「スーパーあずさ」  新宿〜松本・南小谷  E351系
「あずさ」      新宿〜松本・南小谷  E257系




 1966年12月、中央本線にはじめて登場した特急列車が「あずさ」である。このときは181系電車を使用していたが、のち183系、189系電車に置き換わり、増発も重ねられて中央本線の主力列車として育っていく。1983年には岡谷〜塩尻間を短絡する塩嶺トンネルが開通し、それまで辰野を経由していた「あずさ」は新線経由で運転されるようになり、所要時間を20分程度短縮する。1986年には、一部の列車の始発駅を東京と千葉まで延長し、東京東部からの利便性を向上する。1988年には、座席の交換、窓の拡大などの改良を施したグレードアップ車両が登場するとともに、増発により、ほぼ終日30分毎に特急が運転するダイヤができあがる。

 1993年には、最高速度を130km/hとして、カーブを高速で通過する振子機構を搭載したE351系電車が投入された。翌1994年12月からは、「スーパーあずさ」の名称で、新宿〜松本間をそれまでより12分短縮して2時間30分で結んだ。2001年より、183・189系の置き換え用としてE257系の投入が開始され、全車両が置き換えられた。。最高速度130km/hで、車内設備や乗り心地の面では従来の車両より改善されているが、大きなスピードアップは行われていない。

 沿線には登山などレジャーを楽しめる自然や温泉などの観光地を豊富に有し、とりわけ週末の観光需要は大きい。並行する高速道路は毎週末大渋滞を引き起こすが、中央本線でも臨時特急が大増発され、短い運転間隔で特急の続行運転が行われる。




 新宿を発車すると、林立する高層ビル群を背後に眺めつつ、しばらく住宅密集地を行く。



 高尾を通過すると風景ががらりと一変して、緑濃い山間部に分け入っていく。

 小仏トンネルを抜けると、段丘から相模湖や桂川の谷を見下ろしつつ、古いトンネルを何本も抜けながら谷間を上りつめる。




 笹子トンネルを抜けると視界はひらけ、ブドウ畑の斜面から甲府盆地を展望し、その向こうには南アルプスの山並みを望む。

 盆地へ下って甲府を過ぎれば、再び南アルプスの麓の高原地帯へ上っていく。右手に八ヶ岳を望み、まわりは景色がひらけ、夏でも風はさわやかだ。

 中央本線の最高所である富士見を過ぎると、諏訪盆地へ向けて下り、湖を眺めつつ、山と水面に挟まれた狭い市街地を単線で抜ける。塩嶺トンネルを抜け、平地を快走して、松本に到着である。

 急勾配、急カーブが多く、特急でも高速運転が難しい厳しい道のりであるが、変化に富んだ車窓の楽しみは尽きない。





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