第2回 4割ジョッキー武豊・後編

 

3:最後方待機→大外から追い込み戦法の場合

武豊が上手い理由の一つに「距離のロスが少ない」というのがありますね。
この戦法は、このロスの少なさが如実に表れているものだと思います。どんな戦法かと言うと、
「道中はジっと内で我慢」→「4コーナーで斜めに直進し」→「直線では大外から追いこむ」
と言ったものです。まぁ、有名な戦法なので分かると思いますが。

この戦法を使う時というのは、あと一歩足りないような馬、というのが多い気がします。
先行したり中団したりしたら、どうしても最後に詰めが甘くなってしまうような馬。

え、例ですか? えーとですねぇ……。
あ、若葉Sのダイイチダンヒルなんてどうでしょう?(成績表は書くのが面倒なので勘弁(笑))
今までのダイイチダンヒルの詰め甘さを微塵にも感じさせないあの追い込みっぷりは、
さすが武豊!!と思わせるものでした。

実は武豊、この馬では以前に2度乗っているんですが、
2度とも「4角先頭、差すならさしやがれ」パターンで負けてるんですよね。
この2度の経験から、ジリっぽさを感じために、若葉Sでは後方からの競馬をしたのかも
おかげで、上がり3Fのタイムが大幅によくなってますね。って、追いこんだんだから当たり前か(笑)。

-ダイイチダンヒル-
日付 開催 レース名 着順 騎手 距離 コーナー順 3F
010428 2東3 テレビ東G2 1 6着 蛯名正義 芝2400良 6-6-7-6 35.2
010317 1阪7 若葉S  1 1着 武豊   芝2000良 14-14-15-13 34.3
010304 2中4 報知杯弥G2 3 5着 柴田善臣 芝2000不 7-7-8-6 38.7
010122 1京7 若駒S  2 2着 武豊   芝2000良 6-6-2-2 35.1
010107 1京3 福寿草特500 1 1着 デムーロ 芝2000良 5-3-4-4 37.9
001203 5阪2 エリカ賞500 3 2着 デムーロ 芝2000良 10-9-9-7 35.0
001126 5京8 未勝利 1 1着 安藤勝己 芝1800良 7-6 35.1
000923 2札7 未勝利 1 2着 武豊   芝1800良 9-7-6-4 36.0
000916 2札5 新馬 2 2着 四位洋文 芝1800稍 4-4-5-4 37.2
000902 2札1 新馬 4 3着 四位洋文 芝1800稍 2-2-2-1 36.2

 

で、こういうパターンでの危険な例は、これ。

2001年小倉1回4日目11R 小倉大賞典 芝1800H やや重  16頭
馬名 騎手 着差 コーナー順 3F
ミスズシャルダン  デムーロ   2-2-2-2 38.0 2
マイネルブラウ   秋山真一 クビ 8-8-6-3 37.4 7
ロードプラチナム  武豊   31/2 16-16-15-12 37.4 1
センターフレッシュ 大西直宏 クビ 14-13-10-12 37.7 9
ナリタダイドウ   スミヨン 1/2 13-13-14-12 37.6 3

 

2001年中山2回2日目11R 中山記念 芝1800 良 13頭
馬名 騎手 着差 コーナー順 3F
アメリカンボス   江田照男   5-5-5-4 36.4 2
ジョウテンブレーヴ ペリエ  11/4 3-3-3-2 37.1 3
ダイタクリーヴァ  松永幹夫 8-9-6-5 37.2 1
メイショウオウドウ 飯田祐史 ハナ 12-12-11-10 36.3 8
エイシンプレストン 福永祐一 クビ 7-7-7-6 36.8 6
アドマイヤカイザー 武豊   ハナ 13-13-13-10 36.4 4

他にも、スペシャルウィークの皐月賞を思い浮かべてもいいです。
つまり、前残りの展開の時ですね。まぁ、当たり前なんだけども。

あと、この戦法は、一流馬を除けば、主に「一歩足りない馬」に対して用いる戦法なので、
いわば“いちかバチか”の賭けに似たようなものがあります。
で、彼がよく見せている「ゴール板ギリギリで差す」というものは、
言いかえれば、「成功、つまり賭けがハマったというチャンスを逃さない=やってきた勝機を逃さない」というものであって、
決して「勝機を生み出す」ということじゃないと思うんですよね。
つまり、多分に他力本願なところがある、と。
もちろん、彼の騎乗によって馬の力は100%出ているのでしょうが、それと勝つこととは別問題ですからね。
勝つには自分に展開が向かなきゃダメ。
ということで、彼の追いこみも、意外と信用ならないものがあると思います。

ちなみに、この戦法が得意なのは、府中と京都。府中はダービー2連覇を見れば分かるでしょうし、
京都は彼の庭ですからね。
というか、直線が長いから当たり前ですか(笑)。
しかし、京都の連対率32.6%ってのは凄いなぁ。

武豊が追いこんだ時の
競馬場別連対率(芝限定)
(990101〜016017)
区分 着別度数 連対率
東京 3-  5-  4- 23/ 35 22.9%
中山 1-  1-  1- 10/ 13 15.4%
※東京>中山

 

京都 6-  8-  3- 26/ 43 32.6%
阪神 6-  1-  7- 33/ 47 14.9%
※京都>阪神
京都の追いこみが、一番信頼できる。

 

札幌 0-  1-  2-  6/  9 11.1%
函館 1-  1-  1-  2/  5 40.0%
福島 0-  1-  0-  0/  1 100.0%
中京 0-  0-  3-  3/  6 0.0%
小倉 0-  0-  1-  1/  2 0.0%
※新潟は、集計期間中に武が乗ってなかったので、入れてません。

 

−結論−
後方待機策は、ごく一部の一流馬を除くと、
詰めの甘い馬、あと一歩足りない馬を活かすための、いちかバチかの賭け。
あくまで他力本願なところがあるので、過信するべからず。
ただし、府中と京都では破壊力あり。

 

4:後方待機→イン突き戦法の場合

これは、ほぼ京都芝に限ったものなんですが。
武豊の有名なコメントに「京都芝外の4コーナーでは、じっとしていれば必ず内が開く」というものがあります。
ご存知の通り、京都の直線入り口は外回りコースと内回りコースの合流地点があるために、外回りコースを走る場合には内ラチが途中で切れているんですよね。
武豊はそこをうまく突いてくる、いや、突いていたんです。
ちょっと今、例が思い浮かばないのが残念ですが……。

ただ、これは最近になって、アンカツ、小牧太、デムーロといったヤリ手の騎手だけじゃなく、
福永やら高橋亮やら藤田やら、色んな騎手が内を突くようになってきましたから、
結構イン突きも厳しくなってきたんですけどね。
だから、最近は武もあんまりインを突いてないような気がします。

まぁ、でも、そのくらい武豊は京都コースを熟知している、ということだけでも覚えていたらいいかと思います。

 

なんだかんだ言いましたけども、馬や状況に応じて柔軟に対応できる武豊はやっぱ凄いっす。
特に京都は本人も相当自信を持っている様子。だから武豊の居る京都はあんまり買いたくない(笑)。
まぁ、小倉やら函館といったローカルでの爆発の方がウンザリさせられますけどね(笑)。

戻る