日本からアメリカに来る時、間違ってウテ・レンパーのCDを持って来るのを忘れてしまい、それ以来5年以上その歌声を聴くことがありませんでした。たまに、ウテ・レンパーが唄うミュージカル・ナンバーやクルト・ワイルの曲を聞きたくなることがあったのですが、ずっとそのチャンスがありませんでした。それが運良く彼女のCDに巡り会ったので、そのまま離しませんでした。:)
久しぶりに聞くウテ・レンパーの歌は、相変わらず完璧でした。本当に歌が上手い人です。彼女の場合、才能があふれ過ぎていて、一つの音楽のジャンルに留まれないのですが、このCDでもクラシックからミュージカルナンバーまで、英語・ドイツ語、フランス語で唄っています。以前から、彼女の唯一の問題点は、歌が上手過ぎることだと思っていましたが、このCDでもそれを感じました。私は越路吹雪の大ファンですが、越路吹雪の場合は歳を取るにつれて声の艶が失われていく一方、歌唱力がどんどん磨かれていき、そのバランスが年齢ごとに異なりました。そのため、同じ歌を唄っても録音した時期によって唄い方が異なり、それぞれが楽しめます。その結果、とにかく越路吹雪のCDやテープを見つけたら迷わず買っていました。ウテ・レンパーの場合も、その歌声の魅力の一つである声の艶はだんだん失われていくことになると思いますが、きっと歌唱力はこれからも上昇していくと思います。これからもずっとファンでいたいと思います。
このCDには「L'Accordeoniste」という私が大好きな曲も収録されていますが、この曲に関しては越路吹雪が唄う「アコーディオン弾き」の方が素晴らしいと思います。:)