底がフラットなものだとすいすいスリップしてしまう。

New York は雪が多いので、住んでいる人も雪にさぞなれているだろう、と思いきや実はそうではなくて、あちこちで車同士がぶつかる事故を繰り広げている。高い税金を払っているおかげか、割と除雪はスムーズに行われるが、それは雪がある程度やんだ頃で、雪が強く降っている間はやはり車の運転をしないことにしている。自分が事故を招かなくとも、人がぶつかってくる分は避けられないしね。

この日は雪の影響を受けにくい地下鉄で行動。どんどん増えつつあるジーンズだが、減量の効果が出たおかげで昔のものはゆるゆるになってしまった。せっかくなのでまた一つ小さめのジーンズを一つ購入し、それから Lower Manhattan にある J&R という総合電化ストアに行った。このところ友達の誕生プレゼントに何かいい物がないかと探しているのだ。

横の写真はすっかり日が落ちて暗くなった頃の Lower Manhattan の様子だが、静かに雪は降り積もっていく。

結局ここでも目当てのブツが見あたらなくて困っていたところ、携帯に友達から電話が入り、Midtown のタイレストランで夕食を一緒に食べようとの誘い。こんな寒い日は体の中から熱くなるような辛いタイ料理もいいかもしれない、と再び地下鉄に乗り、Times Square 近辺まで出た。土曜日の夜というと人であふれる Times Square だが雪のせいで人影もまばらだった。
食事のあといったん家に戻って、夜車で出かける予定があったのだが、ここは無難に暖かい部屋で降りしきる雪でも見ながらインターネットでもして時間をつぶすことに決定。

これを書きあげた今、日付が変わったところだが雪はまだしんしんと降り続いている。久々の雪にちょっとわくわくしている。



Toy'R'us
1/10/2002
昨年撮った写真の中で紹介していないものがあったので今回と次回はその中からピックアップしたものを取り上げていく。

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Times Squareに出現したToys'R'us。



今回使用している写真は昨年の Thanksgiving Day の時に撮ったものだ。Atlanta から New York に遊びに来ていた R 君とたまたま Times Square で待ち合わせのがきっかけで、この写真を撮ったのだ。

話は変わるが、日本では今年発売される XBox はこちらでは昨年11月に発売された。全米一斉発売だったが時差の関係で東海岸が一番先になる。特に日付の変わった直後の深夜発売をしたのはここ Times Square にある Toys'R'us だけたったのでテレビなどのマスコミで大きく取り上げられた。この日、近くを通りかかったら、XBox をいち早く手に入れようと言う人たちが作る行列が出きているのを見かけた。しかも前触れもなくビル・ゲイツまで現れて、このときはびっくりした。
ところがこの Toys'R'us 、この時点では正式には開店前だったのだ。というより、ほとんどの人がここに Toys'R'us があることすらしなかったはずだ。
ここがもともと何だったのか、もう思い出せないが こうして XBox の発売とほぼ同時に大きな Toys'R'us が店を構えたのだった。

最大規模の Toys'R'us と聞いていたが、実際店の前に行ってみると、それほど大きい様には見えない。これは Times Square にある各建物が皆大きいからかもしれない。
が、中に入ってみると意外なほど広いことに驚かされる。特に目を引くのが写真でも紹介している観覧車。
建物は地下2階から地上3階までしかなく、どちらかといえば低層なのだが、天井が高く、しかも地下から最上階まで吹き抜けになっているので高さのある建物のような錯覚を受ける。
この吹き抜けの空間を利用して設置されているのがこの観覧車だが、もちろんおもちゃなんかじゃなく人が乗れるしろものだ。 あまりにも大きいので、店内からの撮影では一生懸命後ずさりしても全体を撮ることができないくらいだ。

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これが吹き抜けの店内に設置されている観覧車
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MONOPOLYで使われる紙幣がかたどられたゴンドラ
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こちらのゴンドラにはおなじみM&Mのキャラクターが腰掛けている



