私は日本の政治を長年見てきたせいか、政治家の言うことは信じられないという固定観念を持っています。今回のテロ行為について、ヒラリー・クリントンを始めとするアメリカの政治家達が次々とTVに登場して、それぞれ犠牲者に対する遺憾の意と犯人に対する抗議を表明していますが、私にはどうしても政治家の人気稼ぎのように見えてしまいます。今回テロ行為を行った犯人に対して、叱責の言葉を浴びせれば、たしかに周りの人達から拍手喝采を受けるので、政治家自身がそれに酔っているような気がします。
今回のテロ行為が何故アメリカで発生したのかを知るために、今週末はアフガニスタンとパキスタンの周辺の歴史を勉強してみました。その結果、現在のアフガニスタンの混乱状態はアメリカにも大きな責任があることが判りました。アフガニスタンにソ連が侵攻した際、それに対抗するゲリラ集団に武器を供給したのがアメリカでした。ソ連が撤退した後も、その大量に供給された武器によって、今度はゲリラ同志の闘いが始まったというわけです。
戦争には常に最低2通りの見方がある事は、2年前のNATOによるユーゴスラビア爆撃でよく判りました。今回もし軍事報復が始まったとしても、アメリカ人にとって見ればテロ行為に対する正当な復讐ですが、イスラム圏の国から見れば、これまでアメリカが行ってきたアメリカの干渉の繰り返しにしかなりません。今回のテロ行為は、見方によってはこれまでアメリカがイスラム世界に対して行って来た干渉に対する報復活動とも言えます。今回大勢のアメリカ市民が犠牲になった以上、アメリカ政府としても何もしない訳にはいきませんが、それでもアフガニスタンではこれまで大勢の人々が犠牲になった事は忘れてはならないと思います。でも、「えひめ丸」の事件を例に取るまでもなく、アメリカ人にとってはアメリカ人の命と外国人の命は全然価値が違うのかも知れません。まあこれはアメリカに限った事ではないかも知れませんが。(もし原潜と衝突したのがアメリカの船だったら、ワドル船長の処分は違ったものになっていたと思います)
今回のテロ行為について、小泉首相が早々とアメリカに対して同情の意と今後の支援の意向を示したのは残念でした。確かに今回のテロ行為は悲劇ですが、アメリカのTVでは散々今回のテロ行為を真珠湾攻撃と比較している以上、小泉首相には「今回のテロ行為で原爆の事を思い出した」くらいの事は言って欲しかったと思います。:(