九州の特急列車


 九州の鉄道は、高速道路や航空との競合がとくに激しい。高速道路は、現在九州の7県都をすべて結ぶネットワークが完成している。また、九州は他の地域よりも高速バスが発達しているのが特徴で、博多から小倉や熊本、長崎、大分などへ向かう幹線ルートは、10分間隔かそれ以下で運行されるほどの充実ぶりである。さらに航空も、福岡空港が都心に近く立地条件がよいせいもあって、博多から鹿児島、宮崎といった短距離でも航空の利用が盛んである。

 こういった状況から、国鉄末期の九州の鉄道は乗客離れが進んでいた。国鉄時代は、中央から離れた九州は、東京や大阪からの中古車などが回されてくることが多く、サービス改善は遅れていた。JR九州の誕生後、九州の特急網は新型車両の投入、スピードアップ、増発が積極的に進められた。特徴的な車両デザインと快適な車内設備を誇る新型特急群、主要線区での特急の20分ごと運転、区間によっては正規運賃・料金より50%も安くなる格安「2枚きっぷ」「4枚きっぷ」の発売など、先駆的なサービスが続々と取り入れられている。JR発足時は最新鋭車両だった783系電車が、続々と登場する新車によって早くも花形の地位を追われるなど、ダイヤ改正ごとに目まぐるしく改善がなされる九州の特急列車だが、それは常に前に進み続けなければ生き残れないほど厳しい競争環境の裏返しともいえる。


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