店内に入って最初に気が付いたのだが、みんなあちこちで記念撮影をしていると言うこと。Times Square という世界的な観光地にあるという場所柄からかここでは写真の撮影を許可しているようで店員ももちろん何も言わない。そこで僕もデジタルカメラを撮りだして撮ったのがこれらの写真だ。図に乗ってたくさん撮ったので今回は写真が多いのだ。ブロードバンド接続でない人には少々きついかもしれないが、ご了承を。

で、この観覧車だが、Times Square に出現した直後の休日ということもあって、これに乗りたいという親子連れが長蛇の列を作っていた。乗り場は地下2階にあり、そこで料金を支払って乗り込むしくみ ( 残念ながら無料ではない )。観覧車と言っても遊園地のそれに比べれば小さいので、一番真下に着いたゴンドラにひと組ずつ乗り込むような仕組みではなくて、全員が全部のゴンドラに乗り込んだら全体を一定時間回し、そのあとひと組ずつ乗り換えていき、また全体をぐるぐる回す方式のようだ。



回っているゴンドラを見てみると一つずつデザインが違っていて、これまたなかなか面白い ( 写真で紹介しているのはモノポリーバージョンとチョコレートの M&M バージョンのもの )。

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一体いくつのLegoブロックが使われているのだろう
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キングコングの口の中までLegoブロック



R 君はせっかく New York に遊びに来ているところ、僕自身が初めてここに来たので無理言ってちょっと店内散策をつきあってもらう。

歩き始めてすぐに気が付いたこと。おもちゃのデパートと言っても展示がそれぞれ凝っていて、それぞれのコーナーごとに何か人の目を引くようなものがあちこちに展示されている。
たとえば2001年には Jurassic Park の3作目が公開され、やはり子供たちの人気を集めたのだが、このおもちゃはシリーズ化されていてそこには人間の身長をはるかに大きく越えるティラノザウルスが本物さながらの Jurassic Park の入り口横に立っている。
子供なら誰もが遊んだ Lego ブロックだが、最近は Starwars シリーズで新たに大人たちの人気も集めているそうだ。ここにも大きなスペースシップが置いてあったがそれ以上に目を引くのが、左の写真。ちょっと離れてみたらこれが Lego ブロックでできているとは思えないほど巧妙にできているエンパイアステートビルである。今回紹介はしてないが横にはクライスラービルもあった。これがまた人間の頭上をはるかに超える高さで作られていて、みんな口を開けながら周りを取り囲んでいた。



3階に上ったところでちょうどエンパイアステートビルのてっぺんが近くに見えたのでこれまた写真に納めたのが下の写真。キングコングの口の中まで正確に復元している。ここまで来ると天才技か。

店内は他にもいろいろ凝った造りになっていて、バービー人形を売っているあたりはちょうどバービー人形ハウスの中に売り場があるように作られている。
下の写真はゲームコンソール売り場のものだが、XBox 発売直後とあってここもかなりの人でにぎわっていた。もちろん PS2、そしてゲームキューブの売り場も近くにあり、ここだけは10代から30代くらいまでの男性客のみのエリアといった感じだ。

時間が無くて地下の二フロアには降りなかったのだが、3階が見えたのでなんとかエスカレータか階段で行こうとするも行きようが見つからない。どうやら最上階へは2階からエレベータでしか上れないようなのだが、好奇心にそそられて行ってみるとそこにはペプシコーラ社がスポンサーしていると思われるカフェテリアがあった。座席もこの通りペプシのふたになっている。
カフェテリア以外、他に特別なものがある訳じゃあなかったけど店内の様子が上から見られるので面白い。Lego のブロックもここから間近に見ることができた。

これまで New York のおもちゃデパートというと、映画「Big」( トム・ハンクス主演 )に出てきた、FAOシュワルツぐらいだったが、ここ Times Square の Toys'R'us も新名所になりそうな感じだ。
何も New York まで来ておもちゃなんか見なくても・・・などと言わず子供の心に戻ってアメリカのおもちゃでも見てみると楽しいと思う。
ただしこの中で待ち合わせをするのは勧められないかも。きっと相手を見つけるのは難しいはず。

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ゲーム機売り場。
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最上階にあるカフェテリア。座席はペプシのふた。



TIMES SQUARE CENTRE - TOYS"R"US
1514 BROADWAY (COR. 44TH)
NEW YORK, NY 10036
Tel:(800) 869-7787




新年の挨拶
1/2/2002
お約束の、


 新年あけましておめでとうございます。
 どうぞ今年も nomeri.com をよろしく!




