「わかしお」 東京〜安房鴨川 183系 「ビューさざなみ」 東京〜館山 E255系 「さざなみ」 東京〜館山 183系
1972年7月、房総方面への大規模な改良が完成した。東京地下駅〜錦糸町間の地下新線、錦糸町〜津田沼間の複々線化、内房線・外房線の電化がなされた。それまで、房総方面への優等列車は、両国(一部新宿)から発着するディーゼル急行によっていたが、設備、スピード、ターミナルの立地ともに不便なものであった。この改良工事の完成により、新たに183系電車を投入し、東京地下駅から房総方面へ向かう特急網が整備されて、観光輸送などの利便性が大きく向上した。 外房線特急の「わかしお」、内房線特急の「さざなみ」は、この1972年7月に登場した。その後、急行の格上げなどによる増発で、両特急ともほぼ1時間ごとに運転するダイヤとなる。1991年3月、京葉線が東京まで開通するとともに、特急「成田エクスプレス」が総武本線で運転を開始したが、このとき線路容量の関係もあって、「わかしお」「さざなみ」は京葉線経由で運転することとなる。 1993年には255系電車が新たに投入され、「ビューわかしお」「ビューさざなみ」として運転をはじめる。JR東日本は、東京近郊で快適な通勤輸送に役立つ特急サービスの提供に力を入れているが、房総方面でも「ホームタウンわかしお/さざなみ」「おはようわかしお/さざなみ」が、朝晩の時間帯に設定されるようになった。 近年、東京湾アクアラインが開通し、道路での房総半島への所要時間が大幅に短縮されたが、とりわけ内房線の「さざなみ」はその影響を強く受けて乗客が減少し、君津以南では本数が間引かれている。また「さざなみ」「わかしお」とも、停車駅の多い末端区間では、普通列車に格下げされて運転される列車が見られるようになった。 房総特急は観光列車の印象が強いが、東京〜木更津、東京〜上総一ノ宮間はほとんど都市化された区間であり、ビジネス、通勤輸送が多く、スピードが遅くて本数も少ない近郊快速電車の役割の一部を特急が担っている面もある。両駅以南では、めっきりローカル色が濃くなり、温暖な房総半島の亜熱帯樹木も見られる濃い緑の森林と、青い海が交互に現れる車窓風景を楽しめる。 BACK |