![]() 1992年7月、山形新幹線が開業し、東京〜山形間まで最短2時間27分の直通運転が開始された。乗り換えがなくなり、福島〜山形間の最高速度も130km/hに向上されたことで、在来線時代より42分の短縮がなされた。在来線の線路の幅(1067mm)を新幹線と同様(1435mm)に広げることで、フル規格の新幹線よりはるかに安価かつ短い建設期間で、東京に短時間で直結するというメリットを受けることができた。その後、1999年12月には新庄まで延伸され、東京〜新庄間は最短3時間7分で結ばれている。本数はほぼ1時間に1本で、その半数程度は山形止まりである。 車両は400系が投入され、新庄開業時にはE3系1000番台が追加投入されている。ほとんどの列車は、仙台または盛岡行きの「やまびこ」と福島で分割併合を行う。開業当初は6両編成だったが、好評のため1995年より7両に増結されている。 「つばさ」はもともと、1961年10月に上野〜秋田間にキハ81系ディーゼルカーにより登場した特急である。その後、1970年には最高速度120km/hで電車なみの高性能を誇るキハ181系に置き換えられた。1975年には奥羽本線の電化により、485系電車による運転となった。奥羽本線沿線と上野を直結する「つばさ」は、上野〜秋田間に長駆7時間30分以上を要していたが、他の交通の便にもあまり恵まれない山形や秋田地方の「顔」として、長年活躍を続けたのである。 1982年の東北新幹線開業後は、上野直通列車も若干残ったものの、福島〜秋田間を中心とする新幹線接続特急となり再出発した。また、東京から秋田へは田沢湖線経由のほうが速く着けるようになり、「つばさ」は東京と山形県内を結ぶ特急の色合いが濃くなった。1991年8月からは、福島〜山形間は改軌工事のため、「つばさ」は本数を減らされたうえ、仙山線経由に変わり仙台〜秋田間の運転となった。1992年7月の山形新幹線開業後、山形〜秋田間の在来線特急は「こまくさ」と改称され、山形新幹線の接続特急となった。さらに新庄延長後は、新庄〜秋田間の「こまくさ」は、701系電車による快速に格下げされている。 福島〜山形間の板谷峠は、最急勾配が38‰で、日本有数の急勾配区間である。「つばさ」は福島を出て、単線の連絡橋で堂々たる新幹線の高架から地平の在来線に降りると、しばらく平地を快走して、やがて福島盆地を見下ろしつつ築堤を大きく右カーブを切り、険しい山間部に入っていく。山形新幹線開業前は、途中にスイッチバックの4駅(赤岩、板谷、峠、大沢)が存在していたが、改軌後、普通列車も高性能の電車に置き換わり、スイッチバックは廃止された。 「つばさ」は好評であるため、陸羽西線をミニ新幹線化して酒田まで延長したり、急カーブが続き豪雨・豪雪などによる運転障害も多い板谷峠区間をトンネルで短絡するなど、さらなる改善案も聞かれるものの、具体化には至っていない。 BACK |