本州で一番早く咲くという河津桜を見に、早春の伊豆へ旅に出ました。伊豆急行線の「リゾート21」は、海側に向いた座席や階段状の展望室など観光ムードがあふれ、車内には河津桜を宣伝するピンクの桜の造花が飾られて、華やかな趣です。 狭い土地に旅館などのビルが密集する熱海の市街地を抜けると、列車は海沿いを走り、「リゾート21」の大きな窓一面に水平線が広がります。伊東を過ぎるとごみごみした建物は減って、いよいよ列車は伊豆の自然の中へ入っていきます。ぐんぐん勾配を上り、高台の林の合間から海を遠望します。線路に波しぶきがかかりそうなほど海のすぐ近くを走る区間や、連なる断崖の海岸線を一望できるところもあります。伊豆熱川では、温泉の湯気が町中から威勢よくあがっている様子を駅から見晴らすことができます。列車は混雑が続いていましたが、乗客は河津駅でいっせいに降りました。 川沿いに濃いピンク色の桜並木が連なり、その下の菜の花の黄色い帯とのコントラストが鮮やかです。屋台が並び、大勢の観光客が歩いています。その桜並木沿いに、宿を取りました。夕食は、刺身の盛り合わせや鍋、焼き魚などがいっぱいに並べられ、食べきれないほど豪華でした。温泉も露天風呂で、夜空にぼんやり浮かぶ近くの山の稜線を眺めつつ、のんびり温まりました。宿の前では夜桜がライトアップされて、降り出した雨に濡れる桜の風情を楽しみました。 BACK |