第3回 笠松の豪腕・安藤勝巳

 

さて、2回に分けて武豊を分析しました。が、あれを毎回続けてたら身が持ちません(笑)。
今回からは気合3割減くらいで書きたいと思います(笑)。

えーと、今回のターゲットはアンカツこと安藤勝巳です。
アンカツはご存知、現在の関西での地方騎手ラッシュの先駆けとなった人物。古くはライデンリーダーの頃から中央に来ていたつわものです。って、ライデンリーダーの頃なんて競馬見てないですけど(笑)。

しっかし、阪神最終日でもやらかしてくれましたねぇ。後半に一気に3勝も稼いで、しかもマーメイドSを連覇。ほんともう「中央の騎手は何をやってるんだ!?(笑)」と言いたくなるくらい荒稼ぎしています。えーと、今(7/8現在)34勝で連対率が18.6%っすか。ちょうど関西リーディング5位の福永と同じくらいですね。ただ、福永とは乗ってる馬の質が違うことに注目しなければいけません。アンカツは地方騎手の定め「地方馬に1鞍乗らなきゃその日は中央では乗れないよ」というハンデがありますし、お手馬というものが作れない状況ですから辛いっすよね。まぁ、その代わり飛び込みでいい馬に乗ることもありますけど。

まぁ、そんなことはどうでもいいです。いや、どうでもよくはないけど(笑)。
じゃ、早速アンカツの特徴を見てみましょう。

 

 
2001年阪神3回8日目12R 芝1200 良  13頭
馬名 騎手 通過順
ファーストミューズ 安藤勝 8-6 3
キシュウファンタジ 佐藤哲 1-1 2
マヤノタリーク 河内 5-5 9
ラヴウイナー 飯田 10-10 7
ニホンピログッド 和田 2-2 5
プロテクトレス ▲川島 8-9 1

 「阪神芝1200、しかも先行有利な今の馬場でファーストミューズなんて届かねぇよ」という僕の思惑を見事に裏切ってくれたレースです。9Rのエイシンコービンもビックリしたけど、こっちは更に驚きました。

ファーストミューズと言えば、芝1200フェチの人ならもうご存知でしょう。後方をテレテレ走って、直線で一気に追い込むけれど、いつも届かないという競馬を繰り返してるあの馬です。こいつは外差し馬場だろうが届かない(笑)。
そんな競馬をしてた馬が、アンカツに乗り替わると4角で既に好位に迫る勢いで進出→ズバっと差し切るんですから、鞍上の判断力と豪腕っぷりには驚かされます。
さっきも言ったように、この日は先行馬が残るケースが続いたので、ここでプロテクトレスのように待機策をとるのはいただけない。普段ならプロテクトレスより後ろに居るはずのファーストミューズが早目に前に進出したのは、大正解と言えるでしょう。

このように、アンカツが乗るとですね、4角での馬の位置どりが普段より前になることが非常に多いですね。これはアンカツに限らず地方騎手全般に言えることですが。地方の短い直線で鍛えた結果とでもいいますか。
ですから、アンカツに乗り替わる時は、位置が変化することにまずは注意した方がいいと思います。

じゃ、もう一つ例を。

1999年中京3回8日目11R 東海S ダ1700 良  16頭
馬名 騎手 通過順
キョウトシチー 安藤勝 6-5-3-2 12
マイターン 橋本美 1-1-1-1 1
メイショウモトナリ 安田康 2-2-2-2 9
キクノグリッター 松田 4-5-6-5 13
マジックゲーム 藤田 12-13-9-8 6
トーヨーペクター 和田 6-5-4-2 2

これは覚えている方も多いんじゃないかと思います。この年のアンカツのベスト騎乗とも言えるレース。
ここ数戦はズブさ120%と言ったようなレースぶりを見せていたこの馬を、マクる形に持って行くんだからアンカツは凄い。ただもう凄いとしか言えないです。
この「ズブい馬のアンカツ乗り替わり」は大幅にプラスですね。

ここはもう一つ注目点を。
2番人気だったトーヨーペクターもアンカツと同じ位置どりをしてるのに負けてます。
まぁ、これは馬の能力やら適性の差があったのかもしれませんが、
「アンカツにベストポジションを先取りされた」ってのもあるんじゃないでしょうか。
というのも、先週、アンカツの騎乗振りを改めてみてたら、すんごくえげつなかったんですよ(笑)。
4角でベストポジションを取るために、外に居る馬をはじき飛ばすわ、斜行覚悟で前をカットするわ、と容赦無い騎乗振りを見せてました。逆に言えば、それほど4角の重要さを意識しているということですよね。よく外国人の騎手が「日本の競馬は非常に行儀がいい」というのを耳にしますが、アンカツも同じことを思っているのかも。4角=勝負どころでの貪欲さ、これが中央の騎手との差なのかもしれません。アンカツが武豊キラーとなっているのも、この勝負どころでの貪欲さが武豊に勝るとも劣らないからでしょうね。

 

さ、ここまではアンカツを褒めてばかり居ましたが、それだけじゃ面白くないっすよね。
次は、アンカツはこんな時が消しどころというのをご紹介。
2001年中京2回3日目8R 芝1700 良  12頭
馬名 騎手 通過順
タイグビジンソウ 佐藤哲 9-9-8-5 4
アップルケーキ 河内 9-9-10-10 7
コールミーラヴ 安藤勝 1-1-1-1 1
プレイザフィールド 小原 2-2-2-2 3
アサカグローリー 安田康 5-5-3-5 5

「前にスッと行けるんだけれども、最後の詰めが甘い馬には注」

ご存知、3着大王コールミーラヴです(笑)。こいつのジリっぽさは非常に有名ですよね。
こういう、前にはスッと行けるんだけれども、詰めが非常に甘い馬、というのはアンカツでもどうしようもないみたいです。あ、前に行ける行けないが重要なんじゃなくて、最後の詰めが甘いってところが重要です。種牡馬で言えば、コールミーラヴの父ゴールデンフェザントの他には、リファーズウィッシュやドクターデヴィアスみたいな感じですか。どっちかと言えば、非力で一瞬の脚しか使えないタイプが多い気がします。アンカツの豪腕に体がついていけないんでしょうか(笑)。

 

2001年京都3回4日目12R 桃山特別 ダ1800H 良  16頭
馬名 騎手 通過順
アグネスユンカース 福永 11-9-14-12 12
カネトシオペラクン 熊沢 13-13-12-10 8
マルタカセダン 小牧太 2-2-1-1 6
タマモノンストップ 和田 2-3-5-5 1
バクシンヒーロー 蛯名 16-16-2-3 5
12 カーリアンシチー 安藤勝 1-1-2-2 3

「毒を以って毒を制す、地方騎手を以って地方騎手を制す」

ちょーっとこれは例が良くないんですけどね、まぁこんな感じだ、というのが分かればいいでしょう。
このレースでは逃げるカーリアンシチーを小牧太鞍上のマルタカセダンが終始つっつき、早目に潰す競馬をしました。
こんな風に、他の地方騎手に先に仕掛けられてしまうと、いくらアンカツとは言え辛いっすね。
まぁ、ここでは仕掛けようにも逃げ馬だから仕掛けられなかったんですが。
あぁー、やっぱ例を間違えたかなぁ(笑)。

ま、でもこんな感じで「勝負どころで貪欲な、地方騎手や外国の騎手にやられることがある」というのも結構ありますので要注意です。まさに毒を以って毒を制す、ですね。

 

えーと、大体こんな感じでしょうか。
基本的には武豊よりも得手不得手の差がある感じがして分かり易いと思います。
世間で言う「アンカツマジック」を逆手にとって、美味しい馬券にありつきましょう!!

【アンカツについてのまとめ】

-こういうところが買い-
・4角での位置どりが普段より前になってることが多い。
・ズブい馬のアンカツへの乗り替わりは大幅プラス。
・4角=勝負どころでの貪欲さはものすごい。

-こういうところが消し-
・詰めの甘い馬、非力で一瞬しか脚を使えないような馬の場合。
・他の地方、外国騎手が虎視眈々と狙っている場合。

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