「成田エクスプレス」  
新宿・池袋・大宮・高尾・横浜・大船〜成田空港  253系




 1991年3月、成田〜成田空港間の鉄道新線が開業し、都心から成田空港への直通特急が運転されることとなった。それまで成田空港は、京成特急で上野から直通されていたが、ビジネス・商業の中心から離れた京成上野はターミナルとして立地条件が悪く、成田空港側でも駅からバスを乗り継がなければ空港ビルまで到達できなかった。このとき開通した鉄道新線は、かつて構想されていた成田新幹線の設備を利用し、空港ターミナルビルの直下まで乗り入れた。都心から遠く鉄道アクセスも極めて不便なわが国の玄関口の汚名を返上すべく、アクセス特急が整備されたのであった。

 「成田エクスプレス」により、東京〜成田空港は最短53分で結ばれた。まだ便利な空港とは言いがたいものの、定時性に優れた鉄道によって都心と東京西部の主要ターミナルから直結されたことで、以前よりはアクセスがだいぶ改善されたといえる。

 「成田エクスプレス」は、車両・ダイヤとも、それまでの特急にはないさまざまな新しいアイデアが盛り込まれた。新車両の253系は、座席の下や背面などに十分な荷物スペースを確保するため、独特の向かい合わせ式の座席配置となり、エリートビジネスマンなどの利用を見込んでか、短距離特急ながら個室まで備えた豪華な設備のグリーン車も連結した。都心のターミナルは、既存の旅客線のほか山手貨物線も有効に活用し、東京駅で分割併合を行うことで、新宿・池袋・大宮・横浜・大船といった主なターミナルへの柔軟な直通運転を行った。

 本数は1時間に1〜2本で、1本の時間帯は新宿方面と横浜方面が東京で分割併合し、2本の時間帯はそれぞれの行先へ単独運転する。当初は3両編成を併結した6両編成が多かったが、乗客の増加に伴い、6両+3両や6両を併結した9両、12両編成が主体となってきた。

 全車指定席で、満席のときは枚数を限定して立席特急券が発売される。

 なお、現在、都心から成田空港まで、千葉ニュータウン経由の北総・公団線を延長して直結する成田新高速鉄道の建設が計画されており、2010年度に開業する予定である。距離が短く線形もまっすぐなので、所要時間は大幅に短縮して30分台となる見込みであり、開業後は京成の「スカイライナー」が乗り入れるだろう。JRの「成田エクスプレス」も、京成への対抗上、スピードアップなどによる抜本的な改善が必要になるのではないだろうか。



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