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元日の朝・・・と言うわけではなくて年末の夕方にNew Jersey側から撮ったもの。CANON G2にて撮影。
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一年半ほど前の様子。World Trade Centerが見える。Olympus C2000Zにて撮影。



気がつくと New York Watch も4度目の正月を迎えた ( New York 暮らしも去年の11月で5年目に入った )。もともと旅行記から端を発した僕の web サイト。こんなに長く続くとは思っていなかった。ましてアメリカでの暮らしも、まずは数年とスタートしたものだったが、すっかり落ち着いてしまってあとどのくらいここに住むか未定となってしまった ( 笑 )。
New York に住む日本人 ( まあ日本人だけとは言わないが ) は知り合うと必ず「 New York 暮らしはどのくらいですか?」と尋ねられる。最初の1年、2年、3年と言っているうちは良かったが、最近は「今年で5年目です」というと「へぇ長いですね」と言われるようになり、なんだか恥ずかしい気もしてきた。どうして恥ずかしいかという気持ちについてはなかなか説明しにくいのだが、長いですねぇと言われる言葉の裏に「その割には New York に腰が据わってない」「英語がそれほどうまくない」という意味があるんじゃないかと勝手に勘ぐってしまっているからだろうか。

ひとところに長く住むことの弊害はこのサイト更新にも出てきている。最初の頃はなんでも目新しいイベントだったものが、2年目、3年目となるとどうしても新鮮みに欠け、web サイトで使うこともないだろうからと写真を撮りに出かけることも無くなってしまう。
実は外に出かけて、新しいところに足を運べば必ず何か目新しいことがあるはずだと言うことはわかってはいるんだけど・・・
やはり何年か住んで、自分にとって快適な場所や友人ができてしまうとそこから冒険をしなくなってしまっているのだろう。旅行もそうだが団体行動よりは個人の方がよっぽど自由なのだ。

2002年もマンネリ化した New York Watch にならぬよう、ここは新年の Resolution として肝に銘じておこう。

話は変わるが一つだけ映画の紹介を。
僕は自分が見た映画をあまり人に勧めるのが得意じゃない。いかに感動したかを説明しようとするとストーリーを話さなくてはならないし、詳しく説明しちゃったら見る人は興味が半減してしまうだろう。なのでここで書く話も中途半端な紹介にならざるを得ないのだが、映画のセリフの中にこの New York Watch ( だけでなく nomeri.com 全体を含めて ) を作っている姿勢について問われるようなものがあったのでここでその映画を取り上げて見ようと思う。
僕が DVD プレーヤーを買ったのは去年でそれからいくつか DVD ムービーを買ったし、これまで通り映画もいろいろ見てきたが、昨年見た物の中で勧めたいのが「Finding Forrester」というタイトルの映画だ。実は昨年封切りの映画では無くて、映画館での公開を見逃してしまったので昨年 DVD ムービーとして購入して改めて見た映画なのだ。
物語の舞台は現在の New York、The Bronx。一口に The Bronx と言ってもいろいろあるが、ここはどちらかというと貧しい人たちが暮らす一角。ここに住み、普段は高校の友達とバスケットをして放課後を過ごすとある黒人の少年には親にも友達にも話したことのない趣味が一つある。本を読むことと日常感じたことを文章にすること ( こういうことを友達に隠す心境ってわかるような気がする。偏見と言われればそれまでだが、やはり The Bronx に住む hip-hop な高校生のスタイルとは180度違うしね )。その後、彼の文才は学校のテストでずば抜けて高い能力を持っていることが判明するのだが、この能力に目をつけた人がもう一人いた。友達同士のいたずらというふとしたことで近所のアパートの最上階に住む偏屈の部屋に忍び込んだのだが、このとき普段から書きつづっていたノートをカバンごと忘れてしまう。人前には決して姿を表さず、誰も見たことのないこの住人こそ、かつてピューリッツアー賞を受賞し、その後ぱったりと小説を書かなくなってしまった白人の老作家だった。
少年の書いたノートを読んだ作家は少年が16歳でこれを書いていることに驚くとともに、この作家に「自分が何を書きたいか、何をしたいのかもわからないのだろう」と言い当てられた少年はお互いに影響をおよぼしつつ、いつの間に不思議な友情が育つ。少年は作家から文学について導かれ、作家はある事情から一冊の書籍出版以降書かなくなっていた文学を書き始める。しかも人と会うことも、まして外出することすら嫌っていたこの作家が少年に影響され、何十年もの間かたくなに守っていた殻を割り、外向的に変わっていく。
年も人種も育ちも全く違う2人に友情なんて、とも思うかもしれないが、不思議とここ New York ではそれが決して不可能では無い気すらさせてくれる。
文章を書くことに関しては天才的な能力を持つ少年だが、進学校への転校、生徒同士の競争、大人たちの思惑やプレッシャーに対しては16歳の肩には重すぎた。この作家を巡ってのトラブルにも巻き込まれるが一貫してその信頼関係を守ろうとする姿勢。

