「スーパーくろしお」「くろしお」 381系 京都・天王寺〜紀伊田辺・白浜・新宮 ![]() ![]() 1965年3月、キハ80系気動車により、天王寺〜新宮〜名古屋を結ぶ特急「くろしお」が運転を開始した。当時、紀伊半島は新婚旅行地として人気があり、10両中3両が1等車(グリーン車)という豪華編成を組んだ時期もあった。天王寺〜白浜・新宮間では増発が続けられ、1978年10月には和歌山〜新宮間の電化が完成し、天王寺〜白浜・新宮間は381系振子電車による1〜2時間ごとの運転がなされるようになる。このとき、名古屋直通はなくなり、名古屋〜紀伊勝浦間は系統を分割して「南紀」となる。1985年3月から1986年11月までは、485系電車も用いられていた。急行の格上げなどによりさらに本数が増加し、30分〜1時間ごとに運転される。 1989年3月には、改造によりパノラマグリーン車が登場。同年7月には、阪和線と関西線を結ぶ連絡線が天王寺駅構内に完成したことにより、「くろしお」の一部は新大阪・京都に直通し、新幹線にも接続して利便性が増した。このとき、パノラマグリーン車を連結し、座席などを改良した一部の列車は「スーパーくろしお」となり、サービス改善がなされた。1996年7月には、制御付振子を採用した新型車両283系が登場する。翌1997年3月には、最高130km/h運転とカーブの通過速度の向上により、スピードアップを実現し、特急「オーシャンアロー」を名乗る。京都〜新宮間は20分短縮され、4時間3分で結ばれる。 地形が複雑で険しいリアス式海岸沿いをなぞって走る紀勢本線は、山間を走ったかと思えば海沿いに出て、また山中へ・・・といった具合に景色の変化がめまぐるしく、車窓の楽しみは尽きない路線である。 紀伊田辺以北では特急列車は表定速度80〜90km/h台の俊足であり、沿線も都市的な風景が多く見られ、幹線の雰囲気が強い。振子車両なので車体を大きく傾けてカーブを高速で走りぬけ、揺れもかなり大きく特に立っているとつらく感じる。紀伊田辺以南では、線路は単線となり、最徐行で通過する急カーブも各所に存在しており、表定速度60km/h台ののんびりした足取りとなる。景色はぐっとローカル色が強まり、緑濃い南国の森林地帯と、美しい海岸線が交錯する。建物は減って、寂れつつあるリゾートホテルなどが時折車窓を彩るのみとなる。大阪から新宮までは約4時間を要し、特急に乗りとおすと、紀伊半島の大きさ、奥まった遠さを感じる。 BACK |