新幹線・特急も含めて1万円で、JR東日本全線が1日乗り放題の「正月パス」が発売されました。これを片手に、元日に東北へ出かけました。通常なら東京から仙台まで新幹線で片道10590円ですから、このパスはかなりお得です。 朝6時、八戸行き「はやて」号と博多行き「のぞみ」号が同時に東京駅のホームを離れます。西と北へ、日本の大動脈の新しい1年が動き出しました。「はやて」は、磐梯や蔵王の白い峰々を左に眺めつつ、東北の広々とした水田を時速275キロで突っ走ります。八戸で乗り換えた特急「つがる」号は、一面の白い平原を、雪煙を巻き上げ快走。同じ「正月パス」で旅する鉄道好きの人たちも多くみられます。青森から普通列車を乗り継ぎ、大館から花輪線で盛岡へ向かいます。列車は険しい谷あいを抜け、スキー場の目立つ安比、八幡平の高原へ。今朝新幹線から見た円錐状の岩手山と再会するころ、短い冬の日は暮れました。盛岡からはまっすぐ東京へ戻らず、新幹線「こまち」号で秋田へ行きます。「正月パス」では日付が変わってから走り続ける列車の終点まで乗れるので、これを生かして寝台特急の旅も味わおうと思ったのです。 特急「あけぼの」号は、青い客車を連ね、秋田から東京まで10時間近くかけて夜の鉄路をたどる昔ながらの夜行列車です。寝台料金のいらない格安の「ゴロンとシート」車両に乗ります。カーテンを閉めて横になれば眠りを妨げるものはなく、静かで快適な一夜でした。列車は東北の雪を全身に付けて、朝の上野駅に到着。アナウンスが「うえのー、うえのー」と駅名を連呼し、大きな荷物を抱えた人々がどっと降り立ちます。新年の早朝の街は人影がまばらで澄んだ青空が広がり、いつもと違う東京に着いたような気がしました。 BACK |