映画にはアクションは全くないし、話の進み方もとても淡々としている。それなのにどんどん話に引き込まれ、心臓をぐいっとつかまれるような感覚すら覚える。
友人から「この映画は良かった」と聞いたとき、出演者のクレジットにショーン・コネリーの名前があったのを見て、「彼の映画なら間違いはあるまい」と、安心して見られたのだが彼が演じる老作家と堂々と渡り合う少年の演技もすごかった。映画の中の天才少年の姿と彼の演技のうまさはなぜかだぶって見えてしまう。実際彼はエキストラ募集のチラシを見て「あ、これで携帯電話の今月の支払いができる」と思って応募しただけで、それまで何のトレーニングも受けたことはなかったらしい。DVD に入っていたショーン・コネリーの撮影後のインタビューでも彼の自然な演技には驚いたと言わしめているくらいだ。

昨年いろいろなことが起きた New York だが、この映画がいわんとしている信頼とか友情こそが今重要なんじゃないか?こういう友情が少しでもあれば、立場の異なる人の気持ちも理解できて、こじれた偏見も少しは減るんじゃないかな。僕は New York の人にはそれができると信じたい。

さて例のセリフの話だが、もちろん映画には脚本があるので作られた言葉だとはわかっていても、その中に New York Watch を書こうとしていてなかなか書けない心境を突かれたものがあった。
主人公の少年がタイプライターの前に座り、かしこまっていざ文を書こうと思うと一語も書けないシーンがあるのだが、そんなときに作家は「頼むからパンチしてくれ。文を書くのに考えるな、タイプしろ。ドラフトをハートで書いて、仕上げに頭を使って書き直せ」。

書きたいことはいっぱいあってなかなかうまくまとまらない僕の文章とその書き方を言い当てられた様なセリフがショーン・コネリーの口からこぼれたときに、映画の中の少年だけでなく僕も考えさせられてしまった。

Finding Forrester の公式サイト
http://www.spe.sony.com/movies/findingforrester/



大晦日あたりから急に冷え込んで、日中でも氷点下の気温です。カウントダウンの夜は僕のところで割と大人数の年越しパーティをしました。みんなも料理と酒を持ち込んでくれたので、だいぶ余ってしまい、冷蔵庫の中はビールと鍋用の具がまだたくさん残ってます。
元日も昼ちょっと前に起きて大掃除。元日といっても特別のんびりした雰囲気もなく、普通の祝日と言った感の強い Manhattan ですが、氷点下3度の中でも人はかなり出てました。夕食は親友 ( Cuban )と日本の焼き肉レストランに行き、その後で香港映画をレンタルして家で見るという平和な元日で2002年のスタートを切りました。
下の写真は夕食に出かけるときに駅のホームから撮ったものです。

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元日、夕方の一こまを紹介。CANON G2にて撮影




 

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