「あさま」  東京〜長野  E2系


 1997年10月、高崎〜長野間の長野新幹線が開業。在来線の特急「あさま」は、1966年10月以来上野〜長野・直江津間を走っていたが、そのまま新幹線の愛称に格上げされた。

 車両はE2系に限定され、最高速度は260km/hである。東京〜長野間に毎時2本前後運転され、最も速いノンストップ列車は東京〜長野間を1時間19分で走破するが、標準的な列車は上野・大宮・高崎・軽井沢・佐久平・上田に停まり、1時間40分程度を要している。なお、在来線特急の時代には、上野〜長野間の所要時間は最短で2時間39分だった。

 「あさま」といえば、在来線のころ、横川〜軽井沢間に立ちはだかる最急66.7‰勾配の碓氷峠が名高かった。横川と軽井沢において補助機関車のEF63が2両、増・解結されるため、両駅ではすべての特急は約3分停車し、そのあいだ駅のホームでは名物駅弁「峠の釜飯」が販売される。頭を下げる弁当屋さんに送られて、横川を発車した列車は、峠区間では空気バネのエアを抜くため、レールの継ぎ目ごとに大きな振動と騒音を発しつつ峠道を上っていき、レンガ造りの建物の遺構が残る丸山信号所跡を過ぎると、座っていても強く傾きを感じる66.7‰勾配にかかっていった。断続するトンネルをいくつも抜けて、やっと山を上りきると、円錐型の浅間山を望む広々した軽井沢の高原にたどりついたのだった。現在でも、碓氷峠越えの設備はほぼそのまま残っており、さらに、アーチ状の碓氷橋など、かつて同区間がアプト式鉄道だった時代に使われていた橋梁などの遺構もみられる。

 新幹線となったいまでも、最急で30‰勾配があるなど、線路条件は厳しい。だが乗っているぶんには、トンネルが非常に多く、車窓の楽しみや山を越えているという実感は薄いものとなった。

 長野新幹線は、計画上は富山、金沢を経て大阪に達する北陸新幹線の一部である。このうち長野〜富山間については、すでにフル規格新幹線として建設が進んでおり、2013年以降に完成する予定である。富山〜石動間は、着工されておらず建設方式も未定であり、石動〜金沢間では、現在のところ新幹線並みの高規格の線路を建設するが線路幅は在来線の「スーパー特急」方式で、建設が進められている。北陸新幹線は、まだ未調整の部分が多く完成まで長期間を要するが、フル規格新幹線が富山止まりというのも半端であり、最終的には、東京から北陸の中心都市・金沢までフル規格の新幹線が乗り入れることになるのではないだろうか。


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