北陸自転車旅行




 4月の末に、北陸へ旅に出ました。愛用のマウンテンバイクで東京駅までひとっ走り。すばやく分解し、新幹線に飛び乗ります。米原で降りて、北陸本線の普通列車に乗り換え。東京のビジネス街や繁華街の延長のような新幹線から、とたんに田舎町の裏通りに入り込んだ雰囲気。「旅に出た」想いが高まります。

 能登半島の先端近い蛸島まで列車で行き、自転車を組み立て、輪島まで海岸線沿いに走ります。青い海と、この地方独特の黒光りする立派な屋根瓦の家々。田植えを控え、満々と水をたたえた水田。人家も交通量も少なく、晴れた春の陽気を体中で感じつつ、走っていきます。この季節は虫なども元気で、自転車や身体にまとわりついてくるのがちょっとした難点ですが。

 金沢まで高速バスで戻り、古都を自転車で探索。なかなか来ないバスや渋滞に悩まされることなく、旅先の街を「愛車」でスイスイ走るのは、実に爽快です。両手を広げたくらいの幅の道が鍵状に入り組む、卯辰山麓の古い市街地は印象的でした。息苦しい圧迫感さえ感じる狭さですが、どの家も玄関に工夫をこらした鉢植えを並べ、庭もとれない空間で精一杯の潤いを演出する工夫が感じられました。一方、都心の兼六園や城跡付近の街路は広くて緑豊かで、ゆったりした区画に、城下町の威厳がいまも漂っています。また、駅前や繁華街の香林坊には、新しいビルが並んで都会の活気があり、現代の北陸の中心都市としての発展ぶりもうかがわれます。

 列車やバスに自転車を持ち込む「輪行」で、旅先の地を自分の足の向くままに巡る旅。走り回って心地よい疲労感を覚えつつ、空腹に駅弁を頬張りながら、特急と新幹線を乗り継いで帰京しました。


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