東京から新潟県、長野県へ向かう特急は、その厳しい自然条件が特徴といえる。本州の中央部には、険しい山岳地帯が立ちはだかり、在来線の上越線や信越本線、中央本線は、補助機関車の連結やループ線、スイッチバック駅などのある厳しい線路で、急勾配、急カーブを繰り返して山を越えていた。鉄道旅行者の身としては、大都会東京からの距離が近いわりに、山間部の風景や山越えの迫力を楽しむことができ、魅力の多い地域ともいえる。また、とくに上越方面への鉄道は、冬季の豪雪のなかで列車の運行を確保することも、難しい課題であった。 1982年11月には上越新幹線が開業、1997年10月には長野新幹線が開業し、この地域の鉄道交通はぐっと便利になった。新幹線は、険しい山地を長いトンネルで一気に貫き、雪害対策も万全であり、冬に列車の運行が雪に妨げられることはほとんどなくなった。しかし車窓はトンネルの闇が続くのみとなり、鉄道旅行の楽しみが失われてしまった部分も否めない。 BACK |