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Long Vacation
フジテレビ

 「瀬名君みたいな人とずっと一緒にいられたら、それはそれで幸せなんだろうな」
 「それはそれでって、何よ」
 「なんだろう」
 「ねぇ」
 「ふぅん?」
 「kissしようか」
 「いいよぉ」

 眠れない夜。まもなく静岡沿岸に上陸するという台風が、雨滴に窓を叩かせている。
 VCRのライブラリを記録しておくカードを以前作っていた。パラパラと繰っていたら、てっきり録画していないと思っていた『Long Vacation』のスペシャルのタイムコードを見つけた。
 いつまでも、忘れられないドラマってある。いつ観ても心がせつない気持ちでいっぱいになる。
 いまでは、とてもいい友達といえる女の子に、「chilliと一緒にビデオ観たい」ってねだられて、「TSUTAYA」で『ロンバケ』のスペシャルを借りて観たのは、一昨年のことだっただろうか。
 こんなハッピーエンドがきっと来ると信じていた。いや、そう願っていた。でも、やっぱりそんなことは起こらなかった。
 葉山南みたいな女の子だった。

 「どうしたの今日」
 「んっ?」
 「何しにきたの」
 「なにしに、きた? kissしにきた」
 「あぁ」
 「瀬名とkissしにきた」

とてもとても甘く、いっぱいいっぱいせつない。