「スーパー白鳥」 八戸〜函館  789系
「白鳥」   八戸〜函館   485系
「つがる」  八戸〜青森・弘前  E751系 485系




 2002年12月、東北新幹線の八戸開業により、新幹線に接続する在来線特急は再編成された。それまで、盛岡〜函館・青森間に走っていた「はつかり」「スーパーはつかり」の愛称はなくなり、代わって八戸〜函館間が「白鳥」「スーパー白鳥」、八戸〜青森・弘前間が「つがる」と整理された。また青森〜函館間は50系客車列車による快速「海峡」が運転されていたが、廃止されてすべて特急に格上げされた。弘前行きの特急列車は、これまでにない新しい設定である。東京や仙台から弘前へは、盛岡から高速バスを乗り継ぐのが一般的であるが、今回新幹線のスピードアップ効果により、鉄道への転移を狙ったものである。

 この「白鳥」は、1961年から2001年まで、大阪〜青森間を走っていた日本でもっとも長い距離を走る昼行特急の名前である。また、「つがる」は、1956年から1993年(定期列車として)まで、上野〜(奥羽本線)〜秋田〜青森間を走り「出稼ぎ列車」「出世列車」として名高かった夜行急行「津軽」の名称であり、ともに長年親しまれた由緒ある愛称である。

 「スーパー白鳥」はJR北海道がこの特急の新設と同時に投入した789系電車を使用し、「白鳥」はJR東日本の485系電車である。既存車両の外観と内装を大幅に改良した485系3000番台のリニューアル車も用いられる。木古内〜蟹田間の青函トンネル部分では、最高速度140km/h運転が行われる。「つがる」には、E751系と485系が用いられている。

 八戸以北の東北本線は、比較的平坦な道のりであるが、東京から長い道のりを経てたどりつく「みちのく」の車窓は、平地でも家が少なく景色は寂しげである。青森駅は、行き止まり式でホームの幅も広く、かつて北海道への連絡駅として栄えた名残か、「旅の香り」が強く漂う駅だ。方向を変えて出発した列車は、津軽線の単線の細道を北上する。中小国からの新線部分は見違えるように立派な新幹線規格で、スラブ軌道をコーッという甲高い音とともに140km/hで快走しつつ、青函トンネルへ突入。抜けてから函館までは、曲がりくねった単線の江差線で、列車はまた鈍足となる。だが、車窓から津軽海峡を見晴らし、遠くに見える函館山と函館の市街地がしだいに近づいてくる様子は、北海道上陸の序章にふさわしい味わいのあるものである。



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