「スーパー宗谷」 札幌〜稚内 キハ261系
「サロベツ」  札幌〜稚内 キハ183系
「利尻」    札幌〜稚内 キハ183系




 日本鉄道最北端で日本最北の市である稚内を目指す、わが国で最北端の特急列車である。

 2000年3月より、新型車両のキハ261系が投入され、それまでの急行「宗谷」「礼文」を格上げする形で登場。札幌〜稚内を最短4時間58分で結び、約50分の大幅なスピードアップと、設備の改善を実現した。キハ261系は最高速度130km/hの高性能を有し、車体傾斜機能付きの軽量ボルスタレス台車を用い(簡易振子機構)、コストを抑えつつ、カーブの通過速度を従来の車両より向上した。新型列車になってから乗客も増加し、所定の4両に増結されて6両編成で走る日も多い。

 札幌から稚内までは長距離ゆえ、夜行便の「利尻」も1往復走り続けている。特急型気動車キハ183系に1両寝台客車を組み込んだ、北海道の夜行特急独特の編成である。

 札幌から名寄までは、軌道改良が施され、キハ261系は最高130km/hで快走する。途中の比布から和寒までは、20‰の勾配が続く難所塩狩峠で、連続するカーブでスピードは低下するが、これを越えると名寄盆地の畑地に入る。名寄から先は、めっきり人家も少なく、時折現れる駅の周辺に数戸〜数十戸がパラパラ固まっているのみで、「さいはて」の風情が強まる。約5時間の長旅の果て、抜海を過ぎて左手に見える日本海と、そこからに円錐状に立ち上がる利尻富士の姿は、この線の車窓のハイライトである。
 
 札幌・旭川から稚内までは、昭和30年代後半にはすでに、現在の特急列車の本数と同じ1日4本の急行列車の体系が完成し、列車本数は現在と大差なかった。列車編成は当時のほうが長かったので、旅客数は減少していると思われる。このような斜陽の「本線」だが、「スーパー宗谷」の高速化による活性化がなされたのは心強いことだ。

 今後、距離の長い札幌〜稚内間では、現状以上の改善は難しいとしても、札幌〜名寄間は2時間20分程度と便利であり、名寄付近は宗谷本線の沿線としては比較的人口も多いので、この区間は増発すれば利用増が見込め、高速化の効果をより発揮できるのではないだろうか。名寄以北は超過疎地域で、鉄道そのものの廃線さえ懸念されるが、そうならないように宗谷本線の活躍をこれからも期待したい。


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