![]() 2002年12月、東北新幹線の盛岡〜八戸間が開業し、八戸行きの列車は、公募によりつけられた「はやて」という新しい名前で登場した。最高速度は275km/hで、停車駅も最小に抑えた速達便で、東北新幹線の主役を担う列車である。また全席指定席となっているのも特徴だ。東京から八戸までは、盛岡まで在来線だったときの最短3時間33分から、2時間50分台に短縮された。 車両はE2系10両編成を使用し、盛岡までは「こまち」と併結する。揺れを抑えるためのフルアクティブ・サスペンションを導入するなど新機軸を盛り込んだ、E2系1000番台も投入されている。 東北新幹線の東京駅は、既存の中央線のホームを高架に上げて二層式とし、他の線も全部1つずつホームをずらすという難工事によって、ようやくスペースを確保したものである。ミニ新幹線の開業やさまざまな新車の登場により、次々に発着する列車の行先や車種はバラエティに富んでいる。在来線時代は、情緒ある「北への玄関口」であったが、いまは中間駅になってしまった上野地下駅を過ぎ、再び地上に出ると、埼京線と並んで市街地を見晴らす高い高架線を行く。大宮を過ぎれば景色は水田が開けて緑が濃くなっていく。那須塩原の付近まで来れば、那須連山を見晴らし、東京を脱出した気分になる。 この先、水田地帯が広がる車窓は変化が少ないが、高い高架線を走るため、会津磐梯山、蔵王連邦と、岩手山と、山々の見晴らしはよい。この新幹線に乗っていて強く感じるのは、贅を尽くした設備の立派さであり、高い高架線がどこまでも連なる様は、万里の長城を思わせる独特の景観である。途中の市街地を抜けるところでは、既存の道路の高架橋などの上を通すため高架線はいっそう高く、家々を見晴らしながら超高速で街の中央を走り抜けていく。高々とそびえる駅は、防風雪のためのごつい屋根に覆われ、主要駅は堂々たる6線を有するものもあり、さながらコンクリートの要塞のような威圧感がある。 新しく開業した盛岡以北は、山間部をいくため残念ながらトンネルが多く、ほとんど車窓は楽しめない。最近の新幹線は建設費を抑えるため設備は簡素化されており、途中駅は待避線を設けず狭いホームのみの構造となっていて、終点の八戸駅も駅は地平にあってやや規模が小さく、駅は木造の建材を導入するなど、コストを抑制しつつも機能主義だけでなく過ごしやすさを重視した設計になっており、盛岡以南とはやや異なった趣である。 BACK |