QV−10用、電源兼用アダプタの作成


 QV−10シリーズには、れっきとした純正のACアダプタ及び、 転送ケーブル、そしてソフトウェアが用意されています。 ただ無駄に高い(少なくとも転送ケーブルは)上に、今一歩、 センスに欠けている(ソフト・ハード共)ように思います。しかし、 通常は他に選択肢がないので、これらを購入する事になります。ただ、 僕の場合は、購入前にきむらさんの FAQ を読んでいましたし、 色々な方々のホームページでの、ユーザーのパワーに気が付いてしまっていました。

 ということで、今回は一般ユーザーにより公開されている、 2種類の転送回路の作成をレポートしてみます。


その1。山本さんの電源もいらないとても簡単な回路より。

 とりあえず必要な部品は、ごく普通の 2SA と 2SC のトランジスタ。 これは原理動作しかしていないようなので、 多分多少型番が違っても問題無いですよね?。 そしてこれも本当にごく普通のダイオード、1S1588。電子工作をする方なら、 だれもが山のように持っているもの。それに抵抗数本。たったこれだけです。 僕の部品箱には、すべてのパーツが転がっていました。ですので、費用0円。

 なにも考えず(しいて言えば小さく作る事だけを考え)、 サンハヤトの一番小さい基板に部品を実装していき、半田付け。 必要最小限のサイズにカット。コネクタを付け、動作確認。

 林さんのソフトウェアを使ってカメラから転送してみると、 19,200bps を上限に、カメラ、パソコンの両方向通信に成功。 気が抜けるほどあっさり動きます。これを予定通りコネクタに内蔵して(この時に、 ショートしないようだけは気を付けましょう。写真にはありませんが、 コネクタに内蔵する前に、一列毎に絶縁用にマスキングテープを貼ってあります。 RS-232C には、12V が出ています。不用意にショートさせると、最悪、 パソコンのボードを壊しかねません)、動作確認しておしまい。

 ね、簡単でしょ。なにも難しいところはありません。 ほんの数十分(あるいは十数分)で出来上がります。


その2。堀本さんの MAX232A を利用した電源付き回路より。

 まずは部品集め。MAX232A は、知り合いのパーツ屋に聞いてみたのですが、 取り扱ってないとの返事、どうしたものかと悩んでいると、ありがたい事に、 回路図の製作者の堀本さんより提供して頂けるとの事。 遠慮なく分けていただいてしまいました。その節はどうもありがとうございました。 他に必要なものはコンデンサ位です。既に先人がいらっしゃるので、 余っている基板に部品をならべ、適当に作ってしまいます。

 この状態で、とりあえず動作チェック。運良く(というか、 動かなかったら不思議なくらい簡潔な回路)一発で動きましたので、 実装をしながら色々チェック。

 次に電源の準備。12V 程度の AC アダプタが手元にあったので、 それをそのまま利用。多少電圧が高めで、手に技術があるという自信をお持ちの方は、 僕の行った方法、ちょっとプラスチック部を割り剥がし、 コイルのタップの途中の電圧を、テスターで測りながら(針でエナメルを刺しながら) 丁度良い電圧を取り出すのもよいかもしれません。 ちなみに今回は 9.5V を取り出しました。

 回路の電源と共に、カメラへの電源供給もしてしまおうという事で、 5Vのレギュレータを向かって右脇に抱えたトランス。6Vのレギュレーターは、 カメラの消費電力が結構多いため、放熱器を用意。とりあえず、 50円程度で売っている一番安い奴で十分かな。 触れる範囲の発熱なので、このままで大丈夫だと信じて。

 適当な基板で作成しておいた回路を、必要なサイズにカット。 結構コンパクトにできたので、この時点でケースは作らず、 ACアダプタ自体に内蔵してしまおうと決定。とりあえず基板に電源を供給し、 カメラへの電源回路(といってもコンデンサのみ)も載せてしまうと共に、 動作チェック、電源電圧や、電流もチェック。

 最終的にACアダプタに内蔵して、カメラへの電源供給コード及び、 転送用のコード、パソコンの RS-232C 用のケーブルの3本を引き出す。 当然ACアダプタ自身に電源供給ケーブル用の穴があったので、そのまま利用。

 という事で、完成したのが最後の写真。ちょっとでかく ( D-SUB 25pin のコネクタのサイズを基準に想像してください) なってしまいましたが、まぁ別に良いや。上には QV10-MAX のネームランドのシール、 前には AC アダプタと同色の、黒の放熱器。手作りにしては中々でしょ。

 林さんの QVplay ver 0.92 を利用して、難なく 115,200bps での転送ができています。 カメラ<−>パソコンの両方向の通信共に問題ありません。 QVplay のドキュメントでは、光速モードで全画面転送に7分程かかるとありますが、 うちでは4分30秒程で終わってしまいます。純正の転送ケーブルと違い (純正のケーブルは、 RS-232C の信号線から電源を取り出して使っている)、 電源が安定している堀本さんの回路では、本来の性能を十分に発揮できるようです。 なお、6V用のレギュレータは、単体では相当に(もちろん、 触り続けるなんてもってのほかの熱さ)熱くなります。 画面を見ているだけ( PLAY モード)でも 500mA 強消費しています。 レギュレータ自体は普通 1A 取れますので、放熱さえちゃんとしてやれば、 問題無いはずではありますが。まぁ 115,200bps であれば、 全画面転送でもそう時間はかかりませんので、さっと転送して、 さっと電源を落としてやるのが、作成の手間を省く一番の方法かもしれません(笑)。 とりあえずこの程度の放熱器でも、ないよりは随分増しのようではあります。

 もし気が向きましたら、純正を買わずにどちらかお好きな方を、 皆さんも作成されてみてはいかかでしょうか。

 注 なお、このページの画像は、全て初期型 QV-10 で写し、QV10-MAX を使い、 QVplay によりパソコンに転送、Photoshop にてサイズ、明るさ等を調整しました。


 

関連のページ

きむらかずしさんの QV10 FAQ はこちらへ。

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林さんの転送ソフトウェア QVplay はこちらへ。

 とても有用なソフトウェアです。UNIX 用、Mac 用、Windows95 用、 X68000 用と各種揃っています。実は僕は、AT 互換機ユーザーですが、 初期型 X68000 ユーザーでもあります。

堀本さんの転送アダプタ QV-MAX はこちらへ。

 高速転送と共に、電源を用意するにはこちらを。純正ケーブルよりも速度が出ます。

山本さんの転送アダプタ はこちらへ。

 電源もなにもいらない、とても簡単で、誰にでも作る事の出来るものです。


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