四国の特急列車


 JR四国は、JR各社のなかでもっとも規模の小さい会社である。四国には大都市がないため、鉄道の盛んな利用は見込めないうえ、線路規格の低い単線で、カーブの多い山間部を走る区間が大半でありスピードアップも難しいという困難を抱えている。国鉄時代の末期でも、特急列車の表定速度は60km/h前後にとどまっていた。

 JR発足後、国鉄末期のサービスレベルでは高速道路の延伸などにより特急の旅客がほとんど奪われてしまうことへの危機感から、小規模の会社ながら、積極的な改善が進められた。それまで例がなかった振子式気動車を開発し、大幅なスピードアップを図り、表定速度は80km/h台にまで向上した。2000系気動車は、乗り心地改善のため制御式振子装置を採用して、振子車両特有の不快な揺れも少なく、その後の他社の振子式気動車の範となった優秀な車両である。また予讃線の電化工事もすすめ、最高160km/h運転を行う性能をもつ8000系電車を投入した。

 現在、早朝から深夜まで、高性能の特急車両が都市間をきめ細かく頻繁に結ぶダイヤができあがっている。しかし、すでに車両面での改善は限界に達しており、これ以上の大幅なスピードアップや増発を図るには、単線でカーブの多い線路を抜本的に改良しなければならない。それには、車両の改良に比べてはるかに巨額を要するため、当面、現行以上のサービス改善は困難と思われる。

 特急の乗客は、瀬戸大橋開通ブームや好景気により、JR発足直後は急増したが、それ以後は積極的な新車投入などの努力をもってしても、減少傾向にあるのが厳しい現実である。次の契機は、現在開発が進められている新幹線と在来線を直通できるフリーゲージ列車の実用化により、大阪への直通が実現するときであろうか